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“JAXAの真田ぁ~ず”に総力インタビュー! ― 第3回

祝帰還!「はやぶさ」7年50億kmのミッション完全解説【その3】

ついにたどり着いた小惑星イトカワが「ラッコ」だった件について

2010年06月14日 12時00分更新

文● 秋山文野 撮影●小林伸ほか イラスト●shigezoh 協力●JAXA/ジャンプトゥスペース

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「はやぶさ」7年50億kmにわたる旅の概略図。今回は2005年11月のイトカワ着陸寸前までの現場の声をお届けする

■前回までのあらすじ

 日本が検討していた宇宙探査ミッションが次々とNASAに取られてしまう……そんな危機感をばねに、工学実験探査機MUSES-C計画はスタートした。

 安全確実に、できるところまで技術実証をやればいい、そんなミッションでもよかったのかもしれない。「ただ、面白くないですよね」(プロジェクトマネージャ 川口氏)。100点満点で500点(!)を目指した探査機は無事に打ち上げを乗り越え、「はやぶさ」と名付けられることになった。目的地は、宇宙研の父の名にちなんで「イトカワ」だ。


「はやぶさ」始動――2003年5月

近赤外分光器開発担当 安部正真准教授

 「はやぶさ」に搭載された各種の観測機器や姿勢軌道制御装置、データ処理装置の機能の確認は順調に行なわれ、約9ヵ月にわたるイオンエンジン連続運転、加速がスタートした。4基のエンジンのうち、スラスタAは推力が安定しなかったため動作を停止。予備エンジンとして温存された。

 この当時、地上から目的地イトカワの観測も行なわれていた。「はやぶさ」が接近してイトカワの精密な観測ができれば、天体観測の技術についても大きなフィードバックが得られる。関係者の期待は高かった。このとき、地上から予測されていたイトカワのおおまかな形は、じゃがいものような形であった。


安部 小惑星というのは、毎年々々明るくなるわけではなくて、明るくなるのは何年かに一度。ですからそのときに集中的に観測しなければならないんです。

 たまたまイトカワは2004年に観測できるチャンスがあったので、そこで素性がわかると、「はやぶさ」の観測結果と付き合わせてフィードバックできる。観測という分野で探査に貢献できることに喜びというか、やりがいが一段と大きくなりました。


地球の重力を利用して加速、一路イトカワへ――2004年4月

 2004年4月、「はやぶさ」は地球に最接近し、主要ミッションのひとつであった重力を使った加速「地球スイングバイ」に挑戦。「燃料なしで秒速で4kmほどに相当する加速を一気に行なうことができる」という大きな力を得るため、「所定の地点を、位置誤差1km、速度誤差1cm/秒以内で通る」精密誘導を行ない、見事成功を収めた。

 イオンエンジンによる加速+地球スイングバイの成功は世界初の快挙だった。このとき、軌道の微調整には科学推進機関を、そして地球の影の通過時には日本初の宇宙機搭載用リチウムイオン電池によるバックアップ電源を使用している。どちらの機器も、このときは順調に動作していた。


画像は「鮮度が命だ!」

マルチバンド分光カメラ開発担当 齋藤潤氏

齋藤 地球スイングバイのときには、AMICA(マルチバンド分光カメラ)チーム総動員で、月の裏側や地球の画像を撮りました。画像はすぐ降ろして、ただちに解析、そして終了次第ホームページに掲載しました。「鮮度が命だ!」と言われて、撮影から最短2時間ほどでアップロードしたはずですよ。

 RGBの合成が必要なので結構手間がかかるんですが、運用室に自前のパソコンを持ち込んで急いで画像を作成し、寺薗君(元カメラ科学観測及び広報担当 寺薗淳也氏)と分担で僕が日本語の説明、彼が英語の説明をばーっと書いてね。僕らがそうやって、しっちゃかめっちゃかになってるときに、的川さん(JAXA名誉教授 的川泰宣氏)が後ろで「ほう、やってるねえ」とかにやにやしながらずっと見てて、運用室を出たり入ったりして(笑)。


イトカワってどんな天体?――2004年11月

 地上では、2004年11月に「第一回はやぶさシンポジウム」が行なわれ、国内外の研究者が集い、イトカワの姿、性質に対して議論を戦わせた。


国際シンポで予想大会!?

前サイエンスマネージャ 藤原顕教授

藤原 到着前に海外からも研究者が集まって、「第一回はやぶさシンポジウム」という国際シンポジウムを行ないました。その趣旨というのが、イトカワの地上からの観測データをもとに、理論屋さんも集まってどんな天体か予想してみよう、という試みだったんですよ。直前になっているわけですから、それが合っていても、間違っていてもすぐわかるわけですから、面白かったんです。

 大きさが500mほどだったこともあり、たいがいは隕石の大きいモノであろうという予想でした。形はある程度レーダーをもとにしたモデルが出ていたものの、かたまりはひとつかふたつ、そういうものかな、という感じはしてましたね。それからある程度大きな天体、たとえば月の表面だとレゴリスという砂状の物質があるんですけど、それはあまりないだろうと予測していました。そして表面はクレーターが一杯開いているだろうと。

 そういう意味では結局、合っていたのか間違っていたのか……どっちだろうなあ。

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