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「KH-KZ3000」と「KH-KZ1000」

この低域は魅力的、ケンウッドの6年半ぶり新機種を聴く

2015年08月07日 09時00分更新

文● 小林 久/ASCII.jp

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圧倒的に良質な低域、クラストップクラスの情報量

 実際にサウンドを確かめてみる。特にKZ3000でまず驚かされるのは充実した低域の再現だ。単に量感が豊富というだけでなく、明晰で見通しよくキック、あるいはベースラインが刻まれて、非常に分離に優れている印象。ポップス系、ロック系の音源であればビート感を巧みに演出するし、ライブ会場のPAから力強く響くのずしりとした低域の力感も感じさせる。単に力強いだけではなく、音色の描きわけも明快。タイトで実在感のある音に思える。硬軟でいえば硬めだが、神経質な感じはあまりなく、敢えて低域の量感を強調したような音源でなければ長時間のリスニングでも疲れない。

 たとえばテクノポップ調の曲『ウィッチ☆アクティビティ』(KMM団)を聴くと、リズムボックスが単純にリズムを刻んでいるだけでなく、複雑に音が重なり、小さな歪みといった部分も含む、緻密な音源だったのだと気づく。明確な音の分離や音色のニュアンス的なものがここまでよく分離するヘッドフォンはこの価格帯でもあまりないだろう。

ユニットは直径40mm。さらにタイトでローエンドまで伸びる低域を再現するため、ダクトやディフューザーといったパーツを使用している。

 低域の切れの良さは、『Liquid Spirit』(Gregory Porter)などを聴くとさらによくわかる。ウッドベース特有のゴリッとした感触や立ち上がりの鋭さ、リズム帯を構成する個々の楽器の描きわけといった部分が印象的だ。

 聴き始めは全体に低域によったパワーバランスという印象の強いKZ3000だが、たとえば山中千尋のジャズ演奏『クロース・トゥ・ユー』などを聴くと、シンバルのリアルなアタック感や高域にすっと抜ける余韻がある。金属を叩いている感じが伝わるし、雑味もない。高域もピュアに抜ける印象だ。いずれにせよ、全体を通じてタイトでフォーカスがくっきりと合ったサウンドは、聴きなれた曲を一皮むけたようにクリアーに聴かせる。低域は厚くかつ明晰。高域は伸びて少しきらびやかな味も含むという感じだろうか。

 同価格帯の製品ということでシュアの「SHR1540」とも聴き比べてみたが、若干厚めに低域が鳴る傾向のあるSHR1540と比べても、低域がぐっと前に出てくる印象だ。全帯域が割と滑らかにつながるSHR1540と比較すると、若干の強調もある(特に女性ボーカルなどを聴くとその傾向を意識する)ようだが、情報量は豊富でKZ3000を好ましいと感じるリスナーも多いだろう。この価格帯の製品の中では、トップクラスの再生能力を持った製品と言えそうだ。

ドライバーユニットのサイズ自体はKZ3000もKZ1000も変わらない。

 また下位のKZ1000もKZ3000を聴き比べると、さすがに価格相応の差を感じるのだが、全体的によくまとめているように思える。低域については腰高というか、沈み込みの深さで及ばない面があるものの、KZ1000もまたタイトで情報量の多い傾向だ。これはKZ3000にも共通して採用されているクアッドダクトの効果だろう。低域の量感や明晰さも十分と言える。逆にボーカルの表現は自然なので、ビート感よりも、ゆったりとバランスが取れた音調を好むというのなら悪くない選択だ。

 また本体の質感という意味では少々チープに見えるが、そのぶん軽さの面ではメリットになる。外で音楽を楽しんだり、長時間装着し続けたい向きには価値がある製品に思える。

販路が限定されるが、一度聴く価値のある秀逸なサウンド

 今回紹介した2モデルはいずれもビクターエンタテインメント オンラインショップ限定での販売となり、店頭には並ばない。したがって、興味を持った読者でも、試聴する機会はかなり限定されると思う。ただし、サウンドについては同価格帯の競合製品と比べてもかなり水準が高く、ぜひ体験してほしい製品でもある。

 特に、KZ3000はロックやリズムがはっきりしたポップスの歯切れ良く弾む低域を楽しみたいと考えるなら、自信をもって薦められる仕上がりだ。リズムがはっきりとした音、ビートを肌で感じたいという向きには非常に適した選択と言えそう。6年半ぶりに満を持して投入した製品というのも納得できる自信作と言えそうだ。

直販限定の製品となる。

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