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武田薬品がR&D部門を人員削減、外国人幹部が指摘する低生産性

2017年03月21日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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大幅な変革が断行される武田薬品工業湘南研究所

「事業の選択と集中」の名の下、世界的にR&D(研究開発)体制を見直し中の国内製薬最大手、武田薬品工業。日本における変革の具体的な内容が、続々と明らかになってきた。

 目を引くのが人員合理化だ。世界で医薬品開発業務受託ビジネスを展開する米PRAと折半出資で合弁会社を2017年度第1四半期までに設立し、武田の開発部門から約140人が転籍。また原薬や製剤の設計などを担う部門の一部を医薬品・治験薬受託製造専門の武州製薬に売却し、研究者約200人が転籍する。

 クリストフ・ウェバー社長CEOが「業界をリードするイノベーティブな製薬企業を目指す故、常に10年以上先の将来を見据えている」として見直しを発表したのは16年7月。変革費用に約750億円投じ、年約180億円のコスト削減を見込む。

 ウェバー社長CEOは今年2月1日、16年度第3四半期のカンファレンスコールで「変革は予想より早く進んでおり順調」と話し、来年度に予定していた変革費用から約70億円の前倒しを表明した。しかし武田からこれまでに国内変革の具体的な発表はほとんどなく、「起業家的ビジネスモデルやパートナーシップにより多くの従業員に新たな機会を提供し、会社ニーズとも合致するよりよい方策を検討」などと説明していた。

R&D生産性は平均以下

 目的はコスト削減ではなくあくまでR&Dの生産性を高めることだと強調するが、社員にとってはリストラに等しいインパクトだろう。経営側は15年末から労働組合と協議を続けてきたもようだ。

 関係者によると、仏製薬大手サノフィから15年2月に武田へ移ってR&Dヘッドに就任したアンドリュー・プランプ氏は協議の過程で、「わが社のR&Dの生産性は平均以下だ」と指摘。「競争激化の下、このままでは事業継続できない」と危機感をあらわにし、組合に理解を求めたという。

 ヒット製品を生み出せなければ早晩経営が行き詰まるのは明らか。現に同社は後期開発段階にめぼしいものが乏しかったため、今年2月にがん領域に強い米製薬ベンチャーのアリアドを約54億ドル(約6200億円)で買収完了するなど、「重大なギャップの穴埋めを外部に求める」(同社関係者)策を続けている。

 変革の目玉である湘南研究所の研究員約1000人の処遇はまだ詳細不明だが、異動、転籍、退職などで約3分の1に減らす見通しだと関係者の間でささやかれている。

 武田は今月14日、産業革新機構などと共同出資する新会社も発表。かつて強みだった糖尿病などの研究開発品目を導出し、研究者約30人が転籍する。外国人が幹部の多数を占める武田だからこその大胆な変革ではあるが、人員に手を付ける変革はそうやすくはない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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