このページの本文へ

購入を決意したユーザーがためらう理由!?

2009年03月26日 18時25分更新

文●竹内 亮介/株式会社環 取締役 アクセス解析 シニアコンサルタント

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

こんにちは。竹内亮介です。

 前回までは、ショップを訪問したユーザーの行動について第13回、第14回と検索エンジンを元に説明してきました。

 そこで、今回はネットショップで購入する際の最後のポイントである「カート」について話をしたいと思います。

 実は、ネットショップにおいて「商品を購入しよう」と考えて、カートまで商品を入れておきながら止めてしまう訪問者は少なくありません。

 商品などによっても異なりますが、私がアドバイスしていた経験から見ると、ショッピングカートに商品を入れてから購入に至っているユーザーは10%近くしかないことも数多くあります。

 ショッピングカートを止めてしまう要因は様々です。「配送料が高い」「購入手続きが面倒くさい」などなど・・・。

 ただ、ショッピングカートに商品を入れてから購入手続きの「どこ」で止めているかを把握する事で、問題点を予測して改善につなげることが可能です。

 今回は、アクセス解析を利用してショッピングカートを実際に改善した例を元に説明します。

購入する際の情報入力が手間となっていた

(1)サイト内検索の利用者は「商品を求めている」ユーザとなる

 最初の例は、私がアドバイスしている健康食品や健康器具など健康系の商品全般を扱うネットショップで実際にあった出来事です。

 集客もそこそこ上手くいっている、商品を見ているユーザーも多い、ただ、購入には繋がらない・・・。
 そのネットショップはこのような状況で悩んでいました。

 確かに、アクセス解析を見ると商品ページを見ているユーザーも多く、購入に繋がらないのが不思議なくらいです。

 そこで、カート入力後のユーザー行動を経路解析で確認しました。

すると、

  • 商品ページ:1,000人
  • 購入商品の決定:300人
  • 届け先情報の入力:100人
  • 支払・配送情報の入力:5人
  • 確認画面:1人
  • 完了画面:1人

といったような割合でユーザーが遷移していました。
 明らかに「届け先情報の入力」部分での離脱が95%と大きく、この部分でほとんどのユーザーを逃がしてしまっている状況です。

 そこで、「販売している商品は繰り返し購入する商品や共通するジャンルも多い。つまり、複数回目の購入の際に、届け先情報を入力するのが面倒なのではないか」と考え、次のリニューアルの際には届け先情報を登録できるようにして、一度登録すれば入力の手間がいらない仕組みにしたところ、離脱率が20%程度改善しました。

 「カート~購入完了」までのように、ユーザーの行動が一直線で決まっている場合、ユーザーの行動(経路)からどこでユーザーが止めてしまっているかが見えてくることがあります。

 離脱しているポイントが分かれば、その中にある入力情報や内容から課題を考えて改善する事で、離脱率を軽減する事が可能です。特に、カートの場合「購入しよう」と考えているユーザーが躓いている課題を改善するので、効果は明確です。

 まずは、実際に自分のショップのカートから、購入完了までにユーザーがどの位遷移しているかを確かめて見ましょう。

 そして、ユーザーが大きく離脱しているページがあれば、そのページが課題のページでもあり、改善のチャンスでもあります。是非、確かめてみてください。

 ネットショップの最後の部分である「ショッピングカート」。
 この部分でユーザーを逃さない事は、売上げを向上するポイントとなってきます。

【用語解説】

経路解析(パス分析)
 ユーザーがあるページを起点として、どのような経路を辿っているかが確認できます。特に、ショップ内で利用して欲しい動線(行動)をチェックしたりする事が可能です。

 特に、通常の出口ページ(離脱ページ)分析などと異なり、ユーザー行動の中での離脱が見られるのが大きな特徴です。

著者プロフィール

名前 竹内 亮介
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社環
サイト http://www.kan-net.com/

この連載の記事

一覧へ

WebProfessional 新着記事