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WWDC 2010 基調講演は「予想以上にiPhone一色」

2010年06月09日 12時00分更新

文● 千種菊理

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WWDC 2010の基調講演は、iPhone 4の話がメインだった。その模様を、実際に参加した技術者である千種菊理氏の視線から語ってもらう。写真は、アップルが配信しているQuickTimeのストリーミングよりキャプチャーした

 現地時間の7日より、アップルの開発者向けイベント「World Wide Developers Conference 2010」(WWDC 2010)が米国のサンフランシスコにて始まった。

 毎年この時期に開かれるWWDCは、今後1年、アップルがどういう方向に行くか、開発者に対してどのような機能や環境を提供するか、どういったものを開発してほしいか──というメッセージを伝える重要なイベントだ。

 カンファレンスにおけるすべてのセッションはNDA(秘密保持契約)がかかっており非公開だが、基調講演だけは慣例で一般にも開かれている。特に、アップルは2010年から年初のMac系イベント「Macworld Expo」への参加もやめてしまったため、WWDCの基調講演はアップルが定期的に発表を行なう唯一の場となっている(関連記事)。

 古くはiMacの登場 、Intel CPUへの大移行、そしてiPhoneの発表など、このWWDCの基調講演では重要なことが発表されてきた。特に近年は、2008年のiPhone 3G、2009年のiPhone 3GSといった具合に、iPhoneの新機種を発表するための場となっている。

 それでも例年では、Macを含むアップル製品の売り上げに触れたり、「Leopard」や「Snow Leopard」といった次期Mac OS Xを取り上げたり、さらにはMacの新機種を発表したりと、アップルのほかの技術も比較的まんべんなく取り上げてきた(関連記事)。

WWDC 2009の基調講演では、iPhone 3GSだけでなく、新型MacBook ProやMac OS X 10.6「Snow Leopard」についても言及していた

 しかし、今年はとうとうiPhone一色、かろうじてiPadの話が少しだけあったという、非常に偏った発表だった。その模様を現地から振り返ってみよう。


日本人参加者があまり見えない?

基調講演のスライドによれば、57ヵ国から5200人を超える出席者が集まったという

 例年では3月末には日程を発表し、チケットの販売が始まるWWDCだが、今年は日本ではゴールデンウィークの直前となる4月28日に告知された。そして5000ほどのチケットがわずか8日で売り切れている。

 こうした日程のため、ゴールデンウィークが明けてから稟議を取り、チケットを購入しようとした多くの日本人開発者が取り残されることとなった。さらに発表から当日までの期間が1ヵ月少しだったため、飛行機やホテルの確保、業務上のスケジュール調整などで困惑したのではなかろうか。その点で断念せざるを得ない企業勤めの開発者も数多く出たかと思われる。

 実際のところそこまで日本からの参加者は減っておらず、昨年の300名あまりから若干の人数減といった程度の模様だ。しかし、会場では思った以上に日本人を見ない、プレゼンスが感じられない印象を受けた。例年なら直前の日曜日にアップルジャパンが主催する日本人向けの懇親会「Japan Reception」が開かれるのだが、これが行なわれなかったため、日本人参加者同士が顔を合わせる場面が多くなかったのかもしれない。

 一方、全体の参加者の賑やかさは例年以上だった。WWDC開始前の土日、サンフランシスコの各所で「その手の人」が談笑を繰り広げ、iPadやiPhoneを手に持っている姿が散見された。

 もっともサンフランシスコでは、iPhone片手に地図を見ながら歩いてTwitterでつぶやいたり、カフェやレストランでiPadを広げるという光景はごく普通に見られる。iPhone、iPadはもはやあって当たり前、普通に使われるツールであることをと痛感させられた。


基調講演を見ようと長蛇の列が……

 早朝、筆者が会場となるモスコーニセンターに着いた際、ひとつ目の角を曲がってなおも続くという行列ができていた。人数にして数百という感じだろうか?

 50mほど前に並んでいた知り合いは5時過ぎに来たとの話なので、先頭は午前3時かそれ以前に到着していたと思われる。筆者はたまたま2007年に先頭30人以内で並んだことがあるが、当時は5時過ぎに来てその順番だったのだ。わずか3年で「戦い」が2時間近く前倒しになってしまった。7時頃には二つ目の角も回って、軽く1000人は超える行列ができあがっていた。

 初夏とはいえまだ肌寒い夜明け前の行列に並ぶこと2時間強、8時頃に行列は動き始めて会場内に誘導された。しかし、まだ基調講演の会場である3階には入れない。1階からまっすぐエレベーターに通されて、2階を周回する廊下に並ばされる。幅5、6mほどあるこの廊下に菓子パンやコーヒーが用意されており、軽い朝食を取ることができた。

 この時点でTwitterでつぶやく人、USTREAMで動画を長そうとした人は多かったが、iPhoneではなかなかネットワークにつながらない状態だった。一方、MacBookやiPadは比較的容易にネットワークに接続できた。

 会場にはIEEE 802.11nの無線LANアクセスポイントが、5GHz帯の2.4GHz帯の2種類で用意されていた。古いiBookやPowerBook、iPhone、その他メーカーのノートマシンなどがが2.4GHzを奪い合う一方、比較的新しいMacBookとiPadは、相対的に空いた5GHzを利用できたからだ。

 しかし、この狭い空間で1000人を越える人間が数百ものデバイスで一斉に電波につなごうとしているのだから、満足な帯域を要求するのは酷と言うものだろう。いずれにせよ、人間という電波の遮蔽体が密集した状態のため、場所によってはつながりにくい状態だった。

 各自軽い朝食を取り、途切れ途切れの電波で連絡を取って一段落ついた9時20分頃、列は再び動き始めた。今度こそ3階の会場への流れだ。細いエレベータを体格のいい男達が順に乗っていく。さすがにエレベータが止まることも逆送することもなかったが、限界を試しているのではないかと思われてならない。

 そして朝から並んでいた行列は、3階の会場に収容された。

 後ほど聞いたところ、9時半頃に着いた人はもはや会場ではなく、下のフロアの会場(オーバーフロールーム)に回されたらしい。こちらはこちらで「生ジョブズ」こそ見えないものの、大きなディスプレーでよりゆったりとして基調講演を見ることができたため、それはそれでよかったのかも知れない。

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