店が高額の専用端末を用意しなくても、手持ちのスマホを使って安く、手軽に客からのクレジットカード決済に対応できるようにするスマホ決済サービス。「楽天スマートペイ」や「ペイパルヒア(PayPal Here)」、「コイニー(Coiney)」、「スクエア(Square)」などが市場競争を繰り広げるなか、カカクコムの運営するグルメサイト「食べログ」が新たに市場参入した。
「食べログ」が15日から飲食店向けに提供を開始したスマホ決済サービス「食べログPay」は、ベリトランスのスマホ決済システム「VeriTrans mPOS(ベリトランス エムポス)」を利用している。店側は手持ちのスマホに専用アプリをインストールし、カードリーダーを接続すれば利用可能。アプリとカードリーダーは無料(2台目以降のカードリーダーは1台2000円)のため初期費用はかからず、毎月の月額利用料も無料。決済金額に応じた手数料をのぞき、費用の負担は発生しない。手数料も3%と業界最安水準をうたう。
スマホ決済サービス各社が狙っているのは、キャッシュレス(脱現金)化の進展により拡大しつつある電子決済市場だ。矢野経済研究所が2月に公表した「電子決済市場に関する調査結果 2013」によると、2012年度の電子決済市場は推計で前年度比6.9%増の約44兆6000億円まで拡大し、13年度は9.3%増の48兆8000億円規模に、17年度には66兆3900億円にまで成長すると予測している。
こうした背景から「食べログ」では、今後、飲食業界においてもスマホ決済サービスの普及が進むことを想定。「食べログPay」を導入した。「食べログ」は14年3月末現在で掲載レストラン数が約77万件に及ぶ。これを機に飲食店でスマホ決済サービスの普及が進めば、電子決済市場の拡大スピードも加速しそうだ。