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オープンソースソフトウェアシンポジウム2001 レポート

2001年10月02日 11時17分更新

文● 宮原徹

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9月23日(日・祝日)24日(月・振替休日)の2日間、香川大学工学部(香川県高松市)において「オープンソースソフトウェアシンポジウム2001」(OSS2001)が開催されたので、そのようすをレポートします。

基調講演「風穴 江・宮原 徹 オープンソースを語る」

2日間の会期の口火を切る基調講演として、現在はフリーLinuxジャーナリストの風穴 江氏と、手前味噌ながら私こと宮原が講演を行ないました。

風穴氏講演直前の風穴氏

講師両名とも、これまで6回行われた米国LinuxWorldにすべて参加していることもあり、今までの開催を踏まえつつ先日行われたLinuxWorld San Franciscoのようすを報告。さらに日米の環境を比較しながら、日本のオープンソースの現状と課題を提起しました。

特に強調すべきポイントは、現状でもまだまだオープンソースが不安に思われているという点です。オープンソースのメリット・デメリットを明確にしつつ、「オープンソースは無責任だ」「オープンソースを利用するのは危険だ」というような不安を取り除いていくことが、現状からさらにオープンソースを普及促進させていくことに欠かせないでしょう。そのうえで特に対処すべき課題としてオープンソースのライセンスの解釈について理解し、コンセンサスを作り上げること。さらに現状のコミュニティをより強化していくことが重要だということです。

昼食休憩をはさんで、現在利用されている主要なオープンソースに関する講演が行われました。

Samba

日本Sambaユーザ会の西村悟氏による「Sambaによるネットワーク構築」をテーマにした講演。

西村悟氏西村悟氏

Sambaの基礎から具体的な利用方法についての解説が行なわれたあと、特別テーマとして最近世間を騒がせたCode Redの危険性についての報告がありました。詳細についてはデリケートな話でもあるので割愛しますが、Code Redに感染した場合、そのサーバーのファイルが外部に丸見えになってしまうということでした。IISサーバーの場合、基本的にはWebで公開されるファイルしか置かないだろうとはいえ、たとえばIISでパスワードセキュリティをかけていたとしても、ファイル共有を破られてしまえばそれまでです。ここのところはNimdaも猛威を奮っていますが、それぞれ対処をきちんと行いたいものです。

PHP

「マンモス本」の通称で呼ばれている『PHP徹底攻略』(ソフトバンクパブリッシング刊)の著者である堀田倫英(みちひで)氏による講演。
参加者講演に聞き入る参加者

同氏は長崎県諌早市在住ですが、今回のシンポジウムでの講演のため、車で四国・高松までやってきたということです。

同氏の講演は、これからWebアプリケーション開発を始める技術者のための入門、という感じの内容。同氏自身のホームページもネットワーク技術初心者向けであり、そちらの情報を見ながらの講演という感じでした。

PostgreSQL

先日設立された日本PostgreSQLユーザー会関西支部の樋口千洋氏による講演。

樋口氏日本PostgreSQLユーザー会関西支部の樋口千洋氏

データベースという一般に若干馴染みの薄い、よく知らないまま使っている人が多いテーマだからでしょうか、システムの中でのデータベースの位置付けや、行レベルロックのようなPostgreSQLの持つ特長的な機能についての紹介が中心に行われました。

また講演の後半では、樋口氏自身のこれまでのコミュニティ活動を振り返りながら、現在のオープンソースコミュニティの現状が報告されました。特に印象的だったのは、各コミュニティ間の連動には(同氏は「根まわし」という表現を使っていましたが)、コミュニケーションが重要であるという点です。オープンソースに携わっている人にはさまざまな考えの人がいる。このコミュニケーションが簡単そうに見えて、実は難しいというのが、実際に携わっている人間の偽らざる感想なのではないでしょうか。

初日は以上で終了。希望者は会場から車で30分ほど行ったところにある塩江温泉に場所を移し、酒を酌み交わし露天風呂に入りながら、夜遅くまで語り合いました。

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