DMM.makeは8月27日、ハードウェアスタートアップに幅広く販売の機会を提供する新サービス『DMM.make SELECTION』を開始。これに連動する形で、DMM.make STOREでも『DMM.make SELECTION』カテゴリとしてハードウェアスタートアップの商品の取り扱い・販売を開始した。
DMM.makeはこれまで、シェアファクトリーとシェアオフィスという形で、ハードウェアスタートアップの「モノづくり」を支援してきた。今回のDMM.make SELECTIONはその次のステップである、販路・販売の支援ということになる。
「ハードウェアスタートアップ商品の取り扱い」とだけ聞くと、先ごろアメリカでAmazonが開始した「Launchpad」と競合するサービスにも思えるが、担当プロデューサーの坂口氏は競合関係になることは否定していた。
DMM.make SELECTIONの取り組みでは、DMM.makeは自社のECサイト・DMM.make STOREでの販売もしつつ、他ECサイトや販路へ商品を流す代理店機能も果たす。つまり、Amazon Launchpadは取引先になり、「競合関係」ではなく「協業関係」になるというわけだ。
さて、DMM.make SELECTIONの当初のラインナップは、DMM.make入居企業を含む6メーカー11商品。最高価格は、DMM.make入居メーカーによる電動バイクの『zecOO』で、959万400円(ウェブ版週刊アスキーでの開発者取材記事はコチラ)。
もし、スタートアップがDMM.make SELECTIONで自社商品を取り扱って欲しいとなった場合、Web応募で審査してもらい、審査にとおれば世界各国のDMM.makeの販路や、大手EC販社などを通じて販売できるようになる。
ユニークなのは、販売に際して、通常の仕入れ型の在庫販売のほか、製造リスク(在庫リスクなど)を回避できる「受注販売」も行っていく。受注販売対応は、生産資金や在庫リスクの問題からクラウドファンディング後の一般販売に移りずらいプロダクトにとって、販売機会を増やすことにつながる。 先ほどのzecOOなどの一部商品は、この受注方式での販売となっている。
なぜ一般流通させるための支援が必要なのか?そのワケ
やや専門的な話になるけれど、クラウドファンディングには無事成功したのに、その次のステップである「一般販売」に移れなかったり、価格設定で大いに悩むハードウェアスタートアップの商品は実は多い。
理由はいくつかあるが、よく耳にするのは一般販売にあたって必要な、流通マージン(流通に支払う儲け)を考慮しない価格設定で発表・発売してしまっているケース。
クラウドファンディング(ある種のテスト販売=直販)を前提としたギリギリの原価率設計の商品で流通マージンをとろうとすると、利益を削って店頭販売するか(赤字になってしまう場合が多い=できない)、店頭販売用だけ価格を大幅に上げるしかない。どちらもメーカーにとっては選択しにくい。
DMM.make SELECTIONでは、こうした価格面も含めた「一般流通で売るための準備」のアドバイスや、一般流通に流すためのさまざまなノウハウも提供していくという。
発表会で初耳だったのは、DMM.makeはすでに世界数カ国に販売流通のための法人をつくっているということ。下準備は万端ということだ。いま公にできるのは日本、サンフランシスコ、インド、ベルリンの4拠点だそうだけれど、このプラットフォームを使って「日本発、世界へ」の実例がどのくらい出てくるのか、興味深い。
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