シャープが久しぶりに、新Mebius「PC-NJ70A」(以下NJ70A)を発売する。しかもそのジャンルはNetbook。タッチパッドに同社オリジナル技術である「光センサー液晶パッド」を搭載した、他に類を見ない製品だ。
なぜ久々の新モデルにNetbookを選んだのか? そして、この製品でシャープはどのような市場を狙っているのだろうか? 商品企画を統括する、同社マーケティングセンターマーケティング部参事の笛田進吾氏へのインタビューとNJ70A試作機のレビューを通して探ってみよう。
狙いは「Netbook市場」にあらず
アイデアは「ユニクロのブラトップ」から
シャープがノートパソコン「メビウス」の新製品を市場に投入するのは、およそ1年ぶりのことだ。
笛田「その間に、モバイル機器としてはウィルコム(株)の『D4』を手がけていますが、シャープブランドとしてはお休みしていたことになります。その中で『本筋のノートパソコンをどうするか』と、いろいろな検討を重ねました」
「ご存じのように、パソコンというのは事業規模が非常に大きく効いてくるビジネスです。他社と同じものを作っていても、なかなかうまくいかない。ノートパソコンになにがあるべきか、かなりたくさんのユーザー調査を重ねました。その結果考えたのが、『ユーザーインターフェース』の革新です」
ユーザーインターフェースの革新とは、もちろん「光センサー液晶パッド」のことだ。このデバイスは、いわゆるタッチセンサー内蔵液晶パネルだが、一般的な抵抗膜式や静電容量式とは動作原理が異なる。液晶パネルの画素に光センサーが内蔵されており、パネル表面にあるものを感知することで、マルチタッチ対応のセンサーとして働く。
2007年8月に発表された技術だが、商品への搭載はこれが世界初。NJ70Aではタッチパッド部に採用されているが、これがどのように「ユーザーインターフェースの革新」につながるかは後述するとして、まずは、なぜそのような新提案をNetbookに搭載することになったのか。その理由をたずねてみた。
笛田「実は、最初から『Netbookありき』で進んでいた話ではないんです」
「まずは、新しいユーザーインターフェースを入れたノートパソコンをやりたい。さらに、そこで『光センサー液晶』を搭載した製品をやろうとなった。問題は『では、何に載っけるんだ?』ということ。Muramasaみたいなバリバリのモバイルノートに搭載することや、高性能なノートパソコンに搭載することも考えました」
「しかし、新しいユーザーインターフェースというものは、『結局低価格のものに搭載しないと広まらないんじゃないのか」という結論に達しました」
「そうこうしているうちに、Netbookが隆盛になってきた。そこで思い出したのが、ユニクロの『ブラトップ』です。安価なタンクトップではあるんだけれども、その中にブラカップをつけることで便利になって、付加価値が生まれている。『この発想だ!』ということになって、Netbookに光センサー液晶を搭載することに決めたわけです」
「今回の製品はあくまで第1弾です。いつ・どんなものを出すのかはお伝えすることはできませんが、具体的な第2弾も動き始めています。光センサー液晶には、継続的に取り組んでいく予定です」
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