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Chef、Mesosphere、Hashicorp、MSのDevOps伝道者が「de:code 2016」で熱いトーク

MS率いる黒船軍団が“DevOps鎖国”日本に開国を迫った日

2016年06月16日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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米小売大手TargetがDevOpsで変革できた理由は「大きな脅威」に見舞われたこと

 ここまでに紹介したDevOps成功のための“秘訣”がまとまった事例として、グッケンハイマー氏は、全米に1790店舗以上を構える小売チェーン大手のTarget(ターゲット)における取り組みを紹介した。オンラインストアやモバイルショッピングアプリなども提供する同社では、それまでの伝統的なウォーターフォール開発から全社横断的なDevOpsへの移行に成功し、週に20~80回のデプロイを実現しているという。

 「Targetでは、DevOpsの社内普及を目指し、ミネアポリスにある社屋ビルの壁をぶち抜いて広大な『DevOps Dojo(DevOps道場)』を作った」とグッケンハイマー氏は語る。そのうえで、さまざまな開発プロジェクトをこのDojoに持ち込んでほしいと、社内のITメンバーに呼びかけたのだという。

 このオープンなDojoにはDevOps、そして新しいテクノロジーに精通したITコーチがおり、集まったITメンバーは彼らからスキルや手法を学び、現場に持ち帰る。持ち帰ったあともITメンバーから進捗報告を行い、Dojoがフォローアップする。このようにして、内々のITチームからカルチャー、マインドセットを変えていくことができたと、グッケンハイマー氏は説明した。

Targetでは、社内のITメンバーにDevOpsやアジャイル開発をコーチングする「DevOps Dojo」を開設している(Targetのスライドより)

 実は、こうした大胆な開発手法の変革が実行できた背景には、同社が3年半前に引き起こしたクレジットカード情報の大量漏洩事件があったという。この事件では4000万件の顧客クレジットカード情報が盗まれ、CEOやCIOが辞任する結果となった。

 「それまでのTargetでは、伝統的なウォーターフォール開発手法と静的な開発インフラを使っていた。そのため、サイバー攻撃の高度化に対してなかなか有効な対策が打てず、カイゼンも進んでいなかった」(MS・グッケンハイマー氏)

 しかし、顧客情報の大量漏洩という大きな脅威に襲われたことで、Targetの変革は一気に進んだわけだ。

 「今日のセッションでは『黒船』の話が出たが、それと同じだ。Targetもまた、外からの攻撃を受けたことが改革の大きなモチベーションとなり、変革をドライブしたと言える」(MS・グッケンハイマー氏)

 グッケンハイマー氏は、あらゆる業界にビジネスの変革期が訪れており、企業がその波を乗り越え成功していくためにはモダンプラクティスの導入が欠かせないこと、DevOpsが絶え間のないフィードバックとカイゼン、そしてビジネス変革を可能にすることを再度強調して、同セッションを締めくくった。

 なおセッションの模様は、マイクロソフトの動画サイトChannel 9でも公開されている(全編英語でのトーク)。

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