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【特別企画】アプリケーションサーバで変わるWebサービス(第2回)~IBMのWebSphere製品群~

2003年11月10日 00時00分更新

文● 小橋 一(日本IBM株式会社証券システム部)

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WebSphere Business IntegrationとWebSphere MQ

 WebSphere Business IntegrationとWebSphere MQは異なるシステム間接続を行うことを実現する。異なるシステムを接続することで、複数のシステムが1つのシステムとして振るまうことができる。仮に、ショッピングサイトでクレジットカードやネットデビットを利用する場合、カード会社のシステムや銀行のシステムと接続されて、即時決済されることが望ましい。ショッピングサイトの側からは、メーカーや問屋のシステムと接続し、在庫と消費動向を踏まえて発注、もしくは生産依頼できればビジネスチャンスを逃すことはない。またオンライントレーディングを行う場合、銀行の口座から取引に必要な資金を証券の口座に移して即トレーディングできなければ、大きなチャンスを失うことにもなりかねない。トレーディングシステムを提供する側は、大切な顧客を逃さないために、入出金や決済は即時に実現することが理想といえる。
 製品としては、一対一の接続を行うMQ、複数接続をとりまとめるMQ Integrator、主な接続先へ固有の対応を行ったBusiness Integration Adapter、MQの機能をより小さなモバイル端末で利用するためのMQSeries Every place、ワークフローモデルを構築するためのMQ Work flowがある。

WebSphere Commerceの製品構成
WebSphere Voiceの相関関係
■MQの接続

 MQの接続においては、内部にキューマネージャと呼ばれるものがあり、キューマネージャ間でメッセージ転送を保証している(図5)。この間は非同期通信となっており、異なるシステムの稼動時間の相違や、システムダウン発生時においてもメッセージを溜めることができる。MQはVer5.2まで単独の製品であったが、Ver5.3からWebSphereのブランドが冠され、統合ミドルウェアのコアとして位置付けられている。

MQの接続模式図
■MQ Integratorの接続

 接続先の種類やプロトコルが異なる場合でも、メッセージのやり取りを行う際の変換作業を集中して行う。メッセージハブとも呼ばれ、交通機関のターミナルや宅配業者の集配所がイメージとして近い(図6)。メッセージの送信先を指定することで、受信先に必要なフォーマットへの変換を行う。接続するシステムの数が多ければ多いほど、個別に対応する手間が省けるため効率が良いソリューションとなる。

MQ Integratorの接続
■Business Integration Adapterの種類

 Business Integration Adapterは、ワールドワイドの各ベンダーのアプリケーションサーバ、ERPパッケージ、CRMパッケージ、SCMパッケージ、共通なアプリケーションプロトコルの主だったものが提供されており、MQ Integratorの接続先ごとに対応することができる(表4)。以前はCrossWorlds Connectorという名前のアダプタ製品群だったが、Business Integration Adapterと名前を変え、対応システムの数も増えてきている。これ以外のシステムへの接続を行うためのSDKフレームワークも用意されている。

【表4】Business integration Adapterの種類
グループ 接続アダプタ名
アプリケーション AribaBuyer、BroadVision、ClarifyCRM、i2、i2 Active DataWareHouse、Lotus Domino、Manugistics、MetaSolv Applications、Nightfire Applications、Oracle Applications、PeopleSoft、Portal Infranet、SAP R/3、Siebel、Sprient Applications、Telecordia Applications、Trilogy、Vantive
テクノロジー CORBA、EDI、e-Mail、eMatrix、FIX、iSoft、JDBC、JMS、JText、Mainframe Connectivity Suite、Retek、SWIFT、Trading Partner Interchange、Web Services、WebSphere Commerce、WebSphere MQ、WebSphere MQ Integrator、WebSphere MQ Workflow、XML
ミドルウェア CICS、IMS DatabaseManager、IMS Transaction Manager、VSAM、DB2、Oracle DB、ADABAS

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