液晶モニタならではの
画質調整の勘所
アナログ接続はまず
フェーズとクロックを調整
液晶モニタを接続する際には、最初に「フェーズ」と「クロック」を調整しなければならない。これが、CRTとは大きく違う点だ。フェーズがズレていると画面にチラつきやにじみが生じ、クロックのズレは画面に縦縞となって現れる。
たいていのモニタは、これらをワンタッチで自動調整する「AUTOボタン」を設けており、煩わしい手動調節をしなくても済むよう配慮されている。ただ、自動調整機能があまり賢くない機種では、単にAUTOボタンを押しただけでは、ドットのにじみが解消されないこともある。
その場合には、製品に付属している画質調整用のカラーパターンを画面に表示させ、改めてAUTOボタンで自動調整させれば、ほとんどの場合うまくいく。自動調整機能に、調整基準を教えてやるわけだ。もし製品に付属していない場合は、いくつかのモニタメーカーが自社のWebサイトで配布しているカラーパターンを入手しておこう。ここでは一例として、イーヤマ販売のWebサイト(http://www.jes-i.co.jp/iiyama_s/test.bmp)を挙げておく。なお、デジタル接続なら、この調整は必要ない。
CRTに慣れた人ほど
画質調整には注意!
次に、自動調整による明るさや画面のメリハリ(コントラスト)が不十分なら、手動でこれらを調整する。ただ、機種によっては自動調整機能で階調表現も含めて最適化される場合があるので、明確におかしい場合を除いて、無闇なパラメータ変更は避けるべきだ。特に「R」「G」「B」の比率を変更すると、パネルの発色に偏りが出てしまい、階調表現が著しく低下することがあるので要注意だ。
コントラストの調整は見慣れた画像を使ってもいいが、階調の表現状態を客観的に把握するには、カラーパターンを使うのが一般的だ(写真1、2)。手動で調節する際には、特に次の点に注意したい。CRTモニタでは、これまで、コントラストを下げると色味が浅くなり、ブライトネスを下げると輝度が低下するといったように、各社の製品におけるパラメータの意味が統一されていた。しかし、液晶モニタでは、機種によってその内容が異なることがある。
まず、輝度の調整だが、バックライト自身の輝度を調整するタイプと、液晶パネルの透過率をコントロールするタイプの両方の製品がある。さらに、ブライトネスで透過率を調整するものの中には、「バックライト」という項目を別途設け、こちらでバックライトの輝度を調節できることもある。
このように、意図したとおりにパラメータが反映されないことがあるので、液晶モニタの色調整はプロでも難しい。厳密な色再現性を望むなら、素直にsRGB対応機を購入するのが手っ取り早い。
液晶モニタの色温度調整は
目安程度に考えよう
以上は基本的な液晶の動作原理だが、このほかにも、各メーカーが表面処理や素材の工夫などの技術によってしのぎを削っている。例えば、シャープ製品の一部に採用されている「低反射ブラックTFT」は、その代表例だ。表面処理を工夫するなどして、位相が1/2ズレた波長の光を反射させ、互いに打ち消し合わせる。これにより、従来のアンチグレアコート方式では約5%だった反射率を、約1.5%(いずれも同社比)にまで低減させ、外光の反射によるコントラストの低下を極限にまで抑えることに成功している。
コラム5
色温度の調整は厳密でない機種が多い
写真C なかには色温度設定の項目自体がないものも存在する。気になるなら購入前に店頭で確認しておこう。 |
色温度の設定は曖昧な場合が多い。色温度の項目は目安程度に考えておくのが無難だ。ただ、sRGB対応機については少々事情が違う。OSDの色温度表示が不明確な機種であっても、sRGBモード時の色温度は、必ず6500Kになるように決められているためだ。
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