本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
Appleが昨年末に国内でのサービスインを予定していた「iTunes Match」。提携先との交渉に遅れが生じたか、はたまた想定外の事態が発生したか、年が明けて1ヵ月が経過したいまもサービスは開始されていない。公式発表はなく、その原因は推測するしかないが、版権絡みの問題は考えられそうだ。
スタートの予兆はある(関連記事)。先日公開されたiOS 6.1の詳細文書には、「iTunes Matchに登録したメンバーは、iCloudから個別に曲をダウンロードできるようになりました」という記述があり、その日の到来が遠くはないことを感じさせる。
だが、予定は予定、2月1日現在iTunes Matchが開始されていないことは事実。MacやiPhone/iPad、iPod touchの販売台数からすると、ユーザー予備軍は数百万人規模である可能性は高く、その需要を取り逃している。たった数ヵ月かもしれないが、その間に競合サービスが開始されるとどうなるか。
そのような事態が、まさに現在進行形で起きている。開始された競合サービスとは、au/KDDIの「うたパス」であり、ソニーの「Music Unlimited」だ(関連記事1、関連記事2)。いずれもiOSデバイスに対応、かつAAC/320kbpsというiTunes Plus(256kbps)を上回る音質を実現。年あたりの費用はiTunes Match(米国では年額24.99ドル)を超えるが、音楽との“新しい出会い”があるという点は、iTunes Matchにない魅力といえる。
繰り返し説明されていることだが、iTunes Matchは“自分がすでに所有している”曲が場所を問わず楽しめるようになるサービス。入手ルートは問われないが、同じ曲と判定された場合にのみAAC/256kbpsの音源を入手できる。聴いたことがない曲/iTunesライブラリーにない曲は対象外で、自分が知らないアーティストや曲が聴き放題になることはない。iTunes Matchの場合、年会費は曲をどこでも楽しめるようにするためのベース料金的存在で、CDやダウンロードした曲の費用は別勘定になる点も押さえておきたい。
各サービスに一長一短はあるものの、iTunes Matchのスタートが出遅れていることは確かだ。それに、定額サービスは一度加入してしまうと、それなりの動機がなければ乗り換えに踏み切れないもの。しかも、日本人アーティストの取り扱いは国内レーベルのほうが長けている。iOSデバイスを擁することの有利性はさておき、純粋に音楽配信サービスを考慮すれば、この先Appleには苦しい戦いが待ち受けているような気がしてならない。
うたパス | |||
---|---|---|---|
価格 | 無料 | 作者 | KDDI |
バージョン | 1.0.4 | ファイル容量 | 7.6 MB |
対応デバイス | 全機種 | 対応OS | iOS 5.0以降 |
Music Unlimited | |||
---|---|---|---|
価格 | 無料 | 作者 | Sony Network Entertainment International |
バージョン | 1.2.1 | ファイル容量 | 3.2 MB |
対応デバイス | 全機種 | 対応OS | iOS 4.3以降 |
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