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携帯電話の請求金額はどうしてこんなにも高いのか

2014年05月20日 07時00分更新

Lauren Orsini via ReadWrite

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新ワイヤレステクノロジーの恩恵を受けられない消費者たち

携帯電話の請求金額はどうしてこんなにも高いのか

スマートフォンの4Gデータサービスについて、あなたはどれくらい知っているだろうか? 利用者に対して高速データを提供するものだということは周知されているかもしれない。しかし、それと同時に携帯電話会社にとってはさらに低コストで提供できるサービスであるということをご存知だろうか? それなのに、いまだに4Gよりも遅い3Gサービスと同等、もしくはそれ以上の利用料金が請求されるのはおかしいと思わないだろうか?

恐らくそんなに費用はかからないはずなのだ。ではその理由を挙げてみよう。

3G(第3世代)と4G(第4世代)について考えるとき、たいていの人は「どちらかが新しくて速い方」といった違いしか思い浮かばないだろう。そしてそう考えることになんの不思議もない。携帯電話会社は、3G、4Gといった言葉を技術的な説明よりもマーケティング用語として使用している上、実際にはほとんどの会社が4Gを詐称しているのだ。4Gの「本当の」定義とは、固定ロケーションにおいては毎秒1ギガビット、移動中では毎秒100メガビットのダウンロード速度であるとしているが、世界中の携帯電話会社はまだそこまで至っていないのである。

4Gと3Gの技術インフラ的な機能効率を比較してみると、非常に興味深いことが分かる。ワイヤレス国際標準化団体である国際連合支部のITU(国際電気通信連合)は、各世代の携帯電話技術はユーザーのためだけに開発されているわけではないと述べている。つまり、携帯電話会社がより簡単で低コストなサービスを提供できるようにも開発されているのだ。

携帯電話会社が儲けるカラクリ

携帯通信速度の一番わかりやすい技術的な定義は、一秒間にどれだけのデータを送信できるかだろう。携帯電話会社は、最新技術を利用したLong Term Evolution(LTE)として知られる第4世代を実装することにより、毎秒さらに多くのデータを提供することに成功している。従来の半分の努力で、さらに進化したサービスを提供できるようになっているのだ。

例えて言うと、あなたがミルクセーキを飲んでいるとしよう。細長いストローでもったりとした濃いアイスクリームベースの飲み物を飲むには、延々と時間がかかる。では太いストローではどうだろうか。それほど時間をかけずに飲むことができるだろう。4Gというのは、太いストローを使うようなものなのだ。

多くのデータを高速に移動させる能力は、スペクトル効率と呼ばれるものによって測定される(帯域効率とも呼ばれる)。スペクトル効率とは、情報の流れに対する速度の測定値であり、歴代携帯電話ごとに改良されている。

スペクトル管理コンサルティングの創設者、スティーブン・ストラヴィッツは、ワイヤレスおよびモバイルを中心とした新たな技術動向の潮流を調査した元エンジニアである。彼は、その基本的な仕組みについて以下のように説明している。

「いいですか、通信基地局のオペレーターが、ワイヤレススペクトルの10メガバイトのチャンネルを割り当てたとしましょう。3Gネットワークでは、毎秒10メガビットをダウンロードすることができるはずです。そしてより効率的な4Gでは、毎秒15メガビットでダウンロードが可能です。ということは、効率性を50%アップすることができるはずなのです。」

つまり、技術の進歩によって携帯電話会社は、従来割り当てられているものと同じ量の帯域幅で、50%の性能アップを見込めることを意味するのだ。

この意見は技術的な観点からは理にかなっているだろう。しかし実際に4G LTEの速度を定義するのはそう容易いことではない。LTEの速度は特定の携帯電話会社が利用可能なスペクトルの量、展開されているLTEの種類、そして携帯電話から中継塔へのダウンリンクとアップリンク間のスペクトルの処理方法によって異なる。

携帯電話の中継塔とインターネットの間でデータを移動するインフラのバックホールにおいては、携帯電話会社によって強度に差が出ることもある。つまり、4Gネットワーク上で優れたバックホールを所有する携帯電話会社もあるし(有名なところではAT&Tやベライゾンがある)、スプリントのように構築中の会社もあるということだ。

さらに儲かる仕組み

携帯スペクトル効率の技術的側面をよく知るユーザーは少ない。だから3G携帯電話と同料金を4G携帯電話に払っていても文句も言わないのである。中には、3Gプランが25ドルに対して4Gプランが40ドルという会社さえあるのだ。

ビジネスの観点から見ると、携帯電話会社にとって4Gのサービスや技術は非常に有益であるといえよう。まず第一に、「4G LTE」をデバイスに搭載すればスマートフォンの売上げが伸びるし、テレビCMも面白くなる。次に、消費者は「4G」が実際に何であるかを知らなくとも、それが欲しくなる。そして携帯電話会社は、高い利益率で高速サービスを提供し、どんどん儲かっていくのだ。結局のところ、従来よりも優れたサービスを利用するにはそれなりの料金を支払わなければならないということだろうか?

米国の携帯電話会社は様々な理由で今までにないほど利益を伸ばしているが、主要商品の収益によるところも大きい。例えば、今年の第一四半期におけるベライゾンの利益は、2013年の第一四半期の20億ドルから39.5億ドルへと2倍近くに伸びたという。

もちろん競争市場では、さらなる顧客獲得に向けて各携帯電話会社による価格競争が起こって当然だ。しかし米国携帯電話市場においてそのような競争が起こるような兆候は無く、それがある意味興味深いといえる。

The Economistが示す2013年10月のグラフには、米国における500MB(メガバイト)データサイズの携帯電話のプラン額が、他国の同プラン額を大きく上回っていたと記載されている。米国の500MBデータサイズの携帯プランは約85ドル。ところが隣の国カナダでは、同じプランがたったの40.60ドルなのだ。米国でのLTE普及はカナダよりも進んでいるにもかかわらず、アメリカ人が払っているデータ料金の方がはるかに高いのである。

ジュニパーネットワークのスティーブ・ショウは昨年、携帯電話に焦点をあてたウェブメディア「RCR Wireless」で次のように述べた。「現在、ベライゾン・ネットワークのトラフィックにおける通信料は1ギガあたりおよそ7ドルか7.50ドルだが、他の携帯電話事業においては1ドル以下のところもある。このような場合、価格設定は帯域幅のみに基づいてなされていない」

基本的に米国の携帯電話会社は、自社のネットワーク上のビット当たりのコストが徐々に下がっているにもかかわらず、消費者から金銭を巻き上げられるようになっているのだ。この意見に対して恐らく携帯電話会社は、国のインフラに投資しているのだからそれなりの金額を請求する必要があるのだと主張するだろう。しかし、全ての基地局の建設が終了すれば、全バックホールは最適化され携帯料金が安くなるのだろうか?

消費者の技術面に対する知識は、携帯電話会社による3Gや4Gの高額請求をやめさせることができるだろうか? ストラヴィッツの意見はこうだ。「恐らく何も変わらないだろう」。

「あまり議論されていないのは弾力性曲線だと思う」と彼は続ける。「価格は消費者の使用量を決定づける。このため、価格と使用量にはつながりがある。携帯電話会社は値下げをしない。なぜならその必要がないからだ。消費者の反応と支払う価格は深く関係しており、そのため本質的に、オペレータは提供する料金プランで使用量をはかることができるのだ」。

しかし、それは今後十年の間、次世代が現実になった時に考慮すればいい問題であろう。今後携帯電話はさらに高速に、安価に、そして簡単に生産することが出来るようになるだろう。そして携帯電話会社はどんどん裕福になっていくのである。

画像提供:Wikipedia Commons

Lauren Orsini
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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