「フォントの日」誕生
アドビは、4月10日を「フォントの日」と制定したことを記念し、都内でレセプションパーティーを開催。また、同社の日中韓対応フォント第2弾となる「源ノ明朝」に関するトークセッションも実施した。
デザインの重要な要素となっている「フォント」にあらためて注目してもらうことが制定の目的。日付は4と10で「フォント」と読む語呂合わせから決めた(日本記念日協会ウェブサイトより)。
「源ノ明朝」誕生の秘密
源ノ明朝は、アドビが2015年にリリースした「源ノ角ゴシック」に続くPan-CJK(日中韓対応)フォントの第2弾。源ノ角ゴシックと同じく、複数の海外デザインパートナー企業と協業し、3言語間にわたって統一性が出るようにデザインしている。
アドビのチーフ・タイプデザイナー西塚氏によれば、源ノ明朝も、源ノ角ゴシックと同じくデジタルデバイスでの使用を想定してデザインされたという。具体的には、強く発光するディスプレー上に表示されていても、視認性が落ちないよう、字画の「入り」を強いニュアンスにしたり、均一な線を積極的に採用することで、「つぶれ」が起きにくくするといった工夫が盛り込まれている。
日中の調整に膨大な時間と手間
日本語の漢字と、中国語の漢字は、同じ意味をあらわす同じ文字でもニュアンスが異なる。中国語向けフォントで日本語を表示すると不自然さを感じるのはこのためだ。源ノ明朝の開発段階では、日本語と中国語の漢字を、どう分けるか/同一のものにするかを特にシビアに調整したという。「中国語圏では、より手書き感のあるデザインが好まれ、自然に感じられる」(西塚氏)というように、日本語と中国語で同じ漢字を見比べてみると、形状の違いが感じられるはずだ。
源ノ明朝は、オープンソースフォントとなり、価格は無料。「ライセンスなどに気をとらわれず、純粋にデザインに集中してもらえると思う」と西塚氏は話す。