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iPhoneアプリ「I am “86”」はどうやって誕生したのか?

祝・86(ハチロク)発売! あの無料の86の開発者を直撃

2012年04月06日 18時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部

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クルマを売りっぱなしにしない
そんな思いがアプリ開発に繋がった

 ついに発売されたトヨタの最新スポーツカー「86」(ハチロク)。買えるモノなら買いたいが、ワーキングプアな筆者では手が出ない金額。しかし、トヨタのiPhoneアプリ「I am “86”」なら、86がタダでゲットできるのである。仮想の86オーナーになった筆者は、先日、わざわざ富士スピードウェイにまで行って遊び倒してきた(関連記事)。こんなバカ……いや、楽しいアプリを作ったのはどんな人なのか? 86の試乗会に乗り込んで、開発担当者に話を聞いてきた。

 「I am “86”」を企画したのは、トヨターマーケティングジャパンの喜馬克治氏。86の一連のプロモーションを担当しているが、以前ASCII.jpでも紹介した「TOYOTA SOCIAL APP AWARD」(関連記事)の仕掛人でもある。なるほど、「I am “86”」や86の公式サイトがSNSと連動しているのも納得。

 今回は喜馬氏にアプリ開発の経緯から、86のプロモーション、そして今後の展開までみっちりと聞かせてもらった。読み終わる頃にはきっと86の「いいね!」ボタンを押しているだろう。

喜馬克治氏 トヨタマーケティングジャパン スポーツカーカルチャー推進グループ エグゼクティブクリエイティブディレクター マーケティングディレクター

──最初に、喜馬さんは86にどういう形で関わっているのかを教えてください。

喜馬克治氏(以下敬称略) 私はトヨタマーケティングジャパンという会社で、iQとかbBなどのユニークネスなクルマカテゴリーの宣伝を担当しておりました。86も2年半前くらいからプロジェクトは動いていまして、その頃からクルマの開発陣と一緒にコンセプトについて考えていたんです。

ついに発売された「86」。SUPER GTへの参戦もお待ちしております!

──2年半前から暖めていたとは! さっそくですが「I am “86”」の開発に至った経緯はなんですか?

喜馬 そこに至る経緯として、まず、86はスポーツカーです。ご存じかもしれませんが、スポーツカーというのは現在市場としては非常に狭い(少ない)んです。

──私もマイノリティなスポーツカー乗りなので、痛いほどわかります(笑)。

喜馬 年々クルマの売り上げが減っていくのに、さらに輪をかけて(スポーツカーの市場が)減っています。トヨタもそうなんですけど、売れないから作らなくなるという悪循環になってしまった。しかし、スポーツカーという文化がなくなるというのは社会にとっていいことなのかと考えた場合、そうじゃないよね、と。かといって、新しくスポーツカーを出しても、すぐに生産中止じゃ意味がない。スポーツカーを売りっぱなしにせずに、買っていただいたあとにも楽しんでもらえる環境を作りたかったんです。そこで、カルチャーという言葉を旗印にして、いろんな施策を打っているところですね。

 具体的にはサーキットでリアルに遊ぶというのをトラディショナルなカルチャーの筆頭として、かたやウェブやゲームなどのバーチャルな世界でもスポーツカーを楽しんでもらおうというのも、この時代だからこそあってもいいのではないかと。さらにクルマを買わなくても、ある程度86の感覚だけでも体験してもらいたい、ネットの特性を活かしたものを低予算で作れないものか、という試行錯誤の中から開発されたのがこの「I am “86”」なんです。

iPhoneアプリの「I am “86”」。自分自身が走るという、斬新な操作方法が話題になった

──そんな経緯があったんですね。スポーツカーを売りっぱなしにしないという発想、クルマ好きにとってはとても素敵ですね。このアプリも、まさか自分が走るとは思いませんでした(笑)。これまでにない操作方法です。

喜馬 iPadとかiPhoneで内部のジャイロを使って、傾けてハンドルを切ったりという操作は従来もありましたが、それはゲームではあるけれど、スポーツカーというのはスポーツのひとつであるわけだから、クルマは走らせられないけど自分が走って体感するというのは、一見ふざけていますが“らしい”んじゃないかと。どうせやるんだったら、そこまで突き抜けてみようということで開発してみたんですけど、これが正しかったかどうかと言われると、どうなんでしょうね(笑)。

───いやいや、ガテン系アプリということで、ネットでも話題になってますよ。私も記事にしたところ(関連記事)、大きな反響をいただきました。ところで、このアプリをiPhoneのみにした理由はありますでしょうか? 現在、シェア的にはAndroid端末の市場が拡大していますが。

喜馬 いきなりそんなに手広くやれないので、本来ならAndroidの方たちにも遊んでもらいたいんですけど、これが遊びとして受け入れられるのかということも含めて、まずはスモールインということでiPhoneアプリとしてリリースさせてもらいました。これが好評ということであれば、もちろんAndroidなどへの拡大も視野に入ってきます。


I am “86”の正しい遊び方

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