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米Click2learn会長兼CEOケビン・オークス氏に聞く、“eラーニング”米国の現状と日米の違い

2003年08月19日 18時04分更新

文● ライター 遠竹智寿子

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日米におけるeラーニングの違い

[遠竹] 現時点で、日米の間にeラーニングに対する見解の違いが見られますか?
[オークス氏] 導入数や、これからの期待値という点でまず大きな差があります。日本におけるeラーニングは、まだ幼児期と言えるでしょう。米国内の多くの企業では、eラーニングのための専属シニアマネージャーが存在し、企業における重要なポジションと認識されています。
[遠竹] それはeラーニングというより、社員教育の意識に遅れがあるということですか? eラーニングによる社員教育の必要性を、どのように伝えたいと考えていますか?
[オークス氏] 我々は、eラーニングを通じての利益を伝えるユーザー事例をたくさん持っています。中でもコスト面の効果は、日本企業においても重要視されると信じています。そういった事例を紹介しながら、日本国内でも導入事例を増やしていきたいと思います。
米国ではクリティカルテクノロジー分野において、CRMやBtoBを抜いてeラーニングに対する関心が高いという調査結果がでています。顧客開拓には、企業のeラーニングに対する認知度を上げていかなければいけませんが、今後2年程度で日本でも認知されてくるはずです。
[遠竹] 日本人は集合研修に慣れているのと、企業の多くは都市部に集中しているため、米国のような地理的な問題からのeラーニングの必要性が感じられないという気もします。この点についてはどうお考えですか?
[オークス氏] そうですね、まず集合研修については、その形態が全てなくなるとは思っていません。ただ、私も以前講義をしていたので解かるのですが、集合研修型では、どの程度の理解が得られたかが見えてきません。
これに対してeラーニングでは、各個人のスキルが一定のレベルまで達したことを容易に確かめることができます。また仕事現場に戻ってからも、インストラクターや生徒同士で質問を交わすなど、さらにそのスキルをさらに高めていくことができます。集合研修とeラーニングを組み合わせることで、効果的な学習方法が得られると思っています。
また、セクシャルハラスメントなどの心配をしなくてよい、あるいはおしゃべりに悩まされることがない、といったeラーニングならではの利益もあります。その意味で、都市部に企業が集中していようがいまいが、eラーニングは必要なものとなってくるでしょう。

C2Lの対日本戦略

[遠竹] 日本市場における戦略を、どのようにお考えですか?
[亀井氏] 日本法人の発足は3年目になりました。去年までは準備期間だったと言っていいでしょう。去年は米国の開発チームと一緒に動いて製品作りを行なってきましたが、今年は製品を売ることに注力します。ただ、金額というよりは実績(導入件数)を着実に伸ばしていきたいと思っています。米国では直販形態を取っていますが、日本は、パートナー(SIer)に成長いただきながらのチャネル販売を行なっていきます。
[オークス氏] 成功を納めたベンダーが、その初期おいて直販を試みるのは、新しい技術に対して知識のあるパートナーがまだ存在していないからです。日本市場では、われわれと一緒にやっていけるパートナー企業がすでに存在していますので、彼らと連携した方が効果的であると考えています。
[遠竹] 競合企業について、どうお考えですか?
[オークス氏] そうですね、米ドーセント(Docent)社、米サバ・ソフトウェア(Saba Software)社がよく競合として挙げられます。しかしAspenは、スイート製品として従来は別々のベンダーが提供していた、LMS(Learning Management System:受講管理)、LCMS(Learning Contents Management System:教材管理)、Virtual Classroom(ライブ型eラーニング)の機能を一つにした統合パッケージです。競合他社の製品はスイート製品ではなく、例えばVirtual Classroomの機能を求めるユーザーは、我々の製品を評価し必要とするはずです。
[亀井氏] (会場を見まわして)日本では少し状況が異なり、競合はありすぎるくらいです(笑)。ただこの数年で、最新技術に追いつけないところは大分脱落してきたようですね。

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