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日本緊急通報サービス、auのGPS携帯電話を使った緊急時位置通報サービスを発表

2002年05月09日 23時16分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)日本緊急通報サービスは9日、都内で記者発表会を開催し、KDDI(株)と共同開発した、“au”のGPS付き携帯電話を使った緊急時の位置通報サービス“HELPNETケータイ”を、6月7日に全国一斉に開始すると発表した。auのGPS機能付き携帯電話の全機種で利用可能で、料金は月額315円から。

“HELPNETケータイ”サービスのロゴ
“HELPNETケータイ”サービスのロゴ

日本緊急通報サービスは、自動車メーカー、電機メーカー、車載機メーカー、電気通信事業者をはじめとした44社が出資して、1999年9月に設立した企業。警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省の5つの政府機関が1996年に策定した“高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想”に関連し、交通事故発生から各公共機関への通報時間を短縮するため、事故現場の正確な位置を把握するためのシステムの開発と提供を行なっている。

日本緊急通報サービス代表取締役社長の長倉眞一氏
日本緊急通報サービス代表取締役社長の長倉眞一氏

同社は2000年9月に、自動車専用の緊急時の位置通報サービス“HELPNETサービス”を開始している。HELPNETサービスは、GPSによる位置情報取得機能と携帯/自動車電話を使った通信機能を持った専用の車載機器を使用し、事故の際のエアバッグ作動やユーザーが通報ボタンを押すことによって、事故の発生を“HELPNETオペレーションセンター”に知らせ、センターが事故の位置や状況に応じて警察や消防などに救援・出動を要請するというサービス。利用料金は月額315円、車両事故を想定したレッカー牽引サービスなどを含めた場合は525円となっている。

KDDI(株)執行役員常務ソリューション事業本部長の伊藤泰彦氏 KDDI(株)執行役員常務ソリューション事業本部長の伊藤泰彦氏

auのGPSケータイ全機種で利用可能

従来のHELPNETサービスは、交通事故を想定したサービスだが、今回発表した“HELPNETケータイ”では、専用ではないGPS機能付き携帯電話を使ったシステムで、事故や急病、事件に遭遇した場合など、生活する上でのあらゆる緊急事態の発生に対応するとしている。HELPNETケータイは日本緊急通報サービスとKDDIが共同開発したもので、auのGPS機能付き携帯電話(GPSケータイ)全機種(※1)で利用できる。HELPNETケータイは、auの携帯電話インターネットサービス“EZweb”を通じてサービスの申し込みができ、課金もauの通話料金とともにKDDIが徴収する。

※1 5月9日現在で『A3011SA』『A3012CA』『A3013T』『C5001T』『C3001H』『C3002K』『C3003P』の7機種。

HELPNETケータイのサービスの流れ
HELPNETケータイのサービスの流れ
HELPNETケータイのシステム概要。システムの構築はKDDIが行なっている
HELPNETケータイのシステム概要。システムの構築はKDDIが行なっている

通報の際は、まずGPSケータイに付いている“EZボタン”を長押し(約3秒)するとHELPNETの動作画面となり、もう1回押すとauの携帯電話が持つ位置情報データを取得する。さらにもう1回ボタンを押すことによってHELPNETセンターへ位置情報データを送信するとともにオペレーターとの通話が始まり、ユーザーが状況を知らせる仕組み。HELPNETセンターのオペレーターは状況に応じて、急病なら119番通報、事故なら110番通報、海上でのトラブルであれば118番通報(海上保安庁)などへ、ユーザーに代わって関係機関に出動要請したり、夜間や休日に開いている最寄りの医療機関を紹介したりする。車両事故を想定したオプションの“ロードサービス”を利用した場合、レッカー車などの手配も行なう。HELPNETケータイでの緊急通報時に、オペレーターと話ができないような状況の際は、オペレーターが電話機を通じて聞こえてくる周囲の音声から状況を判断して、適切な処理を行なうとしている。

HELPNETケータイのHELPNETセンターでオペレーターが使用しているソフトのインターフェース
HELPNETケータイのHELPNETセンターでオペレーターが使用しているソフトのインターフェース
auが現在発売しているGPSケータイ
auが現在発売しているGPSケータイ。全機種でHELPNETケータイサービスが利用できる

通報はユーザーが自分で関係機関に直接電話しても可能な訳であるが、日本緊急通報サービスによると、こうした通報で最も手間取るのは現場の位置を性格に把握することであり、この部分をGPSケータイの情報を利用することによって、緊急事態の発生から現場への到着までの時間短縮が可能としている。同社の示したデータによると、車での事故の場合、事故発生から現場に警察・消防が到着するまでおよそ15分かかるとされるが、HELPNETサービス(車用)では通報ボタンを押してから到着まで8~9分で、6~7分の短縮が可能としており、HELPNETケータイにおいても同等の時間短縮が期待できるという。

日本緊急通報サービスの代表取締役常務の大湊彰二氏日本緊急通報サービスの代表取締役常務の大湊彰二氏

HELPNETケータイについて説明した日本緊急通報サービスの代表取締役常務の大湊彰二氏によると、現在のHELPNETサービス(車用)の利用者は、機器が専用で高価(カーナビと一体となったシステムでは約30万円)なこともあり、約5000名に留まっているが、HELPNETケータイでは、汎用のGPSケータイを利用することと、昨今の社会状況により安全に対する意識が高まっていることにより、GPSケータイ加入者の1%を想定しているという。KDDIは、4月末時点でのGPSケータイ(全7機種)の累計出荷台数は約102万台としており、当初はその1%にあたる約1万人の加入を見込む形となっている。今後はHELPNETサービス、HELPNETケータイともに伸びるとしており、2005年に計15万人の加入者を目指すという。

HELPNETケータイとHELPNETサービス(車用)のサービスとしての位置づけ
HELPNETケータイとHELPNETサービス(車用)のサービスとしての位置づけ。一部は重なるがHELPNETケータイのほうがずっと広い利用シーンをカバーする

今後au/KDDI以外の携帯電話キャリアーから、GPS機能を持った携帯電話の登場も予想されるが、そうしたキャリアー向けへのHELPNETケータイの展開については「緊急通報サービスは非常に社会性の高いサービスのため、そういった状況になれば前向きに考えたい」(大湊氏)としている。

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