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時事セキュリティが5分でわかる 第18回

2014年だけで被害額は174億円! 被害は増え続けている

史上最悪の振り込め詐欺被害額! 対策は両親宅に電話番号を貼り出せ!?

2015年04月22日 15時00分更新

文● まかふぃーぶ

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 最近気になるセキュリティ事件のあらましをざっくり解説! 注目点とユーザーレベルでの対策をお伝えします。連載一覧はこちら

特殊詐欺被害の認知状況(2014年/警視庁の広報資料より)

2014年の特殊詐欺被害額は過去最悪に
振り込め詐欺被害の現状と対策は

 先日、警視庁が2014年の振り込め詐欺など特殊詐欺による被害総額を発表した。被害額は過去最悪となる559.4億円で、同年のすべての財産犯の現金被害額(約1130億円)の半分近い49.5%を占めるなど、非常に深刻な事態となっている。

 ニュースや犯罪防止キャンペーンなどで手口が広く周知されてきているにも関わらず、被害が増え続けている振り込め詐欺。こうした詐欺の現状と、個人がとるべき対策について、ITジャーナリストの三上洋氏に訊いた。

三上 「昨年の特殊詐欺による被害額のうち、いわゆる振り込め詐欺の被害額は174億円に上りました。これも史上最悪です。

 昨年、一昨年と、警視庁では大規模な防止キャンペーンを展開したり、各地域では高齢者の家庭を巡回し周知に努めるなど地道な努力も行なわれていますが、それでも被害は縮小する様子がありません。

 ちなみに他の特殊詐欺被害の話をすると、アダルトサイトの架空請求の被害額も171憶と、ほぼ同額です。これも昔からある手口で、内容が内容なので、メディアでもそれほど大きく取り上げないのですが、同様に深刻な被害が出ているため、もう少し周知を徹底すべきだと思っています。

 振り込め詐欺の被害額が増えた原因としては、2つのことが考えられると思います。1つは犯行がより大規模になり、洗練されてきていること。先週、国内の詐欺グループの大きな摘発がありましたが、グループ内で犯行のマニュアルが作成され、100人を超える人数でシステマチックに犯行を続けていたようです。

 2つ目は海外の詐欺グループの本格的な参入です。昨年はネットバンキングの不正送金やLINE乗っ取りなど、海外組織が絡んでいると思われる詐欺事件が多かったのですね。いったん狙いをつけると徹底的に攻撃し、非常に大規模な犯罪ビジネスにしてしまうのが海外組織の1つの特徴です」

手口は洗練されているものの、基本は変わらず
「交通事故を起こした息子」装う劇場型多し

「基本的な手口は数年前から変わらず、より大規模でシステマチックになっている」(ITジャーナリストの三上洋氏)

 被害額が増大している振り込め詐欺だが、基本的な手口は数年前から一貫して変わらないと三上氏は指摘する。

三上 「息子のふりをして親に電話をかける、という手口自体は以前とまったく変わりません。

 不思議と娘を装うパターンはあまりないようです。電話口で『声がおかしい』と指摘されれば、扁桃腺や溶連菌のせいで調子が悪い、と答えるのも定番です。ただ、被害例を見ると、電話を取った時点で信じてしまう例も多いようですね。

 お金を騙し取る際の理由は『女性を妊娠させた』『会社のお金を使いこんだ』『株で失敗した』『交通事故にあった』などほぼ定番化していますが、そのなかでも交通事故のパターンが使われる場合が多いんです。

 なぜかと言えば、おそらく多くの人物を電話口に登場させやすいからでしょう。まずは本人を装った電話がかかってきて、その後に警察が、場合によっては保険会社や会社の上司が登場するなど、人数を増やして相手を信用させる劇場型の手口は非常に多いです。

 騙した後でお金をどう受け取るか、これはやはりATMがほとんどです。ほかにもレターパックや宅急便に現金を入れてくれ、というパターンもありますね」

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