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ドレスと猫をこよなく愛する漫画家がタブレットPCにチャレンジ

イラスト解説付き!冬コミの原稿制作にdynabook V713がお勧めの理由

2013年11月08日 11時00分更新

文● 花園あずき(イラストも)

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「dynabook V713」で描いたイラスト

 はじめまして、花園あずきです。『小公女(マンガジュニア名作シリーズ)』(学研教育出版)、『はやげん! はやよみ源氏物語』(新書館)という単行本を出しているプロの漫画家ですが、コミックマーケット(コミケ)やコミティアなどのイベントにも参加する同人作家でもあります。

 10月に入って朝夕が寒くなってくると、いよいよ冬のコミケ(冬コミ)の準備です(2013年冬の「コミックマーケット85」は12月29日~31日に開催)。これまでは紙とデスクトップPCで作品作りをしてきましたが、今回は東芝の11.6型Ultrabook「dynabook V713」を取り入れてみます。

 「dynabook V713」はキーボード部分が分離する「デタッチャブル(Detachable)」というタイプのパソコンですが、主にキーボード部分を取り外してタブレットとして使っています。さっそく、タブレット作業で良かった点を順番にレビューしていこうと思います。

東芝のUltrabook「dynabook V713」。キーボード部分を取り外せばタブレットPCとして利用できる付属するスタイラスペン。グリップ付きの手に馴染みやすい形状で、お絵描きにも十分使える
dynabook V713/W1J」の主な仕様(東芝ダイレクト直販モデル)
CPU Core i5-3339Y(1.50GHz)
メモリー 4GB(DDR3 1600)
チップセット インテル HM76 Express
グラフィック インテル HD グラフィックス 4000(CPUに内蔵)
ストレージ SSD 256GB
バッテリー駆動時間 約7時間
OS Windows 8 64bit
サイズ/重量 幅299×奥行き220.5×高さ19.9mm/約1.47kg
直販価格 13万1800円から

コミケに向けてまずはネーム作業

以前は紙に描いていたネーム。担当編集に渡す際には、1枚1枚スキャンしてメール送信していましたフルデジタル移行後のネーム。CLIP STUDIO PAINT EXの作品管理機能で、全ページを一括で書き出せます

 コミケやコミティアで頒布しているのは、30ページほどの漫画の本なのですが、作品作りは基本的にネーム(ストーリー・セリフとコマ割り)→下描き→ペン入れ・トーン・仕上げ(背景などの作画)という手順で進めます。特に時間がかかるのがネームで、このネーム作業がスケジュールの半分を占めるため、効率の向上が課題となっています。

 今までのネームの作り方は、紙にアイデアを描いて、それを見ながらテキストと絵コンテをPCに書き込むというものでした。このPCはWindows 7搭載のデスクトップで、セルシスのイラスト作成ソフト「CLIP STUDIO PAINT EX」をインストールしています。ワコムのペンタブレット「Intuos3」を接続して、ペン入力で描画するのです。

 ネームは映画でいうと脚本と絵コンテのようなもので、作成には大量の資料を使います。ネームの作業はほとんど自宅のPC机で行なっていますが、机の周りには資料の文献や写真集が開きっぱなしになってきます。PCの作業に切り替えた際にPCとペンタブレットで机のスペースが圧迫され、資料を置く場所がないという問題が発生していました。

 そこで、タブレットとして使えるdyabook V713の出番です。タブレットなら、スタイラスペンでディスプレーをなぞることで書き込みが行なえます。特にdyabook V713のディスプレーは筆圧感知機能を持っているため、CLIP STUDIO PAINT EXなどの対応するソフトが必要ですが、メリハリのある作画が可能です。CLIP STUDIO PAINT EXをインストールしたタブレット本体と付属のスタイラスペンがあれば、どこでもお絵描きができるのです!

 このため、PCデスクとは別の机でdyabook V713を使えば、広々と資料を見ながらネーム作業ができます。デスクトップPCと使い分けて、さらに便利になりました。こうして、さらなる効率向上のために、ネームからすべてフルデジタル作業に移行することにしました。

外出先でも時間を惜しんで作業!

いつでもどこでも紙と同じように作業できるので、空き時間を有効に使えます

 デジタル作業は便利なのですが、これまで使ってきたデスクトップPCは出先で使えないのが難点でした。dyabook V713を導入してクラウドサービスで原稿データをやりとりすることで、デスクトップPCと作業環境を同期して、外出先でネーム作業ができるようになりました。

 今までは外出先で何か思い付いたらメモ帳に書きとめていましたが、これもdyabook V713に置き換えてみました。アイデアを原稿に反映する際に、メモ帳からPCへ書き起こすのは二度手間ですが、タブレットなら原稿データにそのまま書き込めるので、効率は良くなりました。ネット接続ができるお店に入れば、資料を検索したり音楽を聴きながら自宅と同じ環境で作業ができます。少しでも時間があれば作業を進めて、締め切りとの戦いを一歩有利に!

コピー製本に持っていけばいざというときに安心
土壇場でデータ修正が可能

コピー機の前で原稿にミスを発見! そんなときにもすぐに対応できます

 書店に並ぶ一般の商業誌は出版社が印刷所に発注して印刷してもらいますが、コミケに出す作品は自分たちで印刷の手配をします。印刷所にオフセット印刷依頼する場合もありますが、少数部数の場合は、紙の原稿やデータを持って行くとその場で印刷できるセルフ印刷サービスを使って、コピー本を自分で作ります。

 コピー本は、自分で原稿をコピー機やプリンターで印刷して、手作業で製本して作る同人誌のことです。かつては家で印刷した紙の原稿を抱えて行ってましたが、デスクトップPCとCLIP STUDIO PAINT EX、ペンタブレットの組み合わせで作品作りを始めてからは、原稿データの持参に変わりました。いつも利用しているセルフ印刷サービス店には、USBメモリーに入れて持参した原稿データを自動で中綴じ製本する機能を持つコピー機があるため、非常に楽にコピー本が作れるのです。

 ところが、この作業中に原稿の間違いを発見することが時々あります。なぜか原稿というのは土壇場になってミスが見つかるもので、いつも印刷する直前になって店舗のレンタルPCで修正していました。しかし、レンタルPCは順番待ちがある上に、お金もかかります。

 そんなときも、dynabook V713を持っていれば即時にデータの修正が可能です。データを開いてチョコチョコッと操作すれば修正完了。作業場のPCをそのまま外に持ち出す感覚で使えるので、緊急時の修正も十分にこなせます。

冬コミではスペースが作品ギャラリーに!?
デジタルサイネージとしても活躍させたい!

ゲームや音楽のジャンルでは、タブレットを使ってデモやPVを流しているサークルはよく見られました。イラスト・漫画でも、タブレットを展示ツールとして使えるのではないかと思っています

 イベント会場ではいつも、同人誌に載せきれなかった作品を展示しています。今までは紙に印刷してファイリングしたり、ポスターを作っていましたが、dynabook V713をデジタルサイネージとして使えるのではないかと期待しています。

 dynabook V713をスケッチブック代わりに、その場でデジタルイラスト制作をして完成したら展示する、ライブペインティングみたいなこともできそうです。冬コミは一年の締めくくりとなるイベントなので、ちょっと変わった展示に挑戦してみたいですね。

お仕事の打ち合わせにも便利でした!

紙に描いたラフをコピーしたり、ファイルに入れて管理したり……実はちょっと面倒でした

 毎年年末は、仕事とコミケ準備の両方に追われて大変です。仕事の場合は、紙への出力を担当編集さんとの打ち合わせに持参して指示をメモ。帰ったら、メモ帳を見ながらPCで原稿データに指示を反映するという作業をしていました。しかし、CLIP STUDIO PAINT EXをインストールしたdynabook V713にラフのデータも入れて持参すれば、その場で指示を原稿データに反映できます。修正した結果もdynabook V713上ですぐに確認してもらえるため、指示の解釈ミスも生じませんし、再修正も容易に行なえます。

 イラストの作成でもdynabook V713は活用できます。イラストのお仕事の場合、打ち合わせやメール・電話などで、どんなイラストにするか指示をもらいます。その指示をもとにラフを作成し、クライアントにデータを送って確認してもらうのです。修正指示が入ると、修正画像を何通りか作ったりします。この段階で、イメージがなかなかまとまらず、何度もやりとりをすることも。

 タブレットなら、元データをその場で編集可能なので、打ち合わせのときにクライアントの目の前でイメージを形にできます。こちらの意図も伝わりやすくなり、やりとりがスムーズになります。

dynabook V713は紙に近い感覚でお絵かきできる!

dynabook V713、CLIP STUDIO PAINT EXを使用して作成しました
普段はタブレットとしてネットやお絵かきを楽しんでいます。描いた絵をすぐにSNSにアップできるのも嬉しい点

 dynabook V713と付属のスタイラスペン、CLIP STUDIO PAINT EXの組み合わせで作成したイラストの例が上記です。ペン感度は予想してたより良く、細い線もちゃんと感知し、変に途切れたりガタつくことはありません。

 少々困ったのは、描いている手が画面に触れると反応してしまうこと。反応するのはスタイラスペンだけでいいのですが、区別してくれないようです。これは、下にティッシュペーパーや布を敷くことで解決出来ました。

 デスクトップPCとペンタブレットの組み合わせと比べて嬉しい点は、タブレットなら拡大・縮小表示を細かく指定できるところです。デスクトップPCでは設定した倍率ごとに拡大・縮小表示し、それでは表示できない細かい刻みの倍率はキーボードから数値を入力していました。ですが、ダブレットでは手でつまんだり、拡げる操作だけで欲しい倍率にズームできます。より直感的に操作でき、わかりやすいと思います。また、デスクトップでは角度のある絵を描くとき、キャンバスを回転して表示していましたが、タブレットは本体を回転して描けるので、紙に近い描き方が可能です。

 今回の作例では、25枚ほどレイヤーを使用しました。レイヤーを重ねても挙動が遅くなることはなく、原稿サイズでもサクサク描けました。全体選択する際に挙動が遅くなりましたが、デスクトップでも負荷が高い作業なのでそこは仕方なし。トーン処理もデスクトップPCと同様にこなせました。タブレットのサイズが実際の紙のサイズに近いので、印刷したときのスケールがわかりやすいです。

 タブレットの欠点(?)だと思っていた排熱ですが、予想外なことに調度よい感じで温かかったです。寒さが厳しくなる毎年の冬コミ準備。膝を温めながら作業できて一石二鳥!

高速CPU搭載だから3Dモデル機能も利用可能

 CLIP STUDIO PAINTシリーズには、トーンやテクスチャの他に、3Dモデルの機能があります。難しいポーズを描きたい時などに重宝する機能なのですが、かなりCPUに負担がかかります。安価なタブレットPCではCPUが遅いため3Dモデル機能までは使えない事が多いようです。ですが、dynabook V713のCPUは高速な「Core i5-3339Y(1.50GHz)」のためでしょうか、簡単なポージング調整ならすんなり使えました。

 ただ、長時間関節を動かしたりしているとキャッシュが溜まるせいか、だんだん挙動が重くなります。これはデスクトップPCでも同じでした。お気に入りのポーズデータを画像に書き出して、素材に登録しておくと便利です。

dynabook V713は、CLIP STUDIO PAINTの3Dモデル機能も使えました

 クリップスタジオの公式サイトでは、ユーザーが作った3Dモデルのポーズ素材や、トーン・テクスチャ素材などがダウンロードできるので、気に入った素材をデスクトップPCと同期しながら使えます。

 3Dモデルで描きたいポーズが決まったら、別レイヤーで上からアウトラインをなぞって描くと、楽に難しいポーズが描けるようになります。3Dモデルの体型をいじったり、なぞるレイヤーで微調整を加えて自分らしい絵にしています。

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 イラストやコミックの作業に使うPCには、そこそこのスペックが必要です。そのため、タブレットは同人誌制作には向かないだろうと予想していました。しかし、dynabook V713はひととおりの作業がこなせるスペックを備えているので、今の環境にプラスすることで、十分に活躍してくれました。

 dynabook V713は、趣味で同人誌を作る方や、プロのクリエイターにもオススメできるタブレットです。メインPCのほかにサブ機の導入を考えている人は、ぜひ試してみてください。



東芝ダイレクト

漫画家 花園あずき

ドレスと猫をこよなく愛する漫画家で、『小公女 (マンガジュニア名作シリーズ)』(学研教育出版)、『はやげん! ~はやよみ源氏物語~ (ウィングス・コミックス)』(新書館)が発売中!
ブログ『本当は萌える!源氏物語』では源氏物語の漫画を連載しており、twitterは@genjihikaru。平安装束と西洋服飾、十二単とかヒラふわドレスを主に描いています。

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