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iVIS HV10

iVIS HV10

2006年09月05日 00時00分更新

文● 伊藤 裕也

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キーワードは“1920”!
新開発のフルHD対応CMOSセンサーを搭載

本体上面
CMOSのロゴが印象的なボディー上面。マイクはビューファインダーの付近に搭載されている。

 レンズは焦点距離が6.1~61mmの光学10倍ズームレンズで、35mmフィルムカメラ換算での焦点距離はHDビデオ撮影時で43.6-436mm。このレンズ内には手ぶれ補正のためのシフトレンズが組み込まれており(光学式手ぶれ補正)、イメージセンサーの能力をフルに発揮できるようになっている。HDビデオの魅力はなんといっても映像品質の高さであるだけに、コンシューマー向けのカムコーダーで一般的な“電子式手ぶれ補正”(取得した映像信号から、ぶれのある部分をトリミングすることによって手ぶれを打ち消すため、映像素子のスペックを生かし切れない)よりも、映像品質面で優れる“光学式手ぶれ補正”をサポートした点については大いに評価したい。

 レンズで集めた光を電気信号に変換するイメージセンサーには、キヤノンが新たに開発した総画素数296万画素の1/2.7インチCMOSセンサーを搭載。この新しいCMOSセンサーはEOSシリーズで培われたCMOSセンサーの開発技術をビデオ向けに応用したもので、1920×1080画素というフルHD解像度の読み出しが可能だ。ビデオフォーマットがHDVなので記録時には1440×1080ドットにダウンサンプリングされるものの、CMOSセンサー→イメージングプロセッサー間でのフルHDサポートによって映像処理に際しての精度向上が見込める。ちなみにキヤノンではHV10の製品説明で“1920”というフレーズを前面に押し出しているが、それこそがここに挙げたCMOSセンサーとイメージングプロセッサーにおける1920×1080ドット=フルHDサポートのことである。



背面 背面のインターフェース類
ボディー背面には電源スイッチを兼ねる動作モード切替スイッチをはじめ、撮影モードの切り替えスイッチや録画ボタンなど、各種ボタンやスイッチ類を集中配置している。なお、電源スイッチ右側にあるコントローラーは、メニュー操作やフォーカス操作などで使用する。背面のカバー部にはUSB端子や電源、静止画記録用のminiSDメモリカードスロットが隠されている。

 最終的に映像品質を決定するイメージングプロセッサーには「DIGIC DV II」が採用されている。プロユースを強く意識したキヤノンのレンズ交換式HDカムコーダー「XL H1」に搭載されたイメージングプロセッサーと同等で、プロ向けの技術がそのまま用いられているわけだ。

 また、HV10では前面のレンズ下にピント合わせをアシストするためのパッシブ式外測センサーを設けている。外測センサーは被写体までの距離を素早く計測できるため、カメラ部のTTL-AF機能(レンズを通過した光のコントラストで焦点位置を決定する機能)と組み合わせることにより、オートフォーカス時の合焦速度向上を期待できるようになる。実際の合焦速度は状況によって異なるものの、遠くの被写体からいきなり近くの被写体に向けた場合でも0.5秒程度で素早くフォーカスを合わせることが可能だ。こうしたシチュエーションはカメラが苦手とする状況で、外測センサーを用いない状態では徐々にピントが合っていくため“やや待たされる感”があるが、HV10ではカメラを振り向けた瞬間にほぼピントが合うので気持ちがいい。撮影中にハプニングが発生して急に被写体を変えたくなったといった場合でも、HV10ならAFに待たされることなく即対応できるわけだ。HV10は基本的にフルオートで撮影するカムコーダーであることから、これは大きなポイントといえる。

いろいろなシチュエーションに対応できる
豊富な撮影モード

撮影時の情報表示
撮影時の情報表示はこのとおり。フォーカスの動作モードや記録モード、テープの状態などを表示できるようになっている。

 HV10は搭載する撮影モードは“オート”と“プログラム”、および“シーン別撮影モード”の3モードで、シーン別のモードでは背景をぼかして人物を引き立たせる“ポートレート”、動きの速い被写体の撮影に最適な“スポーツ”など8モードを搭載する。HV10は先に記したようにフルオートでも十分撮影できるように設計されてはいるが、最初から撮りたい被写体やイメージするシーンが決まっている場合にはそれに合わせた設定を用いるのが望ましい。それだけに、シーン別AEモードの充実は初心者ユーザーにも頼もしい存在となる。またAEシフトは±11段階の23段階で、明るさに応じた細やかな調整が可能だ。

プログラムAEモードの選択
プログラムAEモードの選択はこのようなメニューから行なう。操作は電源スイッチ横のコントローラから素早く実行可能だ。

 ホワイトバランスは太陽光や日陰、曇天、電球、蛍光灯など8パターン+ユーザー設定という構成。最低被写体照度はスローシャッター使用(シャッタースピード1/30秒)時は5ルクスとなっている。

 フォーカスについては先に触れたオートのほかにマニュアル操作もサポートしてはいるが、メニュー設定を行なうための小さなスイッチで操作するため慣れが必要だ。学校の音楽会や演劇の発表会など、カムコーダーを三脚に固定して常に一定の距離から被写体を狙う場合には便利だが、撮影しながらフォーカスをマニュアル操作するのは困難だろう。被写体や自分(カメラ)が動く場合には、最初からオートフォーカスに任せることをお勧めする。

カムコーダーの設定メニュー
カムコーダーの設定メニュー。設定項目はアイコンにより分類する工夫がなされており、わかりやすい。

 このほか撮影を支援する機能として、70%・100%の“ゼブラ”表示(輝度飽和部分を縞模様で知らせる機能)に加えて、輪郭を強調する“ピーキング”、構図を決定する際に役立つ“グリッド表示”などがあり、充実した構成となっている。

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