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日立、クラスター構成に対応した並列多次元データベースエンジンを発表

1999年03月11日 00時00分更新

文● 報道局 白神貴司

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 (株)日立製作所は、クラスター構成で接続された複数台のサーバーシステムに対応したシェアドナッシング(Shared Nothing)型データベース(*1)エンジン『Cosmicube(コズミキューブ)』を15日に発売すると発表した。

(*1)シェアドナッシング(Shared Nothing):複数台のサーバーを接続し、メモリーやハードディスクを共有せずに処理するシステム


日立製作所ソフトウェア事業部の磯辺寛アプリケーション基盤本部長
日立製作所ソフトウェア事業部の磯辺寛アプリケーション基盤本部長



負荷分散に新手法

 『Cosmicube』は、マルチプロセッサーおよび複数サーバーによるクラスター構成などでの使用を想定したものである。複数のプロセッサーで同時に処理する並列処理に特化している。大容量データの並列ローディング、並列前のデータ集計、並列検索が可能。データベースの拡大や、検索項目の追加も容易だという。

 従来の検索エンジンには、多次元分析時に、特定のサーバーもしくはプロセッサーに処理の負荷が集中するという欠点があった。このため、クラスター構成の処理能力を発揮できなかった。日立では、検索処理システム“ハッシュブロック分割機能”を独自に開発し、各プロセッサーに自動的に負荷を分散し、処理速度の向上を図っている。並列処理により、事前のデータ集約、検索が従来の数分の1に短縮できるという。

オラクルやサイベース向けにもカスタマイズ可能

 同機に最適なデータベースは同社の『HiRDB Version5.0』だが、オラクル、サイベースなど、各社データベースにもカスタマイズによって対応する。アプリケーションインターフェースは、“MD-API”で、今後は“OLE DB for OLAP”のサポートも予定している。

 『Cosmicube』では、サーバーがWindows NT Server4.0およびHP-UX11.0に、クライアントがWindows 95/98/NT4.0に対応する。価格は1サーバー、8ユーザーの構成で250万円からとなる(ソフトウェア製品)。出荷開始はWindows版が5月28日、HP-UX版が6月30日を予定している。現在、β版の評価を含め、十数社のユーザーと、導入を前提にした交渉に入っているという。

 同社ソフトウェア事業部の磯辺寛アプリケーション基盤本部長は、「企業では、顧客のニーズに迅速に対応しなければならない。このため、膨大なデータベースから重要なものを確実に、迅速に検索するシステムを強く必要としている。並列処理により、検索速度の向上を実現した『Cosmicube』はそれに応えられると自信を持っている」とコメントした。

地図情報の管理、検索機能プラグインも

 『Cosmicube』と同時に『HiRDB Version5.0』に、地図情報の管理、検索機能を追加できるプラグイン『HiRDB Special Serch Plug-in』も発表した。空間検索関数を多数収録している。地図情報データベースに対して、“駅から半径100メートル以内にある銀行”といった距離や地域を意識した検索が掛けられる。

 対応OSはHP-UX11.0で、同社製データベース『HiRDB Version5.0』が必須。価格は、8ユーザーで84万円からとなり、15日の出荷開始を予定している。

 同社では、今回発表の両システムのターゲットについて、次のように形容した。すなわち、大規模な顧客情報データベースを効率よく管理し、ビジネスチャンスのロスを低減したいという企業である。当面は金融、流通業が中心となる。販売目標は、『Cosmicube』が初年度で200システム、『HiRDB Special Serch Plug-in』が100システムである。

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