8KとHDRが目玉 薄さ2mmのシート型8Kディスプレーも!
2016年5月26日(木)から29日(日)まで、東京都世田谷区砧のNHK放送技術研究所で開催中の「技研公開2016」。ここ最近の毎年の目玉は「スーパーハイビジョン」。今年は「8K」とともに「HDR」(ハイダイナミックレンジ)にも対応した、新システムが目白押しです。
まず、1階のエントランスホールにある8K画質の「シート型ディスプレー」。総サイズ130インチ、65型の4K有機ELディスプレーを4枚利用した7680×4320ドット8Kで、横から見るとわかるとおり超薄型です。ちなみに、有機ELのデバイス自体は本当に厚さ約1㎜で、張り付けているガラス板が約1㎜で合計2㎜。LGエレクトロニクス製の有機ELを使ったデバイスですが、実際に動いている画質は市販の有機ELテレビと同水準と、薄いのに相当キレイ。
現時点では巻き取れる構造にはなっていませんが、スーパーハイビジョンは壁に貼るシートで見る未来像が見えてきました。
続いて、スーパーハイビジョンには最近「HDR」も採用されています。「8Kフルスペック」(RGB各色3300万画素、120kHz、広色域、12bit、HDR)対応の液晶ディスプレーとカメラの展示も進められています。
今年8月には8Kの試験放送も開始されますが、スーパーハイビジョンを「次世代地上放送」として考えると、地上波では1chが6Mbps(3chで18Mbps)しかないため、ケーブル、光ファイバーなどさまざまな伝送方法の研究も含め実用化に向けた検討が進んでいます。
制作サイドでは、NHKと英BBCが共同で開発した現行テレビと高い互換性をもつ「HLG方式(ハイブリッド・ログ・ガンマ)」対応の8Kライブ番組制作システムをデモ展示。ネット配信が先行している「HDR」も、放送専用方式の実用化が着々と進んでいます。
スーパーハイビジョン時代の記録メディアの本命は「ホログラム」。ホログラムというのは記録媒体に鑑賞縞を記録して参照光を当てて読み取る方式で、爪の先ほどの点に14MB、ホログラムディスク1枚に2TBのデータ記録が可能な仕組みです。まだPC用ドライブなどが登場する段階ではないですが、50年以上の長期保存も見据えて次世代映像の保存に関する開発も進んでいます。
未来の技術と考えられていた「スーパーハイビジョン」ですが、今年8月には試験放送(一般家庭では見られませんが)がスタートし、2018年には一般向けの放送も開始します。4K放送もまだ普及しているとは言えませんが、映像方面はまもなく8Kが当たり前になりそうです。