Intelチップセットの歴史 その6
845から945まで モバイルチップセットを振り返る
2010年01月25日 12時00分更新
945世代でチップセットのラインナップが乱立
2006年1月にCore Duoと同時に登場したのが、「Intel 945GM」と「Intel 945PM」である。こちらもやはり、「Intel 945G/P」のモバイル版という扱いで、デスクトップとは異なり667MHz FSBへの対応が行なわれた以外、DDR2-677への対応やGMA950の内蔵など、デスクトップ向けとほぼ同一の変更が加えられた。ICHも「ICH7M」に変更されている。
さて問題はここからである。まず、少し遅れた2006年4月に、「Intel 945GMS」と「Intel 940GML」が投入される。945GMSは915GMS同様の薄型ノート向けで、FSBは533MHzのみでメモリーも1チャンネル、外部グラフィックを省くなどの変更により省パッケージ化が図られた。
また、940GMLは低価格向けでパッケージは通常のものだが、DDR2-677のサポートが省かれている。ただし、薄型ノート向けゆえに性能の低下が許容され、組み合わせるCPUも動作周波数の低いLV/ULV版のCore Soloがほとんどという945GMSはともかく、動作周波数の高いCeleronと組み合わせるのにメモリーが1チャンネルのままだと性能低下が激しすぎたようで、2006年11月には2チャンネルのメモリーを復活させた「Intel 943GML」が投入されている。
翌2007年4月には、945GMSのさらにサブセットというべき「Intel 945GU」が投入される。これはFSBが400MHzのみで、メモリーもDDR2-400が1チャンネルのみという特殊なものだが、Pentium Mをベースにした「Intel A100/A110」プロセッサーのみに対応したチップセットである。ICHも専用の「ICH7U」が用意されており、これと組み合わせることで省スペース、省電力の構成が可能となるというものだった。こちらはその後、Atomが投入されるまで生きながらえることになる。
さらに2007年7月には「Intel 945GME」が、2008年7月には「Intel 945GSE」がそれぞれ投入される。どちらも915GMEや910GMLEと同じく、Macrovisionを省いた廉価版という位置づけである。
これらとは別に、「Intel 945GT」というチップセットが、945シリーズの当初から投入されていた。スペック的にはIntel 945GMとまったく同一であるが、「デスクトップ向け」という扱いのチップセットである。つまり、SFF向けにモバイル向けCPUを使う場合に利用するチップセットであり、組み合わせるのは通常のICH7(またはICH7R)ということになる。
というわけで、945世代では実に9製品ものチップセットが投入されたわけだが、流石にこの後はもう少しラインナップが減ってゆく。インテルとしても、「むやみやたらにチップセットを投入しても大変になるだけだ」ということがわかったらしい。
今回のまとめ
・2002年3月に、Mobile Pentium 4-Mと組み合わせる「Intel 845MP」が登場した。しかしGPUを内蔵せず、GPU内蔵版「Intel 852GM」が登場したのは2003年1月と遅れた。
・本命のモバイルCPU「Pentium M」登場に合わせて、2003年3月にはGPU内蔵の「Intel 855GM」とGPUなしの「Intel 855PM」が登場した。しかし855GMは消費電力がやや高いという問題もあった。
・2005年1月、DothanコアのPentium M登場に合わせて、「Intel 915GM」などが登場した。この世代より、PCI ExpressやDDR2メモリーへの対応が進む。
・2006年1月のCore Duo登場と同時に、モバイル向けチップセットも「Intel 945GM」世代に移行した。その後の945シリーズは、廉価版やその改良型など、細かな仕様違いの製品バリエーションが乱立することになる。
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