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編集者の眼第28回

靴のネット通販ロコンド.jpで実際に返品してみた

2011年03月10日 10時00分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 「コンドーです、ロコンドーです」のTV広告で最近目立つ靴のネット通販ロコンド.jpで靴を注文してみた。ところが右足側の表面にスリキズがあり、商品タグも付いていない。「一度返品された商品」のような状態だったので、思い切ってロコンド.jpに電話してみた。

専用の輸送箱のフタは切り取ってマット代わりに利用でき、返品時は内側にある2枚目のフタに返品用の伝票を貼り付ける

 「99日間返品無料」がLOCONDO.jpの売りだが、フリーダイヤルで電話すると相談員が応対してくれる「オンラインスタイルコンシェルジュ」も特徴のひとつ。サイト上ではあまり目立って宣伝していないが、靴の相談を受けてくれるサービスだ。実際のやりとりは以下のような感じだった。

私 「届いた靴にキズがあるので、交換して欲しいのですが」

ロコンド.jp 「お客様のお名前と、メーカー名と商品名をうかがってもよろしいでしょうか?」

私 「中野といいます。靴は、ビルケンシュトック モンタナの黒で、サイズは25センチです」

ロコンド.jp 「中野様、在庫をお調べしますので少々お待ちください」

(数十秒後)

ロコンド.jp 「在庫がございました。返品や別の商品への交換ではなく、同じ商品の交換ということでよろしいでしょうか?」

私 「はい、ビルケンが欲しいので、同じ商品でお願いします」

ロコンド.jp 「では、中野様用に商品を確保しておきます。伝票には、コンシェルジュに交換用の商品を確保してもらっている旨ご記入いただきますと、倉庫での手配がスムーズになります」

私 「ありがとうございます。交換用の商品はいつごろ届きますか?」

ロコンド.jp 「本日中に発送していただければ明日倉庫に届き、確認後に発送になりますので、中野様のお手元には3日後までには届くと思います」

私 「そうですか。では楽しみにしています」


 この会話に、ロコンド.jpのサービスの姿勢が現れている、と思う。サポート電話なのに、私が本当にお客かどうか確認する手順がないのだ。注文番号の長い英数字を言わされたり、注文時のメールアドレスや電話番号を告げたりする必要もない。ちょうど街の靴屋さんで試し履きするように、気に入った商品に出会うまで靴を交換できるのがロコンド.jpのサービスであり、オンラインスタイルコンシェルジュはサポート係ではなく、接客係という位置付けなのだろう。

 靴のネット通販では、ザッポス(米国の靴の通販サイト)を買収したアマゾンドッドコムが日本などで展開する「Javari.jp」が先行している。Javari.jpは365日間の返品無料と高額のアフィリエイト報酬でネットマーケティングを展開中で、既存のAmazonユーザーに浸透させる作戦だろう。一方のロコンド.jpは、ドイツの靴の通販サイトである「Zalando」を運営しているベンチャーキャピタルから出資を受けており、大量のTV広告やネット広告を投下して、「ネットで靴が買えるとは思っていない層」を狙っている。

開梱すると、返品用の伝票と商品の化粧箱が現れる

 ネット通販ではアマゾンの独走が目立つが、総合モールでは楽天は品揃えの豊富さで挑んでいるし、ファッション分野ではZOZOTOWNがサービス品質で売上げを伸ばしている。ロコンド.jpは、靴のネット通販になじみのない、どちらかといえば近所に大きな靴屋がない(なくなってしまった)地方のユーザーを取り込む作戦だろう。地元の靴屋さんで試し履きを繰り返すような買い物体験をネットで再現するロコンド.jpの作戦がうまくいけば、アマゾンもうかうかしていられない。ネット通販はまだまだ工夫のしがいのある、成長分野なのだ。

※オンラインスタイルコンシェルジュとの会話内容や返品の手続き、所要期間などはロコンド.jpの今回の対応を記事したものです。

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