男性は「カタい光」でカタく撮れ
吉田:では男性はどう撮ればよいんでしょうか。
三浦:まあ、いろいろな撮り方があるけどな。じゃあ、職人や技術者をかっこよく撮るにはどうすればいいと思う?
吉田:知的で渋い感じですかね。写真で表現するには仕事場で作業中をイメージさせればいいのかな……。
三浦:じゃあ、試しに撮ってみてよ。
吉田:はい。
三浦:我々は瞬間移動したの? まあいいとして、整備の達人がバイクをメンテナンスしている、という写真だね。
吉田:はい。どうでしょうか?
三浦:このライティングだと手前のエンジンが目立ち、職人さんがあんまり目立たないよ。それにカメラの内蔵ストロボで正面から光を照らしているため、写真全体が平板な印象になっている。
吉田:ダメですか……。
三浦:じゃあ、今度は私が撮ってみようか。
吉田:ライティングが違うと写真から伝わってくる雰囲気がガラっと変わりますね!
三浦:スポーツ選手や職人など男性的な人物写真なら、顔に陰影を作り「仕事一筋!」を表わすのも演出として有効だ。それにはカタい光をサイドライトで照らすテクニックを使うといい。
吉田:エンジンの複雑な構造も描写されていますね。
三浦:サイドライトはバイクのように凹凸のある被写体の表現にも有効なんだ。ぜひ試してみてよ。
シャッターチャンスは手の動き
吉田:先日、インタビューに行ってきたのですがどうもよい表情が撮れなくて……。
三浦:どんな感じだったんだい。
吉田:真正面から喋っているところを何枚か。ただ表情に乏しい写真しか撮れませんでした。
三浦:再現してみてよ。
吉田:ちょうどこんな感じです。
三浦:証明写真みたいだねえ。表情にも生気が感じられないし。
吉田:ダメですか。
三浦:喋っている人の勢いが感じられないんだよね。おまけにカメラ目線のため、インタビューアーが居る、という雰囲気が写真から伝わってこないんだよ。
吉田:なるほど。
三浦:私ならこう撮るね。
吉田:生き生きと喋っている感じになりました。
三浦:顔の表情や手の動きを写すと、取材対象の人が熱意を持って喋っているという雰囲気が写真から伝わってくる。このテクニックは憶えておくと役に立つよ。
吉田:次から使ってみます!
■Amazon.co.jpで購入
人物、商品、生き物の魅力を引き出す96例 プロが教えるデジカメ撮影テクニック三浦 健司(著)アスキー・メディアワークス