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超高音質オーディオ配信で変えるPCオーディオ環境 第1回

FLACより高音質? DSDって何!? ハイレゾ音源10の疑問

2013年03月04日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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疑問9 DSD音源をPCで再生するにはどうしたらいいの?
回答 対応するUSB DACと再生ソフトが必要

フォステクスの「HP-A8」(実売価格10万円前後)はSDメモリーカード経由でDSD再生が可能なヘッドフォンアンプ。アップデート(先行開発版)でDoPにも対応

フォステクスの「HP-A8」(実売価格10万円前後)はSDメモリーカード経由でDSD再生が可能なヘッドフォンアンプ。アップデート(先行開発版)でDoPにも対応

 DSD音源をPCで再生するというのは、あまり想定されてはおらず、以前は一般的な再生ソフトはほとんど対応していなかった(音楽制作ソフトの一部や、ソニーのVAIOでDSDディスク作成ソフトがあった程度)。

 DSD音源の配信や再生対応が本格的に進み始めたのは昨年の半ば以降。それまではDVDメディアにDSD音源を記録して「DSDディスク」を作成し、対応するプレーヤー(多くのスーパーオーディオCDプレーヤー、そしてPlayStation 3)で再生するとか、SDメモリーカードやUSBメモリーにDSD音源を保存し、そこから再生するといった方式を採用するなど、実はいろいろな方式が提案されてきた。

 ところが、昨年末あたりからUSB経由でDSD信号を受け取れるUSB DACが登場しはじめ、にわかにDSDが注目され出した。ここで採用された方式が「DoP」と呼ばれるものだ。

 DSD over PCMという意味で、おおざっぱに説明すると、DSD信号を「176.4kHz/24bit(16bitがオーディオデーターで8bitはDSDマーカー)のリニアPCM信号」だと偽って、無理矢理USB出力してしまうもの。

 かなり危うい方式にも感じるが、きちんとした業界規格であり、現在はver1.1(サンプリング周波数5.6MHzのDSD信号に対応)となっている。とはいえ、登場初期のため、DoPに対応したUSB DACの多くは専用のドライバーソフトが付属しており、動作確認された再生ソフトでないと不具合が出るなど、まだまだ不安定な面もある。

記事掲載当初、DSD over PCMの説明に誤りがありました。お詫びして、訂正いたします(2013年3月19日)

AudioGateは同社のサイトから無償でダウンロードが可能

AudioGateは同社のサイトから無償でダウンロードが可能

 これとは別に、現時点ではもっとも安定したDSD再生ができる環境もある。それが、コルグの「AudioGate」というソフトと、同社のUSB DAC「DS-DAC-10」の組み合わせだ。KORGはもともとDSD録音のための業務用レコーダーや民生用のDSD対応レコーダー「MR-2」などを発売していた。そのため、DSD再生にも力を注ぎ、自ら専用の再生ソフトとUSB伝送のための仕組みを用意してしまったのだ。

 AudiGateは、専用のASIOドライバーとともにDS-DAC-10やMR-2に標準添付される再生ソフトである。だが、同社のサイトからダウンロードして単独で使用することもできる(twitter登録が必要で、書き出しなどのアクションがツイートされる)。これを使えば、とりあえずDSD再生ができる。

人気沸騰で入手しにくい状態にある1bit USB DAC「DS-DAC-10」(実売価格5万円前後)

人気沸騰で入手しにくい状態にある1bit USB DAC「DS-DAC-10」(実売価格5万円前後)

 DS-DAC-10があれば、USB経由でDSD信号を出力でき、アナログ信号に変換してオーディオ機器で再生できる。ただし、現時点ではWindows用でのみDSD伝送が可能(Windows 8は3月上旬対応予定)で、Macでは4月中旬対応の予定となっている。

 実際のところ、DSDを試すには一番手頃なので、次回以降のテストでも、AudioGateとDS-DAC-10のシステムを中心に試している。

疑問10 DSDの音質はそんなにすごいの?
回答 次回で詳しく紹介

リニアPCMとDSDの録音が可能なコルグ「MR-2」を2台お借りして、両オーディオ形式の同時生録に挑戦!!

リニアPCMとDSDの録音が可能なコルグ「MR-2」を2台用意して、両オーディオ形式の同時生録に挑戦!! 詳しく次回紹介する

 DSDの実力はスーパーオーディオCDでよくわかるのだが、音のなめらかさやきめ細かさ、その場の空気感といったわずかではあるが、音楽の印象を大きく左右する情報が豊かに出ると感じる。

 リニアPCMにも良さはあるのだが、よりアナログに近い感触が得られるのがDSDで、クラシックやジャズなどの録音で数多く採用されているのもうなづける。

 しかし、スーパーオーディオCD単独の印象であり、同じ音源をリニアPCMと比較する機会は少なかった。音楽配信サイトでは、DSD版とリニアPCM版の両方が選べることもあるので、ようやく比較ができるようになってきたのだ。

 それなりの高級コンポーネントで聴くと、やはりDSDの方がより自然で柔らかい感触に感じられることが多い。同じ演奏をDSD版とリニアPCM版で聴くと違いがあるし、DSDをダイレクトにアナログ変換するのではなく、PCM変換してからアナログ変換するのでも音には多少の違いがあった。

 では、もっと身近なコンポーネントでは差がわからないのか? オーディオ機器に100万円も投じないとわからないものならば、あまり積極的に取り上げる必要はない。大丈夫、わりと身近な製品、例えば2~3万円程度のヘッドフォンやスピーカーでもその違いはしっかりと感じられたのだ。

 詳しくは次回でじっくりと検証結果を紹介する。もちろん、AudioGateとDS-DAC-10による再生システムをはじめ、再生機器の紹介や、自分の耳でその違いを検証できるように、サンプル音源も用意している。刮目して待て!!

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