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図で解剖!スイッチ&ルータ 第3回

スイッチとRIP、OSPFについて知ろう

ルーティングとレイヤ3スイッチの関係とは

2009年08月06日 09時00分更新

文● 伊藤玄蕃

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VLAN間ルーティングの動作

 たいていのL3スイッチでは、ポートをVLANに割り当てた後、それぞれのVLANにIPアドレスを設定するだけで、VLAN間のルーティング設定が自動的に行なわれる。L3スイッチは、各VLANに設定されたIPアドレスとサブネットマスクから、そのVLANが所属するネットワークアドレスを計算し、メモリ内にルーティングテーブルを作成する。

 ここでは、1台のL3スイッチを4つのVLANに分割した場合を考えてみる(図10)。まず、図10では、VLAN0 上の PC01(192.168.0.10)発で192.168.2.10宛のパケットで、L3スイッチはこのパケットを受信すると、宛先IPアドレス(192.168.2.10)を取り出し、このアドレスを宛先ネットワークに含む行をルーティングテーブルから検索する。VLAN2の行が合致するので、L3スイッチはこのパケットをVLAN2へ送出すればよいと判断し、VLAN2へ向けてパケットを転送する。VLAN2の中では、ARPを使って192.168.2.10はPC21のIPアドレスだと判断し、パケットが届けられる。

図10 レイヤ3スイッチのパケットの転送処理

 一方、宛先アドレスが172.20.16.1などの場合は、L3スイッチのルーティングテーブルに合致する行が存在しない。そこでL3スイッチは「このパケットの宛先への経路はない」と判断して、パケットを廃棄する。

 複数のL3スイッチから構成されるネットワークでは、ルータと同じく、静的または動的ルーティングを利用する。ネットワークの規模が大きくなるほど動的ルーティングが使われるのも、ルータのネットワークと同様だ。ASICに格納できるソフトウェアのサイズが小さかったため、当初のL3スイッチにはRIPまたはRIP2しか使えない製品もあったが、現在ではOSPFやBGP4といった大規模ネットワーク向けのルーティングプロトコルをサポートする製品が一般的だ。

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