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小型衛星をAndroid端末が制御する!?

宇宙を目指すAndroid 英国の大学がAndroid衛星打ち上げへ

2011年01月26日 19時00分更新

文● 末岡洋子

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目指すライバルはiPhoneじゃない、宇宙だ!

 世界規模で繁殖を続ける“Android”だが、今年中に大気圏を突破して宇宙に向かうかもしれない。イギリスの衛星技術企業のSurrey Satellite Technologyは1月24日、Androidスマートフォンを搭載した小型衛星の打ち上げ計画を発表した。宇宙でAndroidが果たすミッションは何か?

イギリスの産学協同プロジェクトで、Android端末が宇宙に飛び立つ

 この実験の目的は、進化を続けるスマートフォンを衛星技術に利用できないか、スマートフォンが衛星を制御できるかどうかを調べることにある。

 現在人工衛星や宇宙船は、宇宙放射線からの防護やシステムの安全対策のために高価な電子部品を用いており、膨大なコストがかかっている。イギリス・サリー大学のVaios Lappas教授によると、衛星打ち上げの費用を1キロあたりに換算すると、ローンチコストは1キロあたり2~3万ポンド(約260~389万円)にものぼると述べている。

 一方でここ数年、携帯電話の進化は著しく、多くのスマートフォンが1GHzクラスのプロセッサーを搭載し、大容量のフラッシュメモリを持つ。Surrey Satelliteは小型衛星を得意としており、同社でプロジェクトをリードするChris Bridges博士は、「スマートフォンには、センサー、動画撮影可能なカメラ、GPS、WiFiと高度な機能が小さな筐体に詰め込まれている。既存の衛星システムと比べると、ほんのわずかな重量とコストだ」とコメントしている。この進化を利用しない手はないと思い至ったプロジェクトのようだ。

 プロジェクトはSurrey Satelliteとサリー大学サリー宇宙センター(SSC)の研究者が共同で進めており、Androidを搭載した小型衛星「STRaND-1(Surrey Training, Research and Nanosatellite Demonstrator)」を開発、2011年後半に打ち上げる予定だ。STRaND-1は重量わずか4kgの“ナノ・サテライト”だが、高度な誘導システム、ナビゲーション、制御システム、GPSレシーバー、先進的なパルスプラズマなどを備える。

ごく普通のAndroid端末をカスタマイズ

ドロイド君(通称)は宇宙においても、その働きを期待できるのだろうか

 STRaND-1に搭載されるAndroidスマートフォンは店頭に並んでいる製品をそのまま利用する。具体的な機種名こそ明かしていないが300ポンド(約3万8900円)のもので、分解せずにそのまま運ぶという。宇宙では、衛星のメインコンピュータの制御や地球の撮影を担当する予定だ。衛星には別にカメラを設置し、宇宙でのスマートフォンの状態を撮影するとのことだ。

 打ち上げまでの間、チームは地上でのテストを重ねる。打ち上げ後はSSC内に組み立てたコンピューターを利用して、宇宙でのスマートフォンの状態を調べる。携帯電話が撮影した画像やメッセージは衛星の無線システムを利用して地球に送られ、すべてのテストが終了した後、今度はスマートフォンが衛星の一部のオペレーションを担うという。

 この実験の大きな背景には、オープンソースというAndroidの特性がある。Surrey Satelliteは、Androidであれば端末の機能を自分たちのニーズに合わせることができ、ソフトウェアデザインを安価かつ容易にできる、とそのメリットを説明している。また、宇宙開発に特化したアプリの開発にも期待がかかる。「スマートフォンが宇宙でも動くことが実証されれば、これまではコスト面から宇宙分野に参加できなかった人や企業に新しい技術をもたらすことができる」とBridges博士は述べている。

 サリー大学のSSCとSurrey Satelliteは、1990年代のUoSAT衛星などで協力しており、技術力に定評がある。Androidスマートフォンはコストだけでなく、重量、ソフトウェアデザインとさまざまなメリットを及ぼす可能性を秘めている。Androidサテライトの実験は航空宇宙をはじめ、技術業界の関心を集めそうだ。

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筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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