「iPhone 4アンテナ問題」記者会見の影響
「iPhone 4」発売後、ネットやメディアを中心に盛り上がりつつあったアンテナ感度問題だが、これに関して実施された7月16日(米国時間)の米Apple記者会見の内容が新たな波紋を呼びつつある。記者会見の場に現れた米Apple CEOのSteve Jobs氏は「iPhone 4で握り方により電波のつかみが悪くなる」問題が存在することを認めつつ、これら問題が競合他社の携帯でも発生することをデモストレーションし、「業界全体の問題」と指摘した。こうしたJobs氏の発言に、槍玉に挙げられた競合他社らは「ミスリーディングだ」と怒りを隠さず、それぞれに反論のコメントを発表している。
今回は16日の発表会の様子を振り返りつつ、原稿執筆時点までの話の流れを振り返ってみよう。
iPhone 4のアンテナ問題とは?
iPhone 4では従来とは異なるデザインが採用され、アンテナの役割を果たすメタル構造が本体側面周囲を囲むような形となっている。この外殻ともいえるアンテナは複数のパーツから構成されており、Wi-FiやBluetooth、3Gといった電波種別ごとに異なる部分のアンテナを使用している。このアンテナは互いに接触しておらず、その部分は細いすき間で分けられている。英語では「Antennagate」などと表記される部位だ。このAntennagateを包み隠すように指で触れると、通信アンテナの本数が急減して電波が通じにくくなるという問題が報告されている。Antennagateは全部で3ヵ所あるが、特に本体下部にある部分を触れると問題が発生するケースが多くなるという(左手で握った際の触れる、本体正面左下の位置が最も発生しやすいようだ)。これに関してメディアや専門家が予測しているのは、異なる系統のアンテナが指などで短絡されることで、アンテナに障害が発生するというものだ。
こうした予測にのっとれば、このアンテナ問題はハードウェア設計に起因する可能性が高い。ところが、AppleはiPhone 4発売直後のこうした報告を受け、「問題を修正するソフトウェアを近日中に配布する」とコメント。実際に7月15日にiPhone/iPod touch向けの「iOS 4.0.1」ならびにiPad向けの「iOS 3.2.1」のアップデータ配布を開始した。「アップデートを適用したら通信状況が改善した」といった発言が各所で散見されたが、問題の本質を考えればソフトウェアで一気に改善するような問題ではない可能性が高い。さまざまな憶測が流れたが、このアップデートでの改善内容は翌日に行なわれた16日のSteve Jobs氏の会見で説明されることになる。