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山谷剛史の「中国IT小話」 ― 第84回

中国の海賊版に日本のゲーム・アニメ・AVは泣き寝入り

2010年11月16日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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中国のゲームショップ 中国のゲームショップ

 中国が「海賊版天国」と言われて久しい。相変わらず、どの都市でもどの村でもCD、VCD、DVD屋があり、電脳街では海賊版PCソフトショップがあり、ゲーム屋各店では改造ハードと海賊版ゲームとマジコンなどの周辺機器しか扱っていない。

 インターネット上では「優酷」(YOUKU)をはじめとした動画共有サイト、「百度mp3捜索」をはじめとした音楽検索試聴サイト、中文化したゲームを配布するポータルサイトに加え、最近では動画共有サイトならぬ文書共有サイトも登場し、中国語に訳された書籍や漫画までアップされている(詳しくは筆者のブログ記事を参照)。

 表向きにはソフトウェアと音楽と映像作品の海賊版が氾濫しており、見えないところ(P2Pなど)ではアダルトビデオ(関連記事1関連記事2)の海賊版が横行している。言い換えれば、ウェブブラウザーで検索すれば見つかるのが前者、見つからないのが後者といっていい。

 この違いは中国国内におけるネット利用の制限が原因。「中央政府批判」に並び「(女性の)ポルノコンテンツ」については厳しく制限されている(男性のポルノコンテンツについては筆者のブログ記事を参照)。

 中国の消費者はコンテンツが無料であることに慣れきっている。音楽もビデオも書籍もゲームも、あらゆるコンテンツは無料でないと基本的に利用してもらえない。逆に言えば一度ハードを買うだけで海賊版コンテンツがいくらでも利用できるならば、そのハードは売れる可能性がある。

Amazon中国で海賊版ゲームが売られている Amazon中国で海賊版ゲームが売られている

 例えばPC、mp3/mp4プレーヤー、DVDプレーヤー、電子ブック、それに、PSPやPS2、ニンテンドーDSとマジコンのセットは、無料コンテンツ取り放題の前提で利用されるから本体価格が高かろうと売れる。対照的に海賊版対策がきっちりしているゲーム機は、過去まったく普及しなかった。

 中国人になぜ海賊版を利用するかと聞けば、10年前も現在も、豪邸に住み車を乗り回す人もそうでない人も、お約束のように「収入に対して(有料コンテンツが)あまりに高すぎる」と答える。悪いこととは認識しているが罪悪感はなく、地下鉄内でPSPで遊ぶ青年の姿や高級マンションでの小さな子供同士がマジコンつきのDSで遊ぶ姿は日常光景だ。

 こうしたことからパッケージソフトの収入で成り立つ業界は、中国においては成り立たなくなり、スタンドアロンのPCゲームを出していたソフトメーカーはこぞってオンラインゲームに移行した。

 このように、日本人から見れば日本のコンテンツは相変わらず盗まれ放題に見えるが、中国人から言わせれば「正規版は劇的に増えた」と胸を張る。日本人と中国人が見る中国の海賊版の現状には大きな隔離がある。


無料配信コンテンツが増える中国

青空市場内の海賊版CD・DVD屋台 青空市場内の海賊版CD・DVD屋台

 海賊版に関しては中国の法律上禁止しているが、政府が規制するのではなく、コンテンツホルダーと侵害者同士で争うべきという立場を取っている。

 中国でブロードバンドが普及した3、4年前から去年までは、中国のコンテンツホルダーが「優酷」や「土豆」(TUDOU)などの動画共有サイトを「無許可でコンテンツを配信している」と訴え、損害賠償請求を行なう、というニュースをしばしば聞いた。

 北京五輪の開会式など国威発揚のイベント絡みでは、その海賊版配信をコンテンツホルダーである政府が直接訴え、海賊版配信者を震え上がらせた。

 今年に入ってあまりそういったニュースは聞かなくなり、代わりにコンテンツホルダーがどれだけ高い値段でコンテンツの独占配信権を動画共有サイトに販売するかが話題となるようになった(コンテンツ価格の相場は今年後半に入って高騰が止まり、是正される方向にあるが)。

 動画共有サイトはコンテンツホルダーから配信権を購入、ないしは広告枠を提供し、広告を動画再生時に配信することで無料配信を実現する。ちなみに最初から海賊版が配信されるのが当たり前の環境なので、テレビ局のサイトでもテレビ放送されたコンテンツを自前でアップしている。

 ソフトウェアにしても、例えば「キングソフト」(金山軟件)などのように、セキュリティソフトやオフィスソフトなどのビジネスソフトを無料リリースしているところもある。音楽ダウンロードでは「百度」(Baidu)の「百度mp3検索」が有名だが、こちらも伴奏や間奏の間に広告の音声を挟むことで無料のコンテンツ配信を実現している。

 じっくりしっかり音楽を聴きたい人にはかなり嫌なコンテンツのはずだが、広告付き無料コンテンツに対する不満の声は聞いたことがない。あったとしても極めて少数派だろう。

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