4月24日、日本マイクロソフトはビッグデータの取り組みに関する記者説明会を開催し、BIツール「Power BI」の無償版を発表した。説明会では、ビッグデータ活用基盤にPower BIとMicrosoft Azureを採用したことを同日発表した良品計画の奥谷孝司氏も講演し、ビッグデータ民主化の現場を披露した。
無償設計ツールとPower BIのクラウドサービスを提供
Power BIは専門家ではないユーザーでもデータ分析を可能にするマイクロソフトのBIソリューション。データ収集やインメモリでのデータ分析、可視化、マップへのプロットなどが可能なアドインがExcel(Office 365 ProPlus /Office Professional Plus)向けに用意されているほか、「Power BI for Office 365」というOffice 365ファミリーのクラウドサービスとしても提供されている。
今回、日本マイクロソフトはこれらPower BIのフリーミアム化(無償化)を発表。具体的には「Power BI Designer」というWindows向けのツールおよびクラウドサービスのPower BI.comが提供され、ユーザーあたり最大1GBのデータ保持と分析が無料で利用できるようになった。
Power BI Designerは幅広いデータを取得し、データの可視化やレポート作成が行なえる設計ツール。データソースとしては、Dynamics CRMやExchange、Active Directoryなどマイクロソフト製品はもちろん、HadoopやGoogle Analytics、Facebook、Salesforceなど他社のデータソースが選択できる。Power BI.comもメールアドレスを入力するだけで利用可能。HTML5で描画しているので、レポートをさまざまなデバイスから利用できるという。
ビッグデータ活用の経済的な障壁を取り去る
発表会に登壇した日本マイクロソフト株式会社 サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドアプリケーションビジネス部 部長 斎藤泰行氏は、総務省のICT関連の調査をベースに、国内のビッグデータ市場は小売や製造業、農業、インフラなど各分野で7.7兆円が見込まれていると説明。ビッグデータの活用を促進するため、公共データのオープン化、ユーザーやセンサー情報の利活用、電子カルテの情報・分析などが進められているという。
しかし、最新の調査ではビッグデータで効果を得ている企業はまだ4.6%に過ぎない。斎藤氏は「まだまだ完全にビッグデータを活用できていないのが国内の現状。マーケティングやBIのような経営管理が先行しているが、もっと裾野を拡げるような形にシフトしなければならないと考えている」と指摘する。
総務省の調査をひもとくと、どのように利用してよいかわからない、どのように分析するかわからないといった技術的な障壁があると斎藤氏は指摘する。これに対して、マイクロソフトは「ビッグデータの民主化」を提唱し、ExcelやOffice 365においてBIツール「Power BI」を提供。誰もが使い慣れたExcelのデータ活用機能を拡充することで、現場のユーザーがビッグデータ分析を可能にしてきた。
今回のPower BIフリーミアム化は、これまでの技術的障壁に加えて、費用対効果や分析にお金がかかるという経済的な障壁を取り去る施策として提供される。技術的な障壁に加え、経済的な障壁を下げることで、「ビッグデータの民主化」という戦略を推し進めるという。
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