シャープ(株)は24日、企業向けのカラーデジタル複合機4シリーズ12モデルを発表した。
筺体はMX-4500とMX-3500系(左)とMX-2700とMX-2300系(右)の2種類がある。MX-2700/2300はホッチキス止めやパンチ穴開け用のフィニッシャーを原稿トレイに積み重ねて収納でき、設置面積も小さい |
同社が今年3月に開催したドキュメントシステムの事業説明会で予告した“カラールネッサンス構想”に基づく製品で、ビジネス機器に求められる生産性向上に加えて、“ECOLOGY”(エコロジー)、“SOLUTION”(ソリューション)、“REVOLUTION”(レボリューション)の3つを1語にまとめた“ECOLUTION”(エコリューション)がキーワードに掲げられている。
ベースモデルとしては、企業向け中速機として同社が市場投入してきた“AR-C262/C172”シリーズの後継となる“MX-2700”と“MX-2300”シリーズ。その上位に位置づけられる“MX-4500”と“MX-3500”シリーズがあり、これにネットワーク機能やファクス機能といったオプションの有無で合計12モデルが用意される。
発売はMX-2300/2700シリーズが11月28日。MX-3500/4500シリーズが2006年1月20日。価格はローエンドの『MX-2300G』が111万3000円。ハイエンドの『MX-4501FN』が221万5500円。
シャープ常務取締役ドキュメントシステム事業本部長の井淵良明氏 |
発表会にはシャープ常務取締役ドキュメントシステム事業本部長の井淵良明(いぶち よしあき)氏が出席。「2007年度には世界市場でカラー化比率を金額ベースで5割を超えるところにまで持っていきたい」と述べたほか、「カラー複合機市場では悲願の国内3位グループに入ること」を目標として掲げた。今回の新製品は国内で先行発売されるが、国内発表後1ヵ月以内に海外市場にも投入される見込み。国内外の比率としては金額ウェイトで国内3割、海外7割程度を考えているという。
新開発トナーでエコにも配慮
新製品では、トナーの材料や定着システムなどの改良によって、画質は維持したままトナー使用量を約30%低減できる“ミクロトナー”と呼ばれる新開発トナーを採用。トナーに使用される樹脂素材を減らすなど“環境への優しさ”を前面に押し出している。また、カートリッジも小型となり、梱包容積を80%削減できた。これにより本体の小型化に加え、予備のカートリッジの設置場所も省スペース化できるという。
新開発のミクロトナー。画質を維持したまま、約3割トナーの使用量を減らせるという |
環境への配慮という観点では、ファクス待機時(コピーなどを使用しない状態)の消費電力を1W以下(最大96%低減)に抑え、夜間などの光熱費削減が可能なほか、シリーズ全体の部品共通化を進め、金型部品点数を従来比で約51%に低減。省資源化も実現したという。
一方で、セキュリティー機能やシステムの拡張性も重視している。セキュリティー機能では機密文書などのプリントアウトに不正コピーを防ぐコードを埋め込む機能を搭載した。このコードを埋め込んだ原稿を再度コピーしようとしてもできず、白紙の状態で出力される。
一見普通のカラープリントに見えるが、コピー防止用コードが埋め込まれており、孫コピーが行なえないようになっている |
また、“SOAP”(Simple Object Access Protocol)をベースとしたアプリケーション連携システム“Sharp OSA(Open Systems Architecture)”のAPIを公開し、ソリューション提案も積極的に行なっていくという。SOAPはXMLやTCP/IPといった標準技術を利用した他のコンピューターにあるデータやサービスを呼び出すためのプロトコル。シャープの話では、Sharp OSAに対応したソリューションの開発はすでに10社のシステムインテグレーターが取り組んでいるという。会場では、コピーした英語の文書をネットワーク上のパソコンで日本語に翻訳して出力するデモや、複合機のメニュー上で自分の名前をタッチパネルでプッシュするだけでスキャンした原稿データを自分の共有フォルダーに保存できるデモなどが行なわれた。シャープでは近く.net対応のSDKを配布するという。
Sharp OSAのデモ。読み込んだ英文の原稿をOCRでテキスト化し、それを日本語に翻訳、再レイアウトして日本語の文書として出力する |
低消費電力化を進め、最も電力消費が少ないファクス待機モードでは1W以下の消費電力となった |