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冨田勲コラボ、初音ミクは「指揮に合わせ歌う」新技術で登場

2012年08月28日 12時00分更新

文● 四本淑三

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フォルマントシンセシスによる音声シミュレートは数十年前に通った道
冨田さんとボカロの出会いは必然とも言える

記者会見より。初音ミクを見上げているのは指揮者・大友直人さん

 既報の通り、冨田勲新制作「イーハトーヴ交響曲」世界初演公演について、8月27日4時から六本木の東京ミッドタウンで会見が行なわれ、初音ミクとの共演が発表された。チケットの販売は6月23日から始まっており、Billboard ClassicsのWebサイト(主催はビルボードジャパンと財団法人日本フィルハーモニー交響楽団)にも、当初から初音ミク登場をほのめかすような文章が掲載されていたのだが、正式な発表は今回が初となる。

 コンサートは11月23日(金・祝)の東京オペラシティコンサートホール、1回のみ。演目のイーハトーヴ交響曲は、冨田さんが宮沢賢治の作品からイマジネーションを得た作品で、現在鋭意作曲中。演奏は大友直人指揮による日本フィルハーモニー交響楽団と、混声合唱団の総勢約300人による、非常にスケールの大きなコンサートが計画されており、そこに初音ミクも何らかの形で登場するというわけだ。

 冨田さんといえばシンセサイザー音楽の世界的パイオニアであり、シンセサイザーを使って多重録音で制作した最初のアルバム「月の光」(1974)の頃から、フォルマントシンセシスによる人声のシミュレートはアルバムのいたるところで聴かれた。ある意味で冨田さんとVOCALOIDの出会いは、電子音楽の歴史としては必然とも言える。

 また冨田さんは、多重録音によるクラシック作品だけでなく、屋外で立体音響を成立させる「トミタ・サウンドクラウド」を始めとする大規模なライブパフォーマンスも手がけてきた。こうした大掛かりで先進的なコンサートの企画は、今回のイーハトーヴ交響曲に限らない。VOCALOIDの起用にしても、長年のファンからすれば「やっぱりそう来たか」という印象で、このコンサートがどうやって実現されるのか、どのような音楽になるのかが、いま一番知りたいところだろう。

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