(株)リンクアップとアイティティ国際電電(株)は、米CVC社が開発した音声・動画圧縮技術について、日本における独占使用権と販売権を獲得したと発表した。同技術は専用のエンコーダー/デコーダーチップを用いるもので、通常の電話回線において毎秒20コマ以上の双方向動画送信サービスを提供することができるという。アイティティでは、同チップを採用したPDA型端末の発売を11月ごろに予定している。また、今秋にも一斉同報型の通信サービスなどにも乗り出すとしている。
CVCが開発した圧縮技術は、端末に埋め込む専用のチップを利用するもの。インターネットのインフラを通じて動画を伝送できるシステムに加え、携帯電話などの無線端末に動画を配信するシステムも用意されている。
リンクアップでは、CVCの技術を国内に向けて広く販売していく。また、11月を目処に同技術を利用したサービスや商品を導入していくとしている。アイティティではすでにテレビ電話の『i-Vision』を商品化しているが、この秋にもPDAタイプのモデルを市場に投入する予定だ。携帯電話やPHSと接続し、動画を受信することができるという。大きさはタバコ2箱分程度、価格については6~7万円を想定している。
都内のホテルで開催された発表会において、米CVCのCEOを務めるジュリアン・ヴァン・クリーフ(Julian
Van Cleef)氏は、同社の技術として“CVC ITM”“CVC IBC”“CVC IBPS”などを紹介した。CVC
ITMは、PCによるアシストを必要とせず、インターネットを通じて動画などを提供するもの。CVC
IBCは、携帯端末やラップトップPCに搭載するICチップで、放送クオリティーの動画配信を可能にするという。またCVC
IBPSは、無線を利用して携帯端末に動画放送を提供するものだと説明した。
米CVCのジュリアン・ヴァン・クリーフ氏 |
米CVCのCTOを務めるクリストル・キャメロン(Krystol Cameron)氏は、「(ISDNの)64kbpsでは、せいぜい毎秒12~16コマの動画しか配信できない」と語った上で、デモを交えながら、「CVCの技術では、毎秒25コマ以上でコマ落ちのない動画配信が可能だ」と説明した。また、同社の圧縮技術では、動画を配信する前に端末機器がどのようなDSPを搭載しているかをチェックするため、最適な圧縮技術を選択して配信することが可能だとも説明した。
米CVCの技術について説明するCROのクリストル・キャメロン氏 |
アイティティの代表取締役を務める林量造氏は、「次世代の携帯電話では、NTTは毎秒17~21コマの動画技術を採用するが、CVCなら30コマ以上の伝送が可能」と、CVCの技術力をアピール。その上で、「日本の中で放送と通信を融合させて、色々なビジネスの機会を作りたい」と意欲を見せた。
「ISDN(64kbps)でなら通常のテレビ放送と同等の画像伝送が可能」と語る、アイティティの林氏 |
米CVCでは、米Loral Space & Communications社と組み、日本国内に11ヵ所の衛星基地局を設置する予定がある。これらの基地局を利用し、無線通信による一斉同報の動画配信サービスや、双方向通信サービスを行なうとしている。またアイティティは、同社が持つネットワークをCVCの基地局ネットワークに接続し、全国を網羅する双方向通信サービスに乗り出す予定だ。