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NetApp Innovation 2016の基調講演でソリッドファイア買収にも言及

AWSからAzureへフェイルオーバー!Data Fabricのデモが披露

2016年02月03日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月2日、ネットアップは年次のプライベートイベント「NetApp Innovation 2016」を開催した。今回で6回目となるNetApp Innovationの基調講演では、クラウド時代のデータ管理アーキテクチャ「Data Fabric」を中心に据えた同社の戦略が披露された。

開発者をイネーブルするハイブリッドクラウドを

 基調講演に登壇した米ネットアップ プレジデント 兼 Go-to-Market オペレーション責任者のロブ・サーモン氏は、企業にとって売り上げ増大とコスト削減というテーマは不変であるものの、デジタル変革によって迅速性が必要になり、ビジネスプロセスに大きな変革が起こっていると説明した。「私たちがこの会社を立ち上げた22年前に比べ、消費行動は大きく変わっている。この先5年でさらに大きく変わるだろう。そしてITはそれに適応しなければならない」(サーモン氏)。

米ネットアップ プレジデント 兼 Go-to-Market オペレーション責任者 ロブ・サーモン氏

 こうしたデジタル変革に対応する柔軟性を得るためには、ハイブリッドクラウドが1つの鍵となるという。「ハイブリッドクラウドが必要かという議論はすでに必要ない。現実に存在しているし、今後の主要なアーキテクチャになるのは確実だ」と語るサーモン氏は、同社の差別化された戦略としてハイブリッドクラウドを実現するData Fabiricについて説明する。

 Data Fabricのアーキテクチャは同社が長年培ってきたプライベートクラウドのノウハウから生まれたものだ。「お客様にはアーキテクチャがサイロ化し、非効率で、拡張できない。QoSがないといった問題点があった。こうした課題に対し、われわれはパートナーとともにプライベートクラウド構築のお手伝いをしてきた」(サーモン氏)という経験の中で、データの可搬性(モビリティ)に注目。オンプレミス、ハイパースケーラーのパブリッククラウド、ホスティングなど複数の事業者をまたいだハイブリッドクラウドの課題解決に活かしてきたという。「クラウドの敷居を突き破っていこう、シームレスでないモノを突き破っていこうというのが、われわれのData Fabricだ」(サーモン氏)。

 続いて登壇した米ネットアップ クラウド・ビッグデータCTO ヴァル・バーコビッチ氏は、アップルのiCloudのシンプルな使い勝手、AirBnB、Uberなどデジタル変革の旗手などを例に挙げ、ハイブリッドクラウド台頭の必然性を強調する。「従来型のITではこうした成功は達成できなかった。メールシステムが優れていたからでも、SharePointをうまく使っていたからでも、オラクルの会計システムを使っていたからでもない。彼らが成功できたのは、アプリケーション開発者をイネーブル(Enable)させたからだ」とバーコビッチ氏は語る。

米ネットアップ クラウド・ビッグデータCTO ヴァル・バーコビッチ氏

 Data Fabricでは顧客の主要なアセットとなるデータを有効活用できる。「普遍的な価値は変わらない。サイロを避ける、効率性を上げる、クラウド間でデータを移動させる、データをコントロールすることが可能だ。容量を過剰に使いすぎていないか、不必要にレプリケーションしていないかチェックできる」(バーコビッチ氏)。そして、コンセプト先行だった昨年と異なり、顧客はData Fabricを商用環境ですでに導入できると強調する。

 まず同社の基幹製品である「clusterd DataONTAP(cDOT)」においては、今までのアプライアンスとしての提供にとどまらず、他社製品やAWS上のサービスとして利用できる。バーコビッチ氏は「クラウドではエラシティティ(弾力性)がメリットだ。Cloud ONTAPを使えば、プロビジョニングを変える必要もなく、同じプロセスで1万個のインスタンスを立ち上げることができる」とアピール。また、オブジェクトストレージの「WebScale StorageGRID」やデータモビリティを実現する「AltaVault」、管理ツールの「OnCommandシリーズ」などでData Fabricをサポートするほか、ハイパースケーラーと連携できるNPS(NetApp Private Storage)も利用可能だ。

Data Fabricを構成するエコシステム

Data Fabricでなにができるか?デモを披露

 Data Fabricの戦略を発表して約1年。ネットアップはData Fabricをコンセプトからソリューションへと昇華させてきた。基調講演ではネットアップ 常務執行役員CTO 近藤 正孝氏とソリューション技術本部SE4部 システムズエンジニア田端 秀敬氏が登壇し、Data Fabricの具体的なデモを披露した。

 最初に披露したのが、パブリッククラウドの停止を前提としたマルチクラウドでの障害対策デモ。田端氏がAWSのコンソールからSQL Serverのインスタンスを停止させると、5秒後くらいにAzureで同じSQL Serverのノードが立ち上げる。そのからくりは、データ自体がクラウド上にはなく、NPSとしてクラウドと直結されたデータセンターにホストされてゆえに実現されている。「5TBでも、100TBでも5秒でフェイルオーバーは完了する。データはNPSの中にあり、クラウドの中を移動していないから」(田端氏)というわけだ。「マルチクラウド環境で瞬時にシステムを動かしながら、データ保護を実現するのがNPSのソリューション」と近藤氏はアピールする。

 次のデモはクラウド上で動作するCloud ONTAPだ。近藤氏のオーダーに応じて、田端氏がOnCommand Cloud Managerを起動すると、AWS上のCloud ONTAP、NPS、オンプレミス上のcDOTを1つの画面で一望できるGUIが登場する。「今までFASというハードウェアで動いていたONTAPが、クラウド上のSoftware-DefinedなストレージOSとして動作する。同じ操作体系、同じAPIが使える」と田端氏は説明する。

OnCommand Cloud Manager上ではクラウドやオンプレミス、NPS上のONTAPが一望できる

 最後に披露されたのがクラウドバックアップを効率的に実現するAltaVaultのデモ。AltaVaultではデータ転送時に圧縮と暗号化をかけるため、効率よくクラウドへのデータ移行を実現できる。今回はAmazon S3に格納されている会計データをAltaVault経由でAzure上に展開するというシナリオで、製品化前のデモだという。

 田端氏はCloud ManagerはウィザードからAWSのVPCにAltaVault、Azure上にCloud ONTAPをデプロイ。社内のIT部門からの要求で暗号化の機能が追加されていることもアピールされた。「弊社は1号ユーザーとなって自社の製品を試しているが、法務からNGが出てしまい、暗号化の機能が追加された。Amazon EBSにも暗号化機能があるので、EBSの鍵管理もCloud Manager側でできるようにした」と田端氏は語る。

 その後、Cloud Manager上にあるAWSのAltaVaultのアイコンをAzureのクラウドにドラッグ&ドロップすると、データの転送が開始。メニューからレプリケーションのステータスも表示される。「ネットアップはハイブリッドクラウド環境で、データを簡単に操作する、移動させる仕組みを拡充していこうと考えている。これがまさにData Fabricで実現しようとしていること」と近藤氏は聴衆にアピールした。

Azure上にCloud ONTAPをデプロイAWSのAltaVaultのアイコンをドラッグ&ドロップでAzureに

ソリッドファイアの買収でオールフラッシュ戦略はどう変わる?

 基調講演では先日発表された米ソリッドファイアの買収についても触れられた。2010年設立のソリッドファイアはスケールアウト型のオールフラッシュアレイを提供する米国のITベンダー。「OpenStackのユーザーが選択したいベンダーの1位がネットアップ、2位がソリッドファイアだった」(バーコビッチ氏)とのことで、OpenStackとの親和性が高いのが大きな理由だったという。

 買収の詳細は今後の話になるが、同社のオールフラッシュアレイの戦略としては、3つの方向性を志向するという。1つはマイクロセカンドの低遅延を目指す「スピード」の領域。こちらはシンプルなSANストレージである「EFシリーズ」が担う。2つ目の「データサービス」はリッチなデータ管理機能を志向するオールフラッシュアレイで、この領域は昨年リブランディングした「All Flash FAS(AFF)」がカバーする。そして、3つ目の「スケール」という領域に、クラスターあたり100ノードまで拡張できるソリッドファイアの製品を割り当てるという。バーコビッチ氏は「まさにハイエンドのスケールアウトを実現するのはソリッドファイアの役割」と語り、ソリッドファイアCEOであるデビッド・ライト氏のビデオを披露した。

ソリッドファイア買収後のフラッシュ戦略ソリッドファイアのデビッド・ライトCEOがビデオで登壇

 ネットアップのビジネスは引き続き好調で、All Flash FASは445%、Eシリーズは20%、clustered Data ONTAPのノード数は95%の成長(前年比の出荷台数)を実現しているとのこと。今後、「激変の続く業界でお客様を導く唯一のベンダー」「お客様の成功を支援するトラステッドアドバイザー」として、独自のビジョンと徹底的な実行を推進していくという。

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