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毎週150万人が来店する理由とは? 米担当者が語る、Apple Store接客の心得

2006年06月23日 18時42分更新

文● ITジャーナリスト 林 信行

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ケイノー氏
Apple Store Sapporoのイベントのプログラムを手にする、スティーブ・ケイノー氏

24日、米アップルコンピュータ社の直営店“Apple Store Sapporo”が北海道・札幌にオープンする。23日に開催されたプレス向け内覧会では、米アップルの直営店担当リージョナル・ディレクターのスティーブ・ケイノー氏によって、Apple Storeの最新状況が報告された。




2006会計年度の売り上げは30億ドルを予定

ケイノー氏によれば、全店舗の来店者数は、毎週150万人で、ホリデイシーズンには250万人を数えるという。Apple Storeの2006会計年度(2005年10月~2006年9月)の売上高は30億ドル(1ドル115円換算で3450億円)にのぼる見込みだ。

「店舗の1平方フィート(約929平方cm2)あたり4000ドルを稼いでいる計算になり、これは他業種の小売店ビジネスを上回っている」とケイノー氏はコメントした。ちなみにApple Storeの床に敷き詰められた“ピエトル・セルナ”という石材のタイル1枚が、約1平方メートルに相当するとのこと。

売上高
アップルの会計資料を元に、部門別に売上高をグラフ化した。Apple Storeは緑色のリテール部門に含まれており、2005会計年度で23.5億ドル、2006会計年度の第1/第2四半期で17.08億ドルとなる。参考までに国内の大手量販店の売上高は、(株)ヤマダ電機が1兆2839億61(2006年3月期)、(株)ヨドバシカメラが5808億円(2005年3月期)だ

集客力を高める“毎日イベント”という仕掛け

店のパフォーマンスについて語る一方で、ケイノー氏は「売り上げだけがすべてではない」ことも強調する。全世界のApple Storeのジーニアスバーには、毎四半期(3カ月ごと)に約100万人が訪れ、製品に関する相談や修理のサービスを受けているという。

また全世界のApple Storeでは毎月約30日、つまりほぼ毎日、何かしらのイベントを開催しており、それを見にやってくる人も多い。特に有名バンドを呼んでライブをしたり、地元の大学などと組んで行うアカデミックナイトといったスペシャルイベントは人気が高い。

「顧客は製品購入目的がなくても、“ただほかの人と顔を合わせるためだけに”同店にやってくる」とケイノー氏は語る。人通りの多い場所で、楽しいイベントを企画して人を集め、コミュニティーの輪を広げていく。これがApple Storeのビジネスの成功の最大の秘密だ。

ライブ 対談
各店舗ではアーティストを招き、精力的にイベントが開催されている。左は2005年8月に開催されたSketch Show、Towa Tei氏、小山田圭吾氏によるスペシャルライブ。2006年5月にApple Store Ginzaで開催された脳科学者の茂木健一郎氏とシンガーソングライターの松任谷由実さんの対談

「何から何まで」が示すサポートへの自信

サポートもApple Storeの大きな売りのひとつだ。ケイノー氏は「製品の購入から、購入後の故障や技術面まで、何から何までサポートする。例えば修理にしても、ほとんどの場合はその日のうちに済んでしまう。こうした店舗とコンピュータがあることは、会社経営者にとっても心強いはず」と強調。実際、Apple Storeの売り上げの20%は中小規模の事業者だという。

Apple Storeではサポート時に特別優遇措置を受けられる“ProCare”という有料会員サービス(年間9800円)も提供している。会員特典にはプライベートレッスンや最優先のサービス、優先的な予約や年に1度のチューンアップといったものが含まれる。

こうした充実したサポートを提供していることを、今後もっと強くアピールするために、Apple Store Sapporoのレジの後ろには「何から何まで、私たちがサポートします。」という新しい標語が掲げられた。この標語は明日には、全国の他の店舗にも掲げられるという。

“ProCare”のスライド。「Apple Storeがあれば、ビジネスユーザーは安心してマシンを任せられる」とケイノーは語る


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