[編集部]
今回、学校のコンピューターをMacintoshにすることになったきっかけは?
[小杉]
ネットにからんで子供たちがいろいろな事件にまきこまれている現状です。学校のなかでどのように指導していったらいいのかという教育委員会側の不安もあったと思いますし、われわれも地域の情報化を進めるなかと悩んでいたところで問題意識が共通しました。今回、たまたま中学校のコンピューターが更新するというタイミングを受けて、この時期を逃したら何もできなくなるんじゃないかと思ったものですから、新しい環境づくりを(教育委員会と)一緒に考えたということです。
[編集部]
中学校の機器の更新は何年ごとなんでしょうか?
[小杉]
4年に1回くらいのサイクルですね
[編集部]
都心ではなく北海道の深川市のような地域がはじめられたとういうのは何故なんですか?
[小杉]
たまたま市長がITにものすごく興味があって、とにかく推進しろと。田舎だからITの有効性が発揮できるのではないかという考え方かがあったんです。それがテコになりました。
[編集部]
深川市と(有)ラプトとのかかわりは?
[小賀]
実は私が広報誌の編集担当になった時に、デジタル編集をやりたいと市長お願いして許可をもらいまして機器を揃えたときに、サポートに小賀さん来ていただいて、それからのつきあいですね。私どもの市は田舎なので、地元にIT企業がないんですよ。ですから、小賀さんになんとか地域活動に参加してもらおうと思いまして、ひっぱりだしてですね……(笑)。今では地元に営業所を出していただいています。
[編集部]
ラプトの主な業務というのは
[小杉]
本社は札幌にあり、マルチメディアコンテンツ制作をやっております。コンテンツを作るだけでなく、それを観るためのシステムを構築したり、最近は学校へのNetBootも含めたネットワーク構築を全部やるという感じです。3名が深川市のヘルプデスクにはりついています。3名とも深川市の住民の方です。
[編集部]
自治体というと予算との関係で厳しいものがあるのではないかと思うのですが、それについては?
[小杉]
教育委員会とコンピューターの更新の話をした時には、すでに予算が組まれてました。その予算はウィンドウズの環境で設計された予算でした。その予算の範囲内で何ができるのかという話をしていくなかで、NetBootという方法もあり、費用的には収まるかもしれないということを聞きました。そこからいっきに話をつめていって、結果的には当初の予算の範囲内に収めることができました。NetBoot環境ももちろんですし、当初の計画になかった職員室のLAN環境整備もできました。教育委員会にとっては予算の範囲内で思った以上のことができたので喜んでますね。
[編集部]
コスト削減というよりも範囲内以上のことができたと?
[小杉]
そうですね。また、これまで教育委員会はスポットで機器の修理を依頼していました。それがわれわれの常駐体制のなかに組み込むことができましたので、トータルで考えればコストメリットがぐっと上がったということができます。
[編集部]
NetBootのポイントは?
[小賀]
極端な話、最近シンクライアントシステムということで一般企業でもかなり注目されていて、今後出回るパソコンの15%くらいはHDDをもたない形になるのではないかといわれています。それと同じ形なんです。生徒は使うパソコンにHDDがなくても、ネットワーク上のサーバーからOSを起動して動かすことができます。アプリケーションも使いたいボタンをクリックするとサーバーからひぱってきて動かすことができる、そういうものなんですね。ですから管理する側としてはサーバーをちゃんと管理しておけば、そこにぶらさがっているクライアントに不具合が生じても、別の機器をもってきてつなぐだけ。
[編集部]
実際の利用シーンとしては?
[小賀]
学校に誰もいなくなった時にリモートでシャットダウンしたり、アプリケーションの更新も、マルチメディアセンターから一括してできます。
[編集部]
今後の課題は何ですか?
[小賀]
先生たちに求められていることは道具を使うことではなく、いい授業をすることなんですよ。いい授業をするためにパソコンを利用していただきたいという思いがあります。そのなかで、切れ味がいい道具は何なのかという、その選択すら今までされていなかったわけですから……。具体的に言うと
WindowsとMacintoshというOSが存在しても、それを比べることすらしなかた。教師のなかには比較している人もいましたが、教育委員会は残念ながらしていなかった。そのなかで、今回たまたま切れ味のいい道具を入れることができたわけです。今度はどんな料理をしていくかが課題になっていきます。
[小杉]
今回は中学校を対象にしましたが、小学校を対象にした動きもでてくると思います。その時に小学校もMacintoshにするのか? という話がでてくると思います。Macintoshにして管理が容易になり、行政としてはそうあってほしいと思いますが、一方でMacintoshだけということは、Windowsだけと変わらなくなってしまう。ここらへんをどのように考えればいいのか、他の動きもみながら勉強していきたいと思います。