DirectX 11時代の到来
一昨年はNVIDIAのGeForceシリーズが圧倒的なシェアを獲得したが、昨年はAMDの「ATI Radeon HD 4000」シリーズ、そして業界初となるDirectX 11対応の「ATI Radeon HD 5000」シリーズが大ヒットし、2009年にVGA市場はまさにATI一色という感じだった。そして2009年の暮れ、遅まきながらNVIDIAもDirectX 10.1対応の「GeForce GT 240」でWindows 7への対応を進め、2010年春、ATIから半年遅れてDirectX 11対応の「GeForce GTX 400」シリーズをリリース。ようやくATI Radeon追撃の準備が整った。ここまでが現時点での2大GPUメーカーの情勢である。
GPUを選ぶ前に押さえておくポイント
「ビデオカード」とは、文字通り映像を出力するためのカード(基板)のことを指している。つまり「交換可能な形態」ということだ。パソコンで最も交換が検討される部品が、ビデオカードであり、かつ自作する上で重要なファクターであることは、今も昔も変わらない。GPUを内蔵するCPUやチップセットのパフォーマンスが向上しているものの、やはり性能では単体の“ビデオカード”の方がほとんどの場合、1枚も2枚も上なのである。さてビデオカードを選ぶポイントだが、まずは搭載するGPUを選択する前に確認しておくべきポイントがある。それは……
・ビデオカードのインターフェイス(拡張スロットの種類)
・ビデオカードの物理的なサイズ(長さや厚み)
・ビデオカードの性能(GPUの種類)
以上の3つが、重要ポイントとなる。
インターフェイスはPCI Express 2.0 x16が主流
まずはビデオカードをパソコンに差すためのインターフェイスから話を進めよう。
これは大きくわけて3つのタイプがある。
・PCI Express
・PCI
・AGP
古いパソコンでは、AGPまたはPCIが使われていることも多いが、そこまで古いパソコンだと、ビデオカードのアップグレードによる恩恵はほとんどないだろう。というのも、その時代の製品を使っている場合、CPUパワーが圧倒的に足りず最新のビデオカードを搭載しても、ほとんどの場合、性能を発揮できないからだ。その場合はCPUやマザーボード、メモリなど基幹パーツをごっそり入れ替えるか、PCそのものを全く新しく自作した方が早いだろう。
またPCI Expressスロットがあったとしても、そのスロットがPCI Express x16スロットであること、そしてPCI Express 2.0に対応していることが、ビデオカードを交換する際の必須条件となる。しかし、現在販売されているほとんどのマザーボードはほぼPCI Express 2.0に対応しているため、よほど古い製品を使っていない限り気にしなくても大丈夫。逆にPCI Express 2.0に対応していないマザーボードを使っている場合は、世代的にもマザーボードを買い換えた方がいいのだが、分からない場合はマザーボードの型番を控えておき、店頭で相談するのが確実だ。
ビデオカードのサイズに注意
ビデオカードのサイズというのは、長さと高さ、そして厚みのことを指している。小さいカードは、どんなパソコンにも適合し、逆に大きくなると制約も大きくなる。特に冷却を重視した製品の場合、拡張を2スロット分を占有するため、隣接するスロットを考慮していないと他の拡張カードが差せないという困った自体も起きるため注意したい。特に最近のミドルレンジ帯の製品は、2スロット仕様が普通と思っても問題はない。
PCI Express補助電源コネクタに気を付けよう
ミドルレンジ以上のビデオカードには「PCI Express補助電源コネクタ」というものが付いている。ここに電源ケーブルを差さないと、正しく動作せず、大抵の場合は、BIOS画面も出ずに画面が真っ黒のままとなる。久々に自作に戻ったユーザーのかたに多いミスの一つで「ビデオカードに電源を差すなんて……」というも人も少なからずいるはずだ。
ビデオカードの補助電源コネクタには、上記のように4種類ある。このうち、8ピンのコネクタはCPU用の8ピンコネクタに酷似しているが、全く別物なので誤って差さないよう要注意。形状が異なるため普通は差せないのだが、無理やり差せば入らなくもない。「入らない」と思ったらまずは形状を今一度よく確認しよう(間違って差すと、ショートしてビデオカードが壊れる)。
また昨今の電源ユニットには、大抵6ピン×2のPCI Express補助電源コネクタが用意されているが、8ピンタイプが用意されていないこともある。自分の使っている電源ユニットに8ピンタイプがあるかどうかの確認は必須項目といえる。もちろん新しく電源ユニットを購入するのであれば、8ピン×2が用意されている最新の電源ユニットを選べば、市販されているビデオカード全てに対応する。
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