『HDR-HC3』にはシルバーとブラックの2モデルが用意される。このような色違いのモデルは、通常であれば色が異なるだけだが、HDR-HC3の場合はシルバーモデルでは全面にUV加工、ブラックモデルではレザートーン塗装による表面処理がなされている。カラーによって表面処理が異なるというのはなかなか面白い仕掛けだ |
21日に発表されたソニー(株)の“ハイビジョンハンディカム”『HDR-HC3』は、miniDVカセットに1080iで映像を記録できる身近なHDカムコーダとして昨年大きな話題となった『HDR-HC1』(2005年5月発表)の後継モデル。カメラ部は光学10倍のズームレンズに1/3インチのクリアビッドCMOSセンサーからなる構成で、VTR部はminiDVカセットに1080iの映像を記録できるHDVフォーマットをサポートしている。このHDR-HC3では、さらなる小型化・軽量化が図られたほか、新しいイメージセンサーの採用による高密度化・高感度化など、使い勝手と性能の面で大きな進化を遂げている。
そこで本稿では、21日に都内で開催された製品説明会で使用されたデモンストレーションモデルのファーストインプレッションを、写真でレポートする。製品の詳細スペックについてはニュース記事が詳しいので、併せてご覧いただきたい。なお、映像品質については近日中にレビューを行なう予定なのでしばらくお待ちいただきたい。
本当にハイビジョン対応!? と疑うほどの驚愕の小ささ!!
HDR-HC1 | HDR-FX1 | |
参考までに、従来のHDV対応カムコーダーの写真を再掲してみた。HDR-HC1(左)のサイズは幅71×奥行き188×高さ94mmで、付属バッテリーパック(NP-FM50)使用時の重量は約780g。HDR-FX1は幅151×奥行き365×高さ181mmで、重量は約2kg |
奥のHDR-HC1と手前のHDR-HC3を並べて見ると、その大きさの違いは一目瞭然。重量も、手にしただけでその違いがわかるほどである。サイズと重量に関していえば、HDR-HC3を触ったらHDR-HC1には戻れないかもしれない |
編集部スタッフがHDR-HC3を手にしたところ。このスタッフは身長155cm弱と比較的小柄だが、このような女性でもHDR-HC3であればこのとおりラクに扱うことができる |
液晶ディスプレーを開いたところ。このディスプレーは21万画素の2.7インチワイド液晶パネルを採用。従来比で約1.6倍という高いコントラストが売りで、まぶしい場所でもハッキリと映像を確認できるという。なお、このデモンストレーション会場は天井から強力なライトによる光が差し込んでいたが、その状況下でもきちんと使用できたことをお伝えしておく |
2006年度、HD対応カムコーダーの市場規模は約3倍に!?
ソニーマーケティング モバイルネットワークプロダクツマーケティング部統括部長 畑井尚也氏 |
製品説明会では、ソニーマーケティング(株)モバイルネットワークプロダクツマーケティング部統括部長の畑井尚也氏によって、ソニーが予測する2006年度(2006年4月~2007年3月)のカムコーダの出荷台数や金額などが明らかにされた(図1)。畑井氏は、2006年度はカムコーダーの出荷台数は減少するものの、ハイビジョン品質での録画に対応するモデルやHDDに記録できるモデルなど付加価値の高い製品の存在により出荷金額は維持されるとしている。
畑井氏は合わせて、ビデオフォーマット別の出荷構成比の推移と2006年度の予測を紹介(図2)。2年前はminiDVカセットに映像を記録するDVフォーマットが80%以上だったが、2005年度には50%程度になっている。DVDやHDDなど扱いやすいメディアにDVフォーマットと同程度の映像品質で記録できるカムコーダが登場している以上、ソニーの予想にあるとおりDVの衰退は時間の問題といえるだろう。それも気になるところだが、この推移表で特に注目したいのは2005年度のグラフにあるHD(ハイビジョン)の7%。一般ユーザー向けのHD対応カムコーダーといえば、現時点では事実上ソニーのHDR-HC1しかない状態であり、この数字は特筆すべきものがある。2006年度は出力装置であるテレビのHDサポートなどがさらに進むことを考えれば、その数字の増加も大いにありうるだろう。ソニーは、同社のHD対応カムコーダーで、カムコーダー市場全体の15%を獲得することを目標としている。
【図1】国内におけるカムコーダの出荷台数と金額の推移 |
【図2】ビデオフォーマット別の出荷構成比の推移 |