マイクロソフトは去る6日(現地時間)に、Windows 8用アプリケーションストア「Windows Store」の概要を公開した(関連記事)。
Windows Storeは、次期Windowsである「Windows 8」(仮称)の「Metro Style」アプリケーション用のアプリケーションストアである。9月のWindows 8のプレビュー公開時には、ストアの概要は決まっておらず、その名称だけが公開されていた。それが今回、動作のデモが披露されるとともに、ビジネスの概要などが公開されたというわけだ。
Windows StoreはMetro Styleアプリ専用
Windows 8には、従来のWindowsと同じ「Desktop Style」と、新しいMetro Styleという2つのアプリケーションタイプがある。それぞれが独立した環境で動作し、アプリケーションを格納するファイルなども違っているほか、同じシステム内でありながら、Metro StyleとDesktop Styleの環境は切り離されている。
Desktop Styleの環境は従来のWindowsと同じであり、ユーザーがインストールファイルを使って、自由にアプリケーションをインストールできる。これに対して、Metro Styleの実行環境は保護されており、Windows Storeからアプリケーションをインストールすることを想定している。
Windows Storeでは、無料・有償・そして広告付きソフトウェアを配布することが可能なほか、アプリケーション内での課金なども可能になっている。またアプリケーションを購入する前に、試用することも可能である。この試用版に関しては、Windows 8のMetro Style環境に含まれる著作権管理機構が自動的に管理するため、開発者が別途、試用版を開発する必要はない。
なおWindows Storeでは、開発者にアプリケーション売り上げ額の70%が入り、30%をマイクロソフトが手数料として徴収する。この比率は、iOSの「App Store」やAndroidの「Androidマーケット」と同じだ。しかし、2万5000ドル(約200万円)以上の売り上げがある場合には、開発者の取り分は80%に増えるという。ただし無償のアプリケーションの場合は、手数料を払う必要はない。
Windows Storeのアプリケーション登録にあたっては、個人は49ドル/年(約3920円)、企業は99ドル/年(約7920円)の登録料が必要である。登録料はAndroidマーケットが初回のみ25ドル(同2000円)と最も安く、App Storeは99ドル/年(個人、企業とも)である。Windows Storeは個人向けが安価に設定されているわけだ。
アプリケーション課金モデルも用意
柔軟な決済システムの選択が可能
Metro Styleアプリケーションは専用の環境で動作しており、おそらくWindows自体に、Windows Storeのためのアプリケーション著作権管理機能が組み込まれている。そのためのAPIも用意されているようだ。そのためかMetro Styleアプリケーションは、従来のDesktop Styleアプリケーションとは直接メモリーを共有したり、プロセス間通信などを行なえないように、実行環境が分離されている。こうした堅固な環境分離は、Windows Storeからダウンロードしたアプリケーションを保護するためだと考えられる。
これらの特徴もあって、アプリケーション内課金などについても、Windows Storeが用意する決済システムが利用可能なのであろう。なおマイクロソフトによれば、マイクロソフトが用意した購入、試用、決済などのシステムを使う以外に、アプリベンダー側が自前で用意したものも利用できるようだ。これはアップルが用意する決済システムに限定される、App Storeの仕組みに対する優位性となりうる。
6日に開かれたイベントで披露されたデモでは、オークションサイト「eBay」のアプリケーションが使われたが、eBayが持つ「PayPal」のように、自社が持つ(あるいは利用する)決済システムでも使えるようだ。アプリケーション自体の販売だけでなく、年間などの期間を決めたサブスクリプションのようなビジネスにも対応可能だという。