Google Ad Plannerがなぜスゴいのか
Ad Plannerは、こうした状況を一変させてしまう破壊力のあるツールだ。Googleの視点という、「客観的」なデータが誰でも利用できるようになったことで、各社のアクセス状況を集計してデータを販売したり、媒体資料の不備につけ込んで業績を伸ばしたりしてきた広告代理店が大ショックなのは間違いない。
Ad Plannerの目的は先に説明したとおり出稿計画の立案サポートだが、その一環として大手250サイトのスペックを比較検討できる機能 (「Research」機能)を持つ。Researchでは、各サイトのPV/UVを調べるのはもちろんのこと、以下のようなユーザー属性を閲覧できる(閲覧できる項目は国によって微妙に違う。以下は日本の場合)。
- 地域(都道府県・市区町村)
- 言語
- 性別
- 年齢層
- 最終学歴
- 世帯収入
- 訪問しているサイト名
- 検索しているキーワード名
1つ1つのサイトの情報をただ見るだけでなく、ユーザー属性の各項目をキーにリストを並び替えられるのも特徴だ。複数の条件も設定でき、たとえば「東京都在住の65歳以上、年収800万円以上の男性」「はてなと2ちゃんねるを併読している25歳~34歳の女性」といった条件でリーチできる媒体を一発で調べられるのだ。ほかにも、(Googleが分類した)サイトのカテゴリーで絞り込んだり、対応しているディスプレイ広告の種別を調べたりでき、最終的にはデータをExcelやMediaVisor(米ダブルクリックの出稿支援ツール)にエクスポートして活用できる。
広告主にとっては出稿先の選定が楽になる一方、メディアや広告業界にとってGoogle Plannerは恐怖だ。もともと調査会社のレポートなどを購入して各サイトの状況をある程度把握していた企業はともかく、媒体資料と過去の経験以外に判断材料を持たなかった広告主でも、Ad Plannerなら担当者が直接サイトを比較し、出稿先を選べることになる。メディアや広告代理店が隠したいデータはもはや隠せない。Webメディアや広告業界にとっては、グーグルにここまで情報をオープンにされてはたまらない――のが本音だろう。