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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第83回

ワイヤレス給電規格「Qi」対応機器で充電忘れを防ぐ技

2011年09月27日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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異なるメーカーのデバイス同士でも充電できる

 Qiに対応していれば、異なるメーカーのデバイスでも充電できる。筆者が持っているのは、前出のモバイルバッテリーQE-PL201-Wと容量違いの「QE-PL101-W」に加え、エネループの充電器とiPhone 4の充電用カバーの4アイテム。さらに、偶然Qi対応のAndroidスマートフォンがあったのでそれぞれ試してみた。

 まずは、エネループの「単3・単4形ニッケル水素電池専用充電機能付キャリングケースセット」(N-WL01S-K)。エネループを2本セットしてQiのパッドに載せるだけで充電できる。筆者は、デジカメの外付けフラッシュやモバイルスピーカーからリモコン、時計、マウスなど、あらゆる電池デバイスでエネループを利用している。そのためしょっちゅう充電するのだが、Qiを利用するようになって充電済みの予備がないという事態にあわなくなった。常に決まった場所に2本の充電済み電池があるのはありがたい。空になったエネループはセットしてパッドの上に置いておけばいい。

エネループのQi対応充電器「N-WL01S-K」

実売価格は1980円だが、単3型エネループ2本(実売価格780円)が付いているので、充電器は1200円と考えればいいだろう

パナソニック製のパッドに載せると、すぐに充電が始まる

 iPhone 4用Qi対応充電カバー「QP-SL10A.BK」は見つけた瞬間に購入した。サイズは幅63mm×奥行き125×H15mm、重量は約40gとそれほどかさばらない。iPhoneをセットして載せるだけで充電できるのは確かに便利だ。ただし、ケースのカメラ部分には穴が空いているものの、外出先では単に重いケースになってしまう。また、Dockコネクタが隠れてしまうため、iTunesに接続する際に外す必要があるなど、常用ケースとしては使いにくい。「QP-SL10A.BK」はパッドの近くに置いておき、帰宅したらセットするようにしている。

 少々面倒なように感じるかもしれないが、家の中での利便性が格段に向上するので手放せない。一服するなどほかの部屋に移動する際や着信時にパッドの上から取るだけでいいのがラクなのだ。部屋に戻ってきたら、iPhoneを置くだけ。1階と2階に設置しておけば、充電が切れると言うことはない。これまではUSBケーブルを脱着していたが、毎回となると面倒で出かける段階になって充電が足りないということが多々あったので、うれしいところだ。ちなみに、寝室にはパッドを置かず、USBケーブルで充電している。寝る時と起きる時に脱着するだけでいいからだ。

マクセルのiPhone 4用Qi対応充電カバー「QP-SL10A.BK」。実売価格は2600円

iPhone 4をセット。カバーにはDockコネクタはない

充電中の着信時は、すぐに手に取って話し始められる

 QP-SL10A.BKを使っていて、iPhoneがQiに対応してくれればどんなに便利かと夢想していた。そんななか、Qi対応のAndroidスマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」が登場した。たまたま別の仕事で手元にあったので、試してみることに。AQUOS PHONE f SH-13Cには、ワイヤレスチャージャーが付属しており、パッドを持っていないユーザーでもワイヤレス給電を利用できるのが○。本体だけでなく、電池パックを置くだけでもOKだ。もちろん、Qi対応なので、Qi対応パッドに「SH-13C」を載せて充電したり、ワイヤレスチャージャーに他のQi対応デバイスを充電することが可能だ。

 端末単体で充電できる便利さは想像以上。最新モデルでQi対応スマートフォンが登場したら物欲を止めるのは難しそうだ。AppleがQiに対応するとは考えられないので、今後のAndroidスマートフォンのキラーコンテンツとなるのではないだろうか。

AQUOS PHONE f SH-13Cに付属するワイヤレスチャージャー

AQUOS PHONE f SH-13Cを載せて充電開始

Qi対応パッドQE-TM101-Kでも充電できる

大ブレイクして社会を変えるか大コケするか

 Qiの載せるだけ充電というスタイルは、利用しているデバイスや使い方にハマるととてつもなく便利になる。ただし、現状では対応デバイスが少なく、充電パッドを購入する必要もある。今のところ、Qi対応の製品が登場するペースは遅く心配だ。Qiが普及する前にほかのワイヤレス給電デバイスが登場し、規格が乱立し始めたら目も当てられない。

 しかし、Qiがブレイクし始めたら、止まらなくなるだろう。AQUOS PHONE f SH-13Cのように充電パッドを付属した製品が増えれば、個人でもあちこちに設置できるようになる。スマートフォンやモバイルバッテリーだけでなく、モバイルルーターやデジカメなどさまざまなデバイスが対応してくるはず。加えて、Qiが普及すれば、店舗に充電パッドを設置し、集客に活用するところが増えるかもしれない。カフェの全テーブルにQiの充電パッドがあればとても助かる。レンタル会議室やホテルの部屋にあってもスマートだ。

 筆者としては、来年以降Qiが大ブレイクすると予感している。そんな時に備え、選択肢にQi対応デバイスがあるなら、積極的に選んでいこうと思う。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「ポケット百科 GoodReader 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)。


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