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SKディスプレイ、フルカラー有機ELディスプレーの商用出荷を開始――アクティブマトリクス型では世界初!!

2003年03月03日 18時06分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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三洋電機(株)と米イーストマン・コダック(Eastman Kodak)社、および両社の合弁会社で有機ELディスプレーの生産を行なう(株)エスケイ・ディスプレイは3日、都内で記者会見を行ない、フルカラー有機ELディスプレーの商用出荷を開始したと発表した。アクティブマトリクス型では世界初という。

有機ELパネル
展示された有機ELパネルのサンプル品。一番奥にあるバックライト付きのTFT液晶パネルと比べると、厚みや視野角に格段の違いがある

今回出荷開始されるのは、デジタルカメラやDVカムコーダーなどに利用される2.16インチサイズの有機ELディスプレーで、低分子EL材料を用いて、カラーフィルターを使わずRGB3色の発光層を実装している。解像度は521×218ドット、発光効率はR 3.0cd/A、G&B 6.0cd/A、消費電力は270~300mW。価格は公表していないが、当面は現在出荷されているTFT液晶ディスプレーの1.5倍程度になるだろう、と説明している。

三洋とコダックの協業の内訳は、有機ELをコントロールする基板を三洋電機(鳥取三洋電機(株))が低温ポリシリコンTFTで製造し、RGBの有機EL材料と成膜技術をコダックが提供しているという。

堀 義和氏 米田 清氏 伊藤昌弘氏
コダック(株)の代表取締役社長の堀 義和氏三洋電機 セミコンダクターカンパニー ディスプレイデバイス事業部 事業部長の米田 清氏コダックのディスプレイプロダクツ事業部ディレクターの伊藤昌弘氏。左手に掲げているのが有機ELディスプレー採用の『LS633』

会見には、コダック(株)の代表取締役社長の堀 義和氏、同じくディスプレイプロダクツ事業部ディレクターの伊藤昌弘氏、三洋電機 セミコンダクターカンパニー社長の田中忠彦氏、セミコンダクターカンパニー ディスプレイデバイス事業部 事業部長の米田 清氏が列席して、今後の展開などを明かした。

有機EL 白色有機EL ロードマップ
出荷開始したRGB3色の有機EL材料を使った場合の色度と発光効率白色有機EL材料を使った場合の色度と発光効率。右のRGB3色の材料を使った場合に比べて、改善の余地があるとのこと有機ELディスプレーのロードマップ

堀氏は現在米国で開催されているカメラ・映像関連製品の展示会“PMA 2003”(Photo Marketing Association International)に出展した米コダックの新型デジタルカメラ『LS633』を手にして、「このデジタルカメラには有機ELディスプレーを採用している。約180度という視野角の広さと約10μ秒という応答速度の速さから、ハイ/ローアングルなどで自在に構えるコンパクトデジタルカメラのディスプレーに向いたデバイスだ」と有機ELディスプレーのメリットを強調した。なお、LS633はまず欧州で春ころの販売が予定されており、日本での発売予定は現時点で未定という。

続いて米田氏が今後のロードマップについて、「白色有機EL材料とカラーフィルターによるフルカラー表示の採用、15インチサイズクラスへの大型化、携帯電話に用いるための高精細化が当面の目標」と紹介した。白色有機ELとカラーフィルターによるフルカラー表示のメリットを、「RGB3色の有機EL材料をTFT基板に塗布する場合、金属のマスクが必要となり、製造プロセスが複雑化する。白色有機ELでは、全体に均一に塗布する1工程で済むため生産効率が上がるが、カラーフィルターを透過するため光の減衰が生じる。これをいかに最小限にするかが目下の課題」と説明。高精細化の目標については、「現在の約130ppi(ピクセル/インチ)をまず200ppi(QVGA表示の携帯電話向け)に、将来的には300ppi以上にしたい」、と述べた。

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