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IXY DIGITAL 900 IS

IXY DIGITAL 900 IS

2006年10月13日 18時00分更新

文● 行正 和義

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 広角レンズでは周辺部にゆがみなどが出るかがが気になるところ。本機でも周辺の描写はやや劣化してしまい、色収差と見られる色ムラや画像のぶれが生じている。小さなレンズで広角と手ぶれ補正を両立させているのだから、ある程度やむを得ないところではあるだろう。

サンプルその1 アップ
サンプル1 ハイコントラストな画像では白く飛んだ部分の周囲などに着色がわずかに見られるが、全体的にかっちりとした描写となっている。プログラムオート、1/640秒、F3.5、ISO 80。元画像は3072×2304ドットで、それぞれ640×480ドットにリサイズもしくはトリミングしたほかの補正はかけていない。
サンプルその2 アップ
サンプル2 場所の広さや臨場感を出したいなら広角28mmがありがたい。発色も鮮やかで秋空の高さもいい感じになる。周辺部で若干描写力が落ちるのが気になった。プログラムオート、1/250秒、F7.1、ISO 80。

 また、コントラストの激しい部分ではエッジの着色が若干見られるなど、コンパクトカメラらしい弱点が見られるものの、十分な露出であればしっかりとした描写と発色が得られ、特に発色は鮮やかに彩度を強調しつつも不自然さが少ない絵作りは、さすがに“IXY DIGITAL”の名を冠する製品と思わせる。

サンプルその3 アップ
サンプル3 マクロ撮影は広角側3cm、望遠側で30cmまで近接可能。通常撮影が45cmなので、特に望遠側を用いて背景をぼかしたいときなどは撮影距離とマクロのON/OFFの選択は微妙なものになる。プログラムオート、マクロモード、1/125秒、F5.8、ISO 80。

 高感度撮影に関しては、ここ最近のIXY/PowerShotシリーズと同様だ。ざらつきは増えるものの輝度のあるノイズを抑えることによってリサイズなどで比較的きれいに見えるようにするものだが、ISO 1600ともなればかなり画像が荒れてくる。画像処理エンジンの進歩(DIGIC III搭載)もあって、800 ISの最高感度であるISO 800で比較するとノイズ感は確実に減っているように感じるのだが、やはりISO 800~1600ではかなりざらついてくる。手持ちで撮らざるを得ない状況だとしても、できれば感度アップはISO 400程度に抑えておきたいところだ。ISO 1600の高感度モードは今期のIXY/PowerShotのラインナップの多くに追加されているが、光学式手ぶれ補正がある本機であればISO 400までに止めてもシャッター速度は1/10秒程度となり、広角であれば夜景を撮れることを考えればISO 1600もの高感度はあまり活躍の場がなさそうだ。もちろん意図的にシャッター速度を上げることで被写体(特に夜景ポートレートの人物など)の動きを防ぐという意味合いもあるだろうが、初心者がむやみに感度を上げてざらついた画像を撮ってしまうよりは、安定した画像が撮れる感度域(ISO 400程度まで)に抑えて使ったほうがいい。

サンプルその4 アップ
サンプル4 手ぶれ補正モードの「流し撮り」を使用してみた。上下方向のぶれのみを抑えるため、スポーツ写真などで重宝するだろう。プログラムオート、1/25秒、F4.5、ISO 100。

 コンパクト機でも光学式手ぶれ補正の有用さは言うまでもないことだが、やはりIXY DIGITALの携帯性さや小気味よい動作とあいまって非常に軽快に使える製品となっている。特にIXY初となる28mmからの広角ズームレンズの使い勝手もよく、普段からの持ち歩いてのスナップ、特に建物などを撮るには最適だ。

サンプルその5 アップ
サンプル5 光学式手ぶれ補正があれば1/5秒でも3段分、つまり1/40秒相当として使えるため、手ぶれなしでもなんとか撮影可能だ。手持ち撮影、プログラムオート、1/5秒、F2.8、ISO 400。
サンプルその5 アップ
サンプル6 VGAサイズにリサイズしても空にはざらつきが残るなど、やはりISO 1600ともなるとノイズ感はけっこう出てしまう。プログラムオート、1/25秒、F2.8、ISO 1600。

 単にコンパクトなだけではなく、画質や操作性、高級感のある外装などが高いレベルでバランス取れているのがIXYシリーズの魅力であるのだが、同様の高機能スタイリッシュデジタルカメラ製品も増えてきている。光学式手ぶれ補正(IS)レンズの先駆的メーカーながらコンパクト機では強いインパクトのある製品がなかった同社ではあるが、望遠機の「PowerShot S3 IS」、入門・普及型の「PowerShot A710 IS」と並んで、コンパクトスタイリッシュな本機の追加によって強力なISラインナップが揃ったと言えるだろう。

IXY DIGITAL 900 ISの主なスペック
製品名 IXY DIGITAL 900 IS
撮像素子 有効710万(総740万)画素、1/2.5インチCCD
レンズ 光学3.8倍ズーム、f=4.6~17.3mm(35mmフィルムカメラ換算時:28~105mm)、F2.8~5.8
静止画撮影 最高3072×2304ドット
ISO感度 オート/高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600相当
動画撮影 640×480ドット/30fps(MotionJPEG圧縮AVI形式)
液晶ディスプレー 2.5インチ低温ポリシリコンTFT(約20万7000画素)
記録メディア SDHC/SDメモリーカード/MMC(16MB付属)
インターフェース USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力
電源 リチウムイオン充電池(NB-5L)
撮影可能枚数 約270枚(CIPA準拠)
本体サイズ 89.5(W)×25.1(D)×58.0(H)mm
重さ 約150g(本体のみ)

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