今回、試したベンチマークに限って言えば、テストによって得手/不得手がある印象だ。
合計16までのコア(または16個までのCPU)に対応している「CINEBENCH R10」では、Mac Proの中でクロック周波数が最も低いながらも新8コアモデルのスコアが大きく伸びた。一方でiTunesやQuickTimeのエンコードでは、新4コアモデルやクロック周波数が高い旧8コアが若干速かったりしている。
価格を見ると、新8コアモデルは35万8800円、新4コアモデルは27万8800円だ。今回の結果だけでは8万円ほどの差はあまり実感できないかもしれないが、8コアモデルを選ぶメリットは大容量メモリーにもある。
今回の新Mac Proでは、そもそも搭載できる最大メモリー容量が、8コアでは最大32GB(4GB×8)、4コアでは最大8GB(2GB×4)と異なっている。旧Mac Proではベースが1種類のみ(最大32GB)だったので選ぶ余地がなかったが、ビデオや3Dグラフィックの編集で、メモリーを大量に使うという環境に新機種を導入するなら、8コアモデルに12GB(2GB×6本)などの大容量メモリーを搭載して買った方が快適に作業できるはずだ。
ちょうどMac Proではメモリーの種類が変わって、価格が大幅に下がっている。Apple Storeでメモリーを見ると、旧Mac Pro用は1GBモジュール2枚で5万400円なのに対して、新Mac Pro用は1GBモジュール2枚で1万80円と5分の1だ。かなり買いやすくなったと言える。
「結局、4コアと8コアのどちらを買えばいいのか?」という話だが、今回の結果で言えば、PowerMac G5からの乗り換えで、CPUパワーもメモリーもそこそこでOKという人は下位モデルでも体感速度の向上を感じられるはずだ。16コア対応のソフトを使っていたり、メモリーの消費量が多いアプリをいくつも立ち上げるというなら、上位モデルのほうが快適だろう。「金に糸目は付けない、とにかく速いMacを」というなら、8コアモデルでApple StoreのBTOを利用して、CPUをさらに高速な2.66GHz×2/2.93GHz×2に乗せ替える手もある(その代わり値段は跳ね上がるが)。
Apple StoreのBTO価格 | ||
---|---|---|
4コアモデル | 8コアモデル | |
CPU | 2.66GHz×1 2.93GHz×1(+5万5020円) |
2.26GHz×2 2.66GHz×2(+15万4350円) 2.93GHz×2(+28万6650円) |
メモリー | 3GB/3x1GB 6GB/3x2GB(+1万5120円) 8GG/4x2GB(+2万5200円) |
6GB/6x1GB 8GB/4x2GB(+1万80円) 12GB/6x2GB(+3万240円) 16GB/8x2GB (+5万400円) 32GB/8x4GB (+61万4880円) |
最終的には、仕事で使っているソフトがどのくらいCPU性能を活かせるのか、自分の作業でメモリーは容量はどれくらい必要なのか、その辺を見極めてから買うのが定石だろう。