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「Venmo」 - 米国の若年層がハマるP2P金融サービスとは?

2016年04月28日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)、編集●ハイサイ比嘉

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 皆さんは「Venmo」(ベンモー)というサービスをご存じだろうか? 現在PayPal傘下として米国で急成長中のサービスで、「P2P」の金融サービス、いわゆる「個人間送金」の仕組みを提供しており、特に若者の間で大人気となっているものだ。

いま米国の若者の間で大人気のサービス「Venmo」

米カリフォルニア州サンノゼにある米PayPal本社

 Venmoがどの程度驚異的なサービスなのかをデータを用いて少し紹介すると、2015年第4四半期のVenmoの取扱高は約25億ドル(約2769億円)で、年間成長率では約174%となる。PayPalにおける2015年の全世界のモバイルコマース全体の取扱高が約660億ドル(約7兆3122億円)だということを考えれば、非常に驚異的なペースで同社の売上を押し上げていることが分かる。

 Venmoの例にもれず、P2P金融サービスの仕組みは最も急成長中の分野のひとつであり、特にここ1~2年ほどの成長ぶりが顕著だ。Forrester Researchが昨年2015年半ばに、当初2017年までに40億ドル規模にまで米国でのP2P送金市場が成長すると予測していたものを50億ドルに上方修正したことも話題となった(関連リンク)。もっとも、現状で判明しているVenmoのパフォーマンスを考えれば、それ以上に市場が急成長しているといえるかもしれない。では、Venmoとはどのようなサービスで、なぜユーザーに受け入れられているのだろうかをみていく。

「Venmo」とはどのようなサービスなのか?

 CrunchBaseによれば、Venmoが誕生したのは2009年4月。米ニューヨークを拠点とするAndrew Kortina氏とIqram Magdon-Ismail氏のふたりの起業家の手によってサービスはスタートした。2012年にBraintreeという決済サービスの会社に買収され、その翌年の2013年にはPayPalがBraintreeを買収したことでその傘下に入った。

 米国では人から人にお金を渡すとき、現金(キャッシュ)での受け渡しが一般的だが、他方で金額が大きいときは小切手のお世話になる。銀行口座間での送金も可能だが、手順が煩雑であり、前述の小切手経由ではデポジットや換金の手間がある。そこで少しでも手軽に金銭のやり取りを可能にするサービスとして考案されたのがVenmoというわけだ。人から人への金銭授受のほか、通常は小切手などを用いる家賃の支払いもVenmoを用いれば、手軽に行なえるようになる。

 もうひとつ、単純な金銭の受け渡し以外にVenmoのような仕組みが役立つ場面がある。それが「割り勘」だ。特に学生の間ではパーティや仲間同士でレストランに行く機会も多いと思われるが、最後の会計の場面では「割り勘」ということになる。ただ、割り勘のタイミングで現金の持ち合わせがなかったり、あるいは人数で割って1ドル以下の単位にまで支払い金額が細かくなると困る場面も少なくない。Venmoには割り勘機能が搭載されており、発生した支払い金額をその場にいるメンバーで分担して支払うことが簡単に行なえる。

 Venmoの使い方は簡単だ。AndroidまたはiOSのアプリが提供されており、App StoreGoogle Playからダウンロードしてインストールするだけでいい。セットアップに必要なのは、米国の銀行口座と、SMSでメッセージを受け取るための米国の電話番号(携帯電話番号)のふたつで、すぐに利用を開始できる。最初からモバイル利用を想定して作られているサービスだけあり、この辺りの設定の簡便さがセールスポイントのひとつになっているようだ。

 サービスは、銀行口座とデビットカードを利用する場合は無料となり、クレジットカードを利用する場合のみ3%の手数料が徴収される。米国では銀行から発行されるATMカードがそのままデビットカードとして利用できるため、このままVenmoのサービスを無料で利用できるのはユーザーにとって大きなメリットだ。

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