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秘文LEで安全にデータを持ちだそう

日立ソフトの秘文LEで実現した「そぎ落としの美学」

2010年02月09日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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日立ソフトウェアエンジニアリング(以下、日立ソフト)の情報漏えい対策ソリューション「秘文」に、新たに「秘文LE(Light Edition)」が加わった。今までエンタープライズのイメージの強かった秘文だが、秘文LEではとにかく簡単に使えるよう、機能をそぎ落としたという。

エンタープライズ向けの秘文を
もっと使いやすく

 日立ソフトの秘文は情報漏えい対策ソリューションとして、国内で高いシェアを誇っている。もともとは1990年代後半に発売された「秘文Personal」という個人向けの暗号化ソフトがベースになっており、2002年に企業向けの「秘文AEシリーズ」を販売開始した。この秘文AEシリーズはファイルの暗号化や持ち出し、印刷の制御などPDCAサイクルの「Do」にあたる部分を担当するクライアント/サーバー型の製品だ。その後、企業のセキュリティ運用を支援するため、状況把握や分析、監査などを目的とする「秘文MEシリーズ」を2005年にリリース。そして2010年、中小企業向けの第3のラインナップとして登場したのが、秘文LEである。

デモを披露してくれた日立ソフト ソリューション開発本部 セキュリティ設計部 シニアソフトウェアデベロップメント 黒田広行氏と、製品担当の開発事業部 ソリューション開発本部 副本部長の臼杵誠剛氏

 1月12日に発表された秘文LEの第一弾である「秘文LE Personal Office」は、専用の秘文USBメモリを用いて業務データを安全に持ち出すことができるというものだ。日立ソフト 開発事業部 ソリューション開発本部 副本部長の臼杵誠剛氏は「今までの秘文はエンタープライズといわれる大企業がターゲットで、セキュリティ管理者が必要でした。しかし、今後伸ばしていきたい中堅・中小企業はセキュリティ管理者が置けず、PCセキュリティのコストもかけられません。そこで、低価格で使いやすい製品、そして外出先でPCを安全に利用するためのツールとして開発されたのが、秘文LEです」と製品のコンセプトについてこう述べる。

 確かに秘文LE Personal Officeの利用方法は非常にシンプルだ。まずはファイルの持ち出しができる内部PCを専用の秘文USBメモリに登録し、業務ファイル等を通常通り保存する。この際、ファイルは自動的に暗号化される。そして、他のPCにこの秘文USBメモリを挿し、パスワード認証を行なうと、自分専用の簡易デスクトップが表示され、通常通りファイルの編集が行なえる。持ち出し先のPCでは、秘文LE Personal Officeのインストールは不要で、Officeや一太郎などのアプリケーションはそのまま利用できる。

専用USBメモリを差し込むと、自動的に自身のデスクトップが表示され、ファイルの編集等が行なえる

 一方、持ち出し先のPCでは、ファイルの保存は秘文USBメモリ内でしか行なえず(リムーバブルディスクしか見えない)、印刷も不可。これなら仕事を家に持ち帰ったり、出張や外注先のPCで作業するといった場合でも、漏えいを防げる。ただし、アプリケーションに関しては、持ち出し先のPCにインストールされている必要がある。

 製品構成や導入もシンプル。秘文LEでは、USBメモリとマネージャと呼ばれるツールで構成される。利用するにはパスワード認証ののち起動したマネージャでUSBメモリを検索し、「作成」ボタンを押せばOKだ。

オフィス業務の持ち出しに
機能を絞る

 エンタープライズ向けの秘文AEに比べて、秘文LEは「オフィスの業務を外出先に持ち出す」という目的に特化し、機能をシェイプアップしているのが特徴。ご存じのとおり、秘文AEをはじめとするクライアント/サーバー型の情報漏えい対策製品は、パスワードの長さや期限の設定、ファイルのコピー、印刷の可否など、とにかく細かいポリシーを設定できる。一方、秘文LE Personal Officeは、こうしたポリシー設定の機能はない。「秘文AEはとにかくいろいろな機能を持っているので、秘文LEは設定も、できることもシンプルにしました。おかけでレスポンスも良好です」(臼杵氏)とのこと。確かにデモンストレーションを見る限り、USBメモリを挿してから、すぐにデスクトップが表示される。もちろんUSBメモリ1本単位でのライセンスなので、料金もシンプルだ。

専用USBメモリを差し込むとだけで使えるので、使い勝手もよい

 では、秘文LEはどのようなユーザーにお勧めか? 引き合いが多いのは実が学校と病院だという。「学校の先生が扱っているデータは生徒の成績や試験問題など機密性の高い情報。こうしたところで、安全に業務を持ち出す方法を検討した結果、この秘文LEに行き着くみたいです」(臼杵氏)とのこと。病院も同じで、機密性の高い情報を扱っていながら、オフィスの外で作業をせざるをえないユーザーが導入を検討しているようだ。

 今後も、秘文LE Personal Officeは対応するファイル形式を増やす程度で、いたずらに機能拡張を追加していく予定はないという。秘文AEの「弟分」となる新製品が、中小企業市場でどのように受け容れられるか、興味深いところだ。

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