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【bossa mac web】Apple Store そのデザインの進化。

2006年06月27日 00時00分更新

文● 林 信行、MacPeople編集部

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現在、Apple Storeの各店舗は、外観、内装、昇降機、ファニチャーといった4点において、歴史の中で確立してきた共通のスタイルを採用している。しかし、これらの要素をそのまま使うことなく、周囲の環境や店舗条件に合わせてうまくアレンジしているのがアップルの妙といえよう。

例えば、外観を見てみると、スタンダードなタイプは日本のApple Storeでもなじみ深いメタル板を積み重ねたデザインだが、街並みに統一感がある場所や、歴史的建造物を使う場合は元の建物を生かすことも多い。



内装では、前述のようにスタート時からシンメトリーを重視していた。店舗の正面中央に入り口を、左右に同じ幅のショーウィンドウを配置。店のシンボルであるガラスの階段は、入り口から見えるように店舗奥の中央に配置し、訪問客を上層階へと誘う。店内1階にあるテーブルなども、この階段を隠さないように注意深くレイアウトされている。

外観

なお、他国の店舗よりフロア面積の狭い東京・Ginza店では、例外的にガラスの階段ではなく、ガラス製エレベーターを採用しているが、こちらもやはり入り口から望めるように工夫されている。

さらにフロア面積が狭い大坂・Shinsaibashi店と東京・Shibuya店では、奥行きをとらないらせん構造のガラス階段を設置した。この階段の真下は、路上からも覗けるイベント用ステージとしても活用できる。

ガラスの階段はApple Store以外でも見かけるが、他店ではステップの底面がメタルで補強されている。これに対してApple Storeは、側面に固定用チタニウムを組み込む以外は、一切、金属類で補強していないため、透明度が高く上品な見た目となる。ちなみにこの階段は構造エンジニア、ジェームス・オキャラガン氏が手掛けた。



メタルの外装と石のタイル、ガラスの階段など、今日のMacを反映したクールなデザイン要素を使う一方で、店内に温かみを加えているのがメープル材で作られたテーブル、ベンチ、イス、商品棚、ジーニアスバーのカウンターといった特注品のファニチャーだ。

1階フロアに置かれる展示用テーブルも、一見、シンプルでありふれたデザインに見えるが、実は見栄えの悪いケーブルを隠すために天板にいくつかの穴を用意。テーブル裏の中央から床の電源にカールコードをつないで、まとめて電源を取っている。

2階中央のアクセサリー棚は、背を低くすることで店内全景を見渡しやすくする一方、上部に注目製品の展示スペースを設けている。この棚で注目したいのは、商品の大きさに合わせて上下に移動する仕切り板だ。板を側面から支えるのではなく、棚の奥、鉄板の裏側から支えることで、Macのような無駄な穴などが開いていないシームレスな外観を実現。それでいて強度も保たれている。



(写真上)東京・Ginza
スタンダードなメタル板のファサード(店構え)を採用している

(写真中央)名古屋・Sakae
2階建てのメタルファサードを採用。内部の照明はやや青っぽい

(写真下)ロンドン・Regent Street
1898年に建てられた建物の外観を生かした外装



(写真左上)ロンドン・Regent Street
ガラスとメタル、石で彩られたモダンな店内

(写真右上)東京・Shibuya
大阪・Shinsaibashiのらせん階段から進化し、支えが少なくなっている

(写真左中)東京・Shibuya
1階の両端にあるテーブルは、壁際にケーブル類を隠せる溝を用意

(写真右中)東京・shibuya
視界の妨げにならない壁際のソフト棚はアクセサリー棚より高い

(写真左下)ロンドン・Regent Street
長テーブル、壁面のモニター、丸椅子がジーニアスバーの共通要素

(写真右下)名古屋・Sakae
2階天井のLight Ceilingは、光源を隠してその反射光で人工の空を描く

*写真/大谷和利、(有)パシャ 篠原孝志、林 信行、ムラタユキ



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