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パナソニック、ショーケース変革を促す「CO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システム」

2014年08月08日 09時00分更新

文● 大河原克行

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ショーケース変革を促す
「CO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システム」

 一方、パナソニックでは、2013年度にスーパーGP(グリーンプロダクツ)商品として、コンビニなどにおけるショーケース変革を促す「CO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システム」、パナホームから発売している太陽光発電パネルをそのまま屋根に活用した「カサート エコ・コルディス」、中国の空質改善に寄与した「中国市場向け空気清浄機シリーズ」の3製品を社内選定したという。

2013年度のスーパーGP(グリーンプロダクツ)商品

 なかでも、高い成果が出ているのが、「CO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システム」である。

 パナソニックでは、産地から食卓までの食を支える「コールドチェーンビジネス」を展開しているが、CO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システムによって、HFC冷媒をしのぐ省エネを実現。店舗のコールドチェーン機器のCO2冷媒化を加速できるという。

 世界的傾向として冷媒規制が進展する中で、CO2冷媒に対する注目が高まっており、日本でもフロン回収破壊法が2015年4月に施行。CO2冷媒への移行が加速するものと予測されている。

世界の冷媒規制動向

グローバル冷媒規制と冷媒転換

日本でもフロン回収破壊法が2015年4月に施行

 「冷凍空調機器の自然冷媒化が喫緊の課題となっており、特に可燃性や毒性がないCO2冷媒の活用が推進されるとみられている」(パナソニック アプライアンス社エアコン・コールドチェーン開発センター・三原一彦グループマネージャー)という。

パナソニック アプライアンス社エアコン・コールドチェーン開発センター・三原一彦グループマネージャー

 だが、CO2冷媒による冷凍機システムでは、HFC冷媒に比べて運転圧力が4倍になるため、耐圧強度を高めた安全確保が必要なこと、常温における超臨界での放熱が困難であるため、HFC冷媒に比べて理論効率が低下すること、超臨界運転では冷媒の流れの制御が困難であるという課題があるという。

 パナソニックが開発したCO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システムでは、「2段圧縮コンプレッサ」「スプリットサイクル」「適正冷媒封入量の判定」「高圧圧力制御」「ショーケースの高耐圧化」「店舗コントローラ」の6つの技術によって、こうした課題を解決。

CO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システムの核となる2段圧縮コンプレッサのカットモデル

 HFC冷媒に対して、省エネ性では冷凍機器で25.4%削減、冷蔵機器で16.2%削減、環境性としてはCO2排出量を半分以下となる58%削減できるという。また、配管部材使用量も37%削減が可能であり、冷媒使用量も3分の1〜5分の1に削減できるという。

 「今回のCO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システムは、ノンフロン冷凍機、CO2冷媒対応ショーケース、店舗の冷凍機器を統合管理するマスターコントローラの3つの商品の開発によって実現したもの。冷凍機とショーケースを一緒に開発できるのはパナソニックだけであり、両商品の密接なつながりによって実現できた」(パナソニック・三原グループマネージャー)

 世界初となる2段圧縮コンプレッサでは、冷媒の圧縮を2回に分けて行ない、コンプレッサケースの内部を中間圧とすることで、圧縮荷重および圧力差を分散。さらに、スプリットサイクルにより、分岐回路の減圧した冷媒とメイン回路の冷媒とを熱交換して、メイン回路の冷媒を冷却。この組み合わせにより、高効率、低振動、低騒音、高信頼性を実現するという。

 2013年度は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどを対象に約50店舗での導入実績だったが、2014年度には補助金制度もあり、一気に400店舗への導入が見込まれており、すでに200店舗に向けて施工が開始されているという。

国内のシステム導入状況

 「施工が追いつかないという状況が続いている。ローソンが積極導入を図っているのに加えて、コープさっぽろや、渋谷ヒカリエの食品売り場などへの導入実績がある」という。

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